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「火入れ」 60度 5分

『日本の酒』 発酵学者・坂口謹一郎著
この本から、というか日本酒の製造技術からもうひとつ、プーアル茶の熟成にも使えそうな技術がある。
「火入れ」60度、5分。
酒が腐りにくくなるように低温殺菌し、成分の変化も最小限に抑える技術である。しかも温度が上がる初期には酵素がよくはたらいて酒質の熟成をたすけるらしい。酒は水分があるから、腐ると酢になってしまう。茶葉は乾いていれば腐る心配はまずない。しかし、倉庫熟成の茶葉は別だ。自家製倉庫の試みでわかってきたことだが、茶葉は思ったよりも水分を持つ。倉庫の中ではいろいろ作用していて、その水分量でも腐るなんてことはまずない(熟成の上手な倉庫では)。香港のただでさえ湿気のある倉庫から出たものは、自然乾燥させてから出荷される。これなら問題が無い。ところが、倉庫を出てすぐのまだ乾かないうちに、航空便で冬の上海や日本に移動したらどうだろう。本日1月18日の香港の気温20度、上海の気温3度、その差17度を、2時間半で飛んでくる。茶葉は水分を持ったまま急に温度の低いところに移る。倉庫で保たれていたバランスは崩れ、不良発酵するかもしれない。
そこで、火入れだ。
まだ茶葉の水分のあるうちに、熱を入れる。60度で5分。低温殺菌して、乾燥もして、成分の変化が最小限となれば、その後に茶葉が思わぬ変化を起こすことにはなりにくいだろう。そもそも、メーカーで圧延加工されるときに、茶葉は高温で蒸されて固められ、乾燥させられる。そのときに比べると、低温殺菌はそれほど強い影響を与えないはずだ。だとしたら、その後の保存熟成にも影響はそれほどないはずだ。
そして、早速それを試してみた。
大益8582七子餅茶06年
大益8582七子餅茶06年
「大益8582七子餅茶06年」(未発売)の倉庫熟成中のもの。餅茶の内側の茶葉の様子を見るために、すでに何枚かを崩しているのを、少し分けて低温殺菌して3日間置いてから飲み比べした。
大益8582七子餅茶06年
大益8582七子餅茶06年
大益8582七子餅茶06年
左: 火入れなし
右: 火入れあり
飲み比べて、その差があるような気もするし、ないような気もする。このように同時に飲み比べて、差がほとんどないのなら、本当に差が無いということになる。殺菌や成分変化の面で成功しているかどうかは別の機会に証明するとして、味は変わっていないので成功していると言ってもいいだろう。まだもう少し時間を空けたものを比べる必要がある。それはおいおいやってゆくとして、この火入れをして気付いたのだが、倉庫熟成中の茶葉をお客様に販売できる。今までは、湿った茶葉が郵送中におかしくなってはいけないと思っていたので、退倉して自然乾燥して2〜3ヶ月後にやっと販売という形しか考えていなかった。しかし、火入れで低温殺菌して乾燥させた状態であれば、郵送の問題もなしだ。熟成半ばのお茶ってどんな味なんだろ?と、興味を持っていただいているに違いない日本全国の2人か3人のお客様に、ご提供する方法ができたわけだ。
大益8582七子餅茶06年半熟火入れ90g3,000円。
プーアール茶.comの申し込みフォームにて受付開始。販売は2週間くらいで、いったん終了の予定。
ちなみに、この「大益8582七子餅茶06年」は、甘味が強く出すぎるくらい出て、ややバランスを崩していると見えるが、この段階ではこれでいいのだと思う。熟成による味の変化の道はまっすぐではない。この話については長くなるので、またの機会にする。
追記:
火入れは、この熟成半ばの茶葉を売るためだけに使う技術であり、自家製倉庫のお茶は、基本的には火入れをしない自然乾燥の「本生」である。

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