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73青餅への道

プーアル茶は高いほど美味しいのか?という質問をしてくれる人はひとりもいないのだけれど、もしそういう質問があったら、明確な答えを用意している。高級品には、その品にあるべき味や香りがちゃんと決まっていて、それをどれだけ満たしているかで評価が決まる。だから、高いほど美味しいというよりは、高いほど正確に美味しいというのが近い。
当店が餅茶の状態の「早期紅印圓茶」や「後期紅印圓茶」を扱っていないのは、高額すぎるからというよりは、その鑑定が正確に出来るほどの経験が無いからといったほうがいい。毎日のようにいろいろな「紅印圓茶」を飲み比べないことには、値決めできるほどの鑑定は難しい。そうこうしている間に、紅印一枚は高級車よりも高額になるだろうけれど、それは仕方なし。それよりも手の届く範囲の、1970年代からの品に狙いを定めているのは、古いプーアル茶ファンの方にはお見通しのことと思う。自分にとっては、1970年代のが手の届きやすいところなのだ。
さて、ここまでの話を前置きにして、この先の話になる。
いま取り組んでいる自家製倉庫熟成の目指すところは、「73青餅」である。もちろん状態の良い本物の「73青餅」。
このお茶、実は1984年モノであるが、1970年代モノでも通用するほど貫禄十分。種類の多い「7542七子餅茶」シリーズの中での美味しさは格別。高級茶としてふさわしい味と香りが備わっている。
73青餅
73青餅
1970年代の「7542」の前身「七子小緑印」をはじめとして、多くの「7542」を飲む機会があったけれど、「73青餅」と他の「7542」との違いは、熟成の仕上がり具合にある。葉底(煎じた後の茶葉)にはとくにそれが現れている。偶然ではないと思えるところがある。それは、同じ茶商の手がけた「雪印青餅」もまた、「7532」の中では、飛びぬけているからだ。(いちいち断るが、状態の良い本物の「雪印青餅」である)。
「73青餅」も「雪印青餅」も、香港が中国に返還された1997年頃に、台湾に移されており、保存環境は変わっている。そこもまた重要な気がする。はじめからずっと香港にあっても、はじめからずっと台湾にあっても、今のようには仕上がらなかったかもしれない。
自家製倉庫熟成を始めて、ようやく2006年の新しいお茶の味がぐっと変わってきて、つい嬉しくなって、もしや20年モノの味を5年で作れるのではないかと先走った考えをしてみたが、その後の観察で、どうやらそうではないとわかってきた。10年モノは10年モノ。30年モノは30年モノの味なのだ。まだその味の変化の仕組みをうまく説明できないが、ある変化がおきないことには、次の変化はありえない。次の変化がなければ、その次の変化もない。「73青餅」が、香港の熟成でなんらかの変化を得ないことには、台湾での変化もありえない。味の変化の道はまっすぐではない。どこかで方向を変えたときに、いままで来た道の意味が出てくるパターンもある。そうした変化のリレーバトンの受け渡しが、10年、20年、30年と続くのであれば、近道などありえないわけだ。
2002年頃からの中国大陸でのプーアル茶ブームで、需要が急拡大して、茶葉の生産も急増し、全体的に茶葉の質が変わってきた。1970年代〜1980年代後半くらいの茶葉と、現在の茶葉との様子が少し違う。同じ銘柄で年代の違う葉底(煎じた後の茶葉)を見比べると分かりやすい。「正確に美味しい」ところを目指すには、茶葉の選択から見直すべきかどうか、いま探っているところだ。もしかしたら、孟海茶廠の「7542」ではないけれど、「73青餅」に迫るお茶が、当店の倉庫から出てくるかもしれない。25年後くらい。

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