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見えない水の流れ

地上の水と同じように、空気中の水も、どこかへ流れようとしているらしい。地上の水は低いほうへ流れるが、空気中の水は冷たいほうへ流れて、そこに溜まろうとする。
上海の霧
窓の露
濃い霧の日の上海と、寒い日の窓ガラスの水滴。
プーアール茶の熟成のための自家製倉庫は、冬の間は加温と加湿をするために、倉庫の外と中の温度差が大きくなる。この温度差が空気中の水を移動させる。
大きな失敗をしてたくさんの茶葉をダメにしないように、何枚かを犠牲にして、意図的に小さな失敗を試みている。小さな箱を倉庫にみたてて、温度と湿度を上げて、そこに茶葉を置く。箱の中の温度計は、夏の日の常温とほぼ同じ値で、それほど特別な環境ではないし、実際に夏の日の常温の部屋にあるプーアール茶にカビが生えるようなことはない。
プーアール茶のカビ
プーアール茶のカビ
それなのに、箱の中の餅茶に異変が起きた。茶葉に触った瞬間にその原因がわかった。茶葉が冷たく湿っている。箱の側面のいちばん冷たい部分に茶葉が接していたのだ。その部分だけの温度が下がり、窓ガラスの水滴のように結露したようになって、茶葉に水が浸透し、カビが生えた。
箱の側面にはもちろん断熱の工夫はしてあるが、それでも加温すると温度差が生じる。室温計では空気の温度は測れても、壁の温度までは測れないので、壁の部分的な温度が低いということまではわからないのだ。そこで、非接触温度計が活躍する。
大益8582七子餅茶06年
日本に一時帰国したときに堀場製作所のオンラインストアで入手して、電池を入れてすぐ、部屋の壁のいたるところに標準をあわせ、ボタンを押してみた。室内温度計は18度を指していた。しかし、非接触温度計で測った部屋の壁は、10度〜23度と、場所によって12度もの差があった。ちなみにその日の外気温は2度であった。
プロの茶商の倉庫では、この「見えない水の流れ」対策のために、扇風機を用いているところがある。扇風機を壁に向けてまわし、倉庫中にゆるやかな空気の流れをつくって攪拌することで、温度差を少なくする。個人が家庭でプーアール茶を長期保存するときには、室内の比較的乾燥した場所に保存するため、このような問題が生じる心配はまずない。部屋の中の冷たく湿っぽい場所に置かないように気をつけるくらいでよい。
この非接触温度計は、倉庫の温度管理以外にも、熟成中の茶葉や、火入れしたときの茶葉の温度を測ったり、茶湯の水面の温度を測ることもできる。また、測定温度範囲は、−50℃〜500℃である。料理にも使える。例えば、炒飯を炒めるのにベストな温度が見つかるかもしれない。

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