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7542七子餅茶の熟成の比較

週替わりプーアール茶3種セット 8月19日〜8月26日の3種の茶葉の比較レポート。いつもよりは長文になり、写真もあるため、このブログの記事にした。
今回は、7542七子餅茶という銘柄の”熟成”の違いに注目する。7542七子餅茶という銘柄は、生茶のプーアル茶の中で最もロングセラーの銘柄で、1975年前後の実験的な製品からはじまって、現在まで毎年作られている。1990年代までは、当時プーアル茶を輸出する権利のあった国営の貿易会社「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」が包み紙に印刷されているだけで、「7542」とはどこにも書いていないが、プロであれば茶葉を見るとだいたいわかる。現在は茶葉の取引が自由化されているため、包み紙の印刷には、孟海茶廠(メーカー)の自社ブランド名の「大益・7542」と印刷されている。
7542七子餅茶80年代
「7542」の「4」は、この餅茶(円盤型に固められた固形茶)に使用される等級の異なる茶葉の配置を表す番号で、餅茶の表面には細かい茶葉、裏面には粗い茶葉が配置される。他に「7532」などがある。簡単に言うと、「7542」の茶葉は「7532」よりも少し大きい。実際には茶葉の収穫時期や、茶山の違いや、圧延された圧力の違いなど、様々な要因が味を変えるが、少しの違いはあっても、ベースの味は大きく変わらない。しかし、長期保存された倉庫の環境の違いは、熟成の具合を左右し、味のベースを揺るがすほどになることがある。
今回は、その違いを見るのにちょうど良い、それ以上に強く熟成してしまうとダメになったであろう絶妙のバランスの茶葉「7542七子餅茶80年代」(未発売)を、上海のコレクターから入手できた。
7542七子餅茶80年代7542七子餅茶80年代
左: 7542七子餅茶80年代 表面
右: 7542七子餅茶80年代 裏面
これと比較するとちょうどわかりやすい2種の7542七子餅茶の茶葉を組み合わせて、3種のお試し茶葉とした。
この3種を試し、味の記憶をつくっておくと、プーアル茶選びをするときの基準にできる。有名銘柄のプーアル茶の中では比較的入手が容易で、サンプル数の多い7542七子餅茶については、その経験を積む価値がある。
7542七子餅茶の熟成の比較
左: 7542七子餅茶80年 熟成強い
中: 7542七子餅茶91年 熟成やや強い
右: 黄印7542七子餅茶 熟成弱い
7542七子餅茶80年代は、過去に販売した7542七子餅茶80年代中期とは別のもので、もっと熟成が強い。7542七子餅茶91年は、これまで1枚モノの販売はしていないが、崩した茶葉を「プーアール茶入門6種セット」(2007年8月現在) に組入れたり、他のお茶の紹介ページ、例えば「大益7542七子餅茶06年」「7542七子餅茶99年無内飛」のページに、比較のための茶葉として登場している。
7542七子餅茶80年代黄印7542七子餅茶
左: 7542七子餅茶80年
右: 黄印7542七子餅茶
餅茶の表面のほうの内飛(茶葉に埋め込まれた「茶」の字の印刷のある紙)の付近の茶葉を撮影した写真。左の7542七子餅茶80年の茶葉には、白っぽく成分が浮き出た跡(白露)がある。右の黄印7542七子餅茶にはそれがない。7542七子餅茶80年のほうは、この数年は常温の乾燥した室内に置かれているが、それでも茶葉を鼻に近づけると、ほんのかすかな倉庫臭がまだ残っている。黴臭いと思う人もいるかもしれないが、黴臭さにもいろいろあって、この場合は質の悪い臭いではない。黄印7542七子餅茶のほうは、比較的乾燥した倉庫に長期保存されていた。当店で室内の乾燥した環境で保存して2年経つ。茶葉を鼻に近づけても、ほんのかすかな茶葉の香りがするだけで、黴を連想するようなことは一切無い。
7542七子餅茶の熟成の比較
7542七子餅茶の熟成の比較7542七子餅茶の熟成の比較
煎じることで、その差はより明確になる。
それぞれ4gと計量した茶葉に湯を注いでいる。色の違いは明確。7542七子餅茶80年のほうは、赤味の強い暗い色となっている。黄印7542七子餅茶のほうはオレンジ色で明るい。味の差も色の差ほどにあるが、それは実際に試して感じ取って欲しい。7542七子餅茶80年のほうは、穀物のような厚みのある風味。黄印7542七子餅茶のほうは、花のような軽やかな風味。どちらかにはある風味が、どちらかには無い。黄印7542七子餅茶をこのまま常温の室内の乾燥した環境で長期保存しても、厚みのある穀物の風味を持つことは無いだろう。つまり、穀物のような風味は、湿度のある程度高い環境での長期保存の熟成によるものだということ。当店ではどちらかの風味をひいきすることはないが、個人的には穀物系のほうが好きである。バランスの妙があるためだ。
この2つでは、製造年に5年〜8年ほどの差があるかもしれないため、味の差の原因が、倉庫の保存環境ではなく保存年数の差ではないか?と疑う余地がある。そのため、もう一種のサンプルの、7542七子餅茶91年と黄印7542七子餅茶を比べる。年数の差はほとんど無いと言える。
7542七子餅茶の熟成の比較
左: 7542七子餅茶91年
右: 黄印7542七子餅茶
7542七子餅茶91年のほうが赤味の強い色となっている。7542七子餅茶80年と黄印7542七子餅茶のちょうど中間くらい。風味は、様々な味や香りから構成されているから、どんな味や香りが中間くらいであり、どんな味や香りが”0”か”1”しかなくなるのかを、実際に試して経験されたし。唇の先から、喉の奥、お腹の底まで、全体で味を感じるべし。
余談になるが、7542七子餅茶は、それよりも茶葉の小さめの7532七子餅茶に比べて、強く熟成させても美味しく仕上がりやすい。つまり、保存環境の差によって楽しめる味のレンジが広い。7542では美味しく仕上がっていた強い熟成が、まったく同じ倉庫の環境で熟成された7532では不味くなることがある。茶葉の大きさによって、圧延されたときの茶葉と茶葉の隙間の具合が微妙に違い、それが長期保存熟成に影響する。7532七子餅茶は茶葉の隙間が狭いため、空気の通りが悪くなり、湿気にやや弱い。酸素を必要とする微生物(お茶を美味しくする微生物)の働きが弱ったり、酸素のないところで起こる成分変化などが影響しているらしい。この比較については、またの機会にお試しを用意しようと思う。

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