上海のお昼ご飯!2020-10-27T15:14:14+09:00上海の自宅でコックさんがつくる美味しく健康な家庭の中華料理。
野菜と肉とスープと、炊きたての白いご飯が基本構成。ぼちぼち更新。
(2008年9月11日、更新を終了しました。)
(2010年6月 追記をしました。)JUGEM追記その1.青菜は上海にありhttp://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7766392010-11-24T02:26:00+09:002010-12-16T00:10:02Z2010-11-23T17:26:00Z上海には青菜が豊富にある。青菜とは、ここでは葉っぱもの野菜を意味する。秋冬春の涼しい時期は陸上の葉っぱものが多く、梅雨のころから夏の終わりまでの暑い時期は水生の葉っぱものが出てくる、。市内のあちこちにある野菜市場に行けば常に5〜6種類は上海近郊で栽培され...ふじもと追記上海には青菜が豊富にある。
青菜とは、ここでは葉っぱもの野菜を意味する。秋冬春の涼しい時期は陸上の葉っぱものが多く、梅雨のころから夏の終わりまでの暑い時期は水生の葉っぱものが出てくる、。市内のあちこちにある野菜市場に行けば常に5〜6種類は上海近郊で栽培された青菜が見つかる。それは土がついたままか、あるいは水で軽く洗っただけで、包装などせずそのまま売られている。つまり冷蔵庫には一度も入っていない新鮮な状態。日本人が冷凍の魚を刺身で食べないように(一部マグロなどを除いて)、中国人は冷蔵庫に入った青菜は食べない。
日本人が海外に長期滞在すると、魚と米はやっぱり日本が美味いことを知ると思う。消費者の要求するレベルが高ければ、漁師さんの魚の扱いからして違うので、魚が良いのはあたりまえなのだけれど、そのありがたみは海外に住んでみないとわからない。
上海を離れてしばらく時間が経った今、上海は青菜が美味いということを改めて知って、そしてここに書きたくなったわけだ。
青菜の豊富なのは、長江の河口デルタ地帯というのが関係しているらしい。かつて太古の時代から大河があふれ出すたびに運んできた細かい粘土質の土は栄養たっぷりでしっとりとしていて、青菜の根はそれを好んで元気に育つ。海の方からの水の圧力で行き場を失って枝分かれした水流がいたるところに小川や沼地をつくる水郷地帯は、多種多様な水生植物を育む。そして上海にその新鮮な青菜が届くのは、おそらく1970年代の政策で、都市を取り囲むように近郊農業を発達させたことによる良い点が残っているのだと思う。
一方で、トマト、茄子、玉ねぎ、ジャガイモ、ピーマンなどやや乾燥した土の好きな野菜は育ちすぎるせいか水っぽくて味がない。もしも上海で美味しいトマトが食べられたなら、それは遠くの雲南省とかそのあたりの高地栽培のものだ。だから上海ではトマトの作れない冬のほうが、かえって美味しいトマトが食べられたりする。
青菜はちょっと気難しいところがあって、家庭料理には使いやすいが、レストランでは扱いの難しい食材となる。青菜の味は季節や鮮度や天候までもが大きく左右するので、仕入からして毎日調整する必要があり、肉料理や豆腐料理のようにいつもと同じ味が再現しにくい。安い料理の割に手間がかかる。やわらかく細かい葉を洗って、悪いところを取り除く時間のかかる下ごしらえは、出稼ぎの労働者の賃金が年々上昇してゆく上海では、レストランにとっては稼げない料理となる。
レストランで美味しい青菜料理に出会えるかどうかはそのときどきの勝負となるが、どんなに高くても数百円の安い料理なのだから、とりあえず季節のを1〜2皿頼んでみてほしい。
青菜料理を過去の記事からちょっと検索してみた。
小菠菜粉絲肉片湯
腐乳空心菜
臘肉炒蒜苗
芦蒿炒肉絲
清炒紅菜苔
西洋菜香?肉絲湯
清炒金絲芥
ふりかえってみると、ひとつ失敗がある。青菜料理の代表格である「香?菜心」の研究をしていないのに気付いた。「馬蘭頭」も研究するべき青菜のひとつだった。これは日本に長期滞在しながら、イワシ料理を勉強しないのと同じことになるかもしれない。
よい青菜料理を食べるために、もうひとつ書いておかねばならないコツがある。レストランでオーダーするときには「不要放味精鶏精」と告げて、アミノ酸化学調味料を使用させないことが肝心だ。どの青菜も同じようなベッタリした味になって素材そのものの風味が台無しになる。
ついでに注意する点として、レストランの服務員の短期的な記憶力は15秒である。オーダーを聞いて厨房に注文を出すまでに別の席の客に呼び止められたりして15秒以上かかった場合は、もう一度「不要放味精鶏精」と軽く念を押すほうが良い。
レストラン選びでは、バターなんかで炒めようとするヌーベルオシャレ上海料理はダメ。そういうレストランはフランス租界のしゃれた建物に入っていて、看板料理にフカヒレやアワビがある。
上等な本物の料理人であれば、干しエビ、干しアミエビ、干し貝柱、干し貝、干し蟹、小魚の干したもの、魚醤、腐乳、豆味噌、鶏ガラスープ、豚骨スープ、渡り蟹、各種漬物汁、生姜汁、ニンニク汁、ゴマ油、ピーナッツ油、ネギ油、など伝統の調味料を使い分けて、その時のその青菜のコンディションにベストな味付けをしてくれるだろう。火の通し具合も、青菜それぞれの歯ごたえや香りの立ち方が計算されていることだろう。ピタッと決まった青菜料理はまさに芸術品で、飽食の時代に飢えを忘れた人々にも、食の喜びと希望を蘇させる。
しかし、すばらしい青菜料理の出せるレストランを見つけたら、残念ながらそこはすでに経営危機にある。季節の色彩や料理人の心意気を青菜に見つけることのできる客が減っているからだ。美味しい青菜料理に出会ったら、ぜひそれを褒めてほしい。それが料理人に聞こえたら、料理人は自分の腕に自信を取り戻し、仕事に誇りを感じることができる。(2010年6月)]]>あとがきhttp://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7760472008-09-11T19:18:37+09:002008-10-16T01:06:17Z2008-09-11T10:18:37Zブログの更新を終わることにした。
もったいないと友人から言われるけれど、もう十分だ。いろいろ試したし、満足している。それにもうネタが少ない。場所を変えて、四川や広東への展開という案もあるけれど、すぐには無理だ。生活もあるし・・・というわけで、いったん終...ふじもと生活、旅行、その他
もったいないと友人から言われるけれど、もう十分だ。いろいろ試したし、満足している。それにもうネタが少ない。場所を変えて、四川や広東への展開という案もあるけれど、すぐには無理だ。生活もあるし・・・というわけで、いったん終了させることにした。
上海のお昼ご飯!の意志は、「プーアール茶.com」が受け継ぐ。このブログで学んだことを活かしてゆく。
「麻辣火鍋」や「薬膳スープの素材セット」のレシピ情報は、このブログではなく、それぞれのページに更新するつもり。お茶についても同様。
このブログは、過去の記事を検索しやすいようになっている。例えば、豆腐料理を知りたければ、「豆腐料理」のカテゴリーで検索できる。9月の季節料理を知りたければ、過去の2005年〜2007年の9月の記事で検索できる。「腐乳」を使った料理を知りたければ、キーワード検索で「腐乳」とタイプすれば良い。だから、料理好きな人はこれからも活用してほしい。
ところで話は変わるが、最近になって、漠然と心にひっかかっているテーマがある。ちょうどそんなときにピッタリの本を読んだ。
『梅原猛の授業 道徳』 著者:梅原猛 朝日文庫
身近なところで、食べることの「道徳」や「美徳」を考えさせられる出来事が多くなっている。自分の考えを改めずに、このまま逃げ切るわけにもゆかなくなっている。これからの時代に、ほんとうに良い料理や食事とはどういうものか、生活とは、仕事とは、・・・そんなことをじっくり考えてみたい。そういう自分の道徳はどうなのか?と問われる恥ずかしさに堪えて、食の道徳を真っ向から語れるようになりたい。
本日のお茶は「7542七子餅茶99年無内飛プーアル茶」。
]]>十全大補湯・水の量を変更http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7766382008-08-21T21:04:00+09:002010-10-12T13:31:38Z2008-08-21T12:04:00Z十全大補湯のレシピの、水の量を変更。
1リットルから1.5リットルへ。
土鍋の形状によっては、水の蒸発が多く、出来上がりのスープの量が少なくなりすぎる。とくに、いわゆる日本の鍋料理に使われる底の浅いタイプや、少し大きなサイズの土鍋を使う場合は、蒸発が早い。...ふじもと十全大補湯・薬膳スープの素材セット
1リットルから1.5リットルへ。
土鍋の形状によっては、水の蒸発が多く、出来上がりのスープの量が少なくなりすぎる。とくに、いわゆる日本の鍋料理に使われる底の浅いタイプや、少し大きなサイズの土鍋を使う場合は、蒸発が早い。
煮込む途中でスープの量が少なくなりすぎる場合は、水を足していただきたい。
⇒【十全大補湯・薬膳スープの素材セット】]]>鹵水蛋http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7752062008-08-14T10:06:00+09:002010-10-14T02:21:47Z2008-08-14T01:06:00Z醤油と骨頭(とんこつ)抜きで鹵水をつくる。
個性のある味を求めて、いろいろ差し引いていって、この香り、この味こそが、鹵水の中心なんだというのを見つける。その中心になる香りと味をつくる漢方スパイスは、ほんの3〜4種類かと思うが、いまは17種類使っている。「十...ふじもと卵料理
個性のある味を求めて、いろいろ差し引いていって、この香り、この味こそが、鹵水の中心なんだというのを見つける。その中心になる香りと味をつくる漢方スパイスは、ほんの3〜4種類かと思うが、いまは17種類使っている。「十全大補湯」や「麻辣火鍋」や「肉骨茶」にもたくさんの漢方スパイスを使っているが、それらの味の個性の中心となるのも、やはり3〜4種類である。その3〜4種類を見つけないことには、はじまらない。
醤油を抜いたせいで、色は薄くなったが、味は濃い。そのまま飲んでみると、顔をしかめるほど塩辛い、苦い、えぐい。とてもじゃないが、これで肉や豆腐を煮て美味しくなるとは想像できない。コックさんの言うには、塩水鴨の漬け汁もこんな感じらしい。
鹵水蛋(鹵水の煮卵)
鹵水はそのまま使うだけでなく、鹵水をベースにして香りや味を足しても良い。鹵水を小鍋に移して、茶葉蛋にならって、茶葉(鳳凰金毫沱茶05年)を足した。いわゆる弁当に入っている、なんともいえない漢方風味のある煮卵になった。
鹵水猪舌頭(豚の舌の鹵水煮)
鹵水の味を比べてゆくために、これは毎回つくる。個性が強すぎて、美味しくない鹵水を目指しているにしては、美味しすぎるのができた。醤油を入れていた前回よりもこのほうが美味しい。しかし、向かっている方向は間違ってない。
前回のと今回のでは、今回のほうが美味しいとする価値観の、そのルートをたどってゆくと、食べるということの美徳や道徳に触れることになりそうである。いまいちどそこを見直したい。
豆鼓炒扁豆(レンズ豆の豆鼓炒め)
腐竹金針湯(乾燥ゆばとえのきのスープ)
本日のお茶は「7542七子餅茶99年無内飛」。
夏前から薬膳食を続けたせいか、体の調子がよい。朝は早起きして、すぐに湯を沸かして、エアコンなしで汗をかきながら熱い茶を飲む。それからシャワーして着替える。これがまた気持ちよい。そのまま一日気持ちよく過ごせる気がする。お茶は、茶葉にちゃんと力のあるやつを、体感となって効果の現れるやつを選ぶべし。そうでないと意味が無い。]]>鹵水猪舌頭http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7745302008-08-10T21:09:00+09:002010-10-14T02:30:52Z2008-08-10T12:09:00Zさっそく友人を呼んで、鹵水の料理を食べてもらった。
そしたら、「美味しい美味しい」と言ってパクパク食べていた。これではダメなんだ。美味しかったらよいというものではない。料理は、その味の与える印象も大切で、ときには美味しさが邪魔することもある。美味しさを...ふじもと豚肉料理鹵水の料理を食べてもらった。
そしたら、「美味しい美味しい」と言ってパクパク食べていた。これではダメなんだ。美味しかったらよいというものではない。料理は、その味の与える印象も大切で、ときには美味しさが邪魔することもある。美味しさを犠牲にしてでも、はっきりとその料理に対する考え方を、個性ある味で表現したほうが良い場合もある。
鹵水豆腐(木綿豆腐の鹵水煮)
考え抜いて、なんども試した結果、われわれはこの料理をこういう味であるべきだと思うのです!ということを、言葉ではなく、味で表現するのだ。味に込める想いは、われわれの未来への希望であり、全人格をかけた思想である。そのような主張がはっきりするほど、嫌いな人もでてくるだろうが、そのような人たちにも、思想の存在が伝われば良い。そのほうが、思想なき美味しい料理よりは、よほどましなのだ。
鹵水猪舌頭(豚の舌の鹵水煮)
しかし説明が面倒なので、ひと言だけ、「もっと美味しくない鹵水にしてください」と言ったものだから、コックさんは固まった。その表情は、遠く地平線を見ていた。
次にやるべきことはわかっている。すでに炒飯で経験しているように、引き算から入る。つぎは醤油も骨頭(豚骨)も使わずに、塩と酒だけで鹵水をつくってみる。
苦瓜炒蛋(ニガウリと卵の炒めもの)
山薬蛤蜊湯(アサリと長芋のスープ)
清酒 五橋 山口県酒井酒造
後ろの白いのは、自家製どぶろく二段仕込
本日のお茶「同興號後期圓茶70年代」。
『梅原猛の授業 仏教』を読みはじめているが、やはりいい。自分の食や生活に対する考え方にも、知らないうちに仏教が生きているようだ。食べることや料理について、ときどき人と意見が合わないときがあるけれど、なぜそう思うのか、自分でもわからなくて、うまく説明できないことがある。そのへんがはっきりするかもしれない。宗教は選ぶこともできるけれど、食や生活の観点でみるなら、生まれ育った土地の宗教が良さそうだ。過去に経験したことのすべてが繋がって、この先するべきことが見えてきそうな予感がする。]]>鹵水http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7741562008-08-08T20:37:00+09:002010-10-14T03:27:19Z2008-08-08T11:37:00Zいよいよ鹵水の研究に入る。
鹵水とは、塩、醤油、酒、生姜、十数種の漢方スパイスと、豚や鶏の骨を煮出してつくる、出汁とタレの間くらいの濃さの、一種の調味料。それを大鍋にたくさんつくっておいて、小鍋に分けて、鴨や豚や牛の臓物類、豆腐類などを煮たり、あえたり...ふじもと調味料
鹵水とは、塩、醤油、酒、生姜、十数種の漢方スパイスと、豚や鶏の骨を煮出してつくる、出汁とタレの間くらいの濃さの、一種の調味料。それを大鍋にたくさんつくっておいて、小鍋に分けて、鴨や豚や牛の臓物類、豆腐類などを煮たり、あえたりする。その料理は、発祥の地の潮州料理を含む広東料理の代表的な冷菜になっている。冷菜というポジションが、この調味料の特徴の表れているところだろう。
昔は、みんな暇な時間がたっぷりあって、自分達で十数種の漢方スパイスをそろえて、独自の配合と煮出し方で、家庭や店の味をつくっていたようだが、忙しくなるにつれて、手間ひまをかけなくなって、独自の味を守りぬいている家庭や店は減る一方。スーパーには簡単な化学調味料入りの鹵水の素がめちゃくちゃ安く売られているし、レストランは業者がまとめて量産したものに、ちょっと風味を加えて味を濁している程度が多い。便利さと安さを過剰に求めた量産品は、われわれの口には合わない。
今日の鹵水は17種類の漢方スパイス。高良姜や山奈が初登場の素材で、それ以外は、「十全大補湯」や「麻辣火鍋」や「肉骨茶(バクテー)」ですでに登場しているもの。さらにまだ3種類ほど気になる素材があって、それについては手配中である。
豚の骨頭を茹でて洗って、生姜と、中薬包に入れた漢方スパイスを大鍋に入れ、水を足して数時間煮込む。途中で塩、醤油、酒を足す。その後も数日間にわたって、何度も火を入れて、足りなくなった水や漢方スパイスや調味料を注ぎ足して、なくなるまで使う。
本日の具の鴨珍(鴨の砂肝)は、いったん茹でたのを小鍋に分けた鹵水で1時間ほど煮る。腐竹(乾燥した湯葉は)は、水に2時間ほど浸けて、茹でてから、小鍋に分けた鹵水にちょとだけ火を通してあえる。くれぐれも煮込んではいけない。
鹵水鴨珍(鴨の砂肝の鹵水煮)
鹵水腐竹(乾燥湯葉の鹵水あえ)
どちらも上出来。普通のご飯のおかずになるが、それではつまらない。もっと尖った個性が欲しい。鹵水が鹵水でなければならない味へ、これから徐々にやってゆく。
腐乳空心菜(空心菜の腐乳炒め)
葉はみごとに虫食い。虫食いの野菜や果物が、かえって美味しいと感じるのは、子供の頃におじいちゃんが節約の美徳として虫食いも美味しいと教えたからだと、ずーっと思い込んでいたのだが、もしかしたら本当に美味しいかもしれない。例えば、台湾の東方美人という烏龍茶は、茶葉にウンカという小さな虫がついて、虫食いになった茶葉が、怪我をしたときの人間が白血球を増やして、ばい菌に抵抗するかのごとく、自らを治癒しようと増やした抗体成分が、茶葉に独特の甘い香りをもたらす。・・・ということは、野菜や果物にもそういう反応があってもおかしくない。
蕃茄蛋湯(トマトと卵のスープ)
チベット系の店で、CDを買った。
CD一枚に、お経のような歌が延々と1時以上も繰り返すたった一曲が入っている。聞いていると、やがて起きているのか眠っているのかわからないような感覚になる。年代モノのプーアル茶を飲んだ後の感覚に似ている。
味や、飲んだ後の感覚には、それを作った土地の人や、それを求めた土地の人たちの生活にそった機能的なもの、例えば羊肉が主食だったから油を流すプーアル茶が必要とか、それとはまた違ったところの、美意識とか価値観とか世界観も影響していて、それがお茶の美味しさとか、気持ちよさとかを決めていないかな?と思うところがある。
「沈香老散茶50年代」の、伽羅や白檀を想わせる香りが評価されているのは、仏教がベースにあることを感じさせる。そんなわけで、仏教美術が気になりだしている。
]]>葱油面http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7739492008-08-07T18:25:00+09:002010-10-14T03:35:10Z2008-08-07T09:25:00Zいつも自転車で通る下町の一角に、間口2メートルほどの小さな葱油面の店がある。人が並んでいるのを見てその存在に気付いた。昼時には道端に出した低いプラスチック椅子とテーブルひとつに、蟻がたかるようにランニングシャツの労働者達がしゃがんで葱油面をすすっている...ふじもと麺・点心「振鼎鶏」に行って、そこの葱油面を食べる。これもあんがい美味しい。
こういう庶民の軽食では、うちはぜったいに負けてはならない。それは柔道のオリンピック選手が道で喧嘩に負けるようなものなんだぞと、コックさんを鼓舞しておいた。
葱を刻んで、中華鍋でたっぷり油を熱して、葱を炒める。香りが出たら醤油(日本の醤油と同じ)、砂糖、胡椒、辣椒粉、水を足して、葱油ソースの出来上がり。
昨日紹介した、漢方スパイスたっぷりの鹵水で煮込んだ蹄膀(豚の腕の付け根)。冷蔵庫に冷やしてあるままを切る。
ヒユナは茹でておいて、さきほど葱油を炒めた中華鍋の残りの油にあえる。火はつかわない。麺は市販の生麺を使った。茹で上がりに冷水でしめる。しかし麺を冷やしてしまってはいけない。暖かい麺に葱油ソースがかかるから、香りが広がるのだ。麺の上にヒユナと鹵蹄膀を盛り付けて、葱油ソースは、食べる人が好きなだけかける。もちろん味を見ながら、少しずつソースを足すのがよい。
葱油面(ネギ油の麺)
まい!いまう!興奮でタイプミスするほど美味い。これに勝てる葱油面などありえんだろ!口に入れた瞬間の香りと味の広がるスピードが、スープの湯麺とは自転車とロケットくらいにちがう。麺が口に入って、舌の上に接するか接しないかのところで、すでに脳がこれはめちゃくちゃうまいと認識して、唾液を発射する。さらに勢い余って涙腺をも刺激する。それほどに油は美味しさの要素をすばやく運ぶことができる。油でなければいけない料理もある。油が体に悪いから油ひかえめの料理なんぞ、浅はかな知識だ。そんなこという料理人は根性叩きなおしてやるから、ここへ修行に来い!そんなつまらないことで食の楽しみを減らすことはない。消化の森羅万象に油がどのように関係しているかを100%解明されてはいないのだ。僕はそれは待てないから、数千年の人体実験の結果を支持して、今すぐ油の料理を楽しむけれども。
鹵蹄膀は、漢方スパイスの風味でスースーして、肉とゼラチンのこってり感をゼロにするどころか、葱油面全体においても、新鮮な風が吹き込む窓となって、下町の葱油面とはちがうものにした。
黄耆茶樹?湯(おうぎと茶樹?のスープ)
本日のお茶は「下関銷法沱茶90年代」。
油の料理には、しっかり熟成した熟茶をたっぷり作っておいて、食べてからすぐに飲めるようにしておく。
下関銷法沱茶90年代は、良いお茶で、われわれは毎日のように飲んでいる。1個250gは、一日5gずつ(1.5〜2リットル分になる)飲んでも、50日分あるのだからなかなか減らない。在庫もたっぷりあるし、しばらく大丈夫だけれど、90年代の熟茶で、この美味しさ、この価格、この熟成の仕上がり具合というのは、めったに見つからないから、お客様はできるだけ早めに、1個よりは2個、2個よりは4個と、できるだけ多いめに確保されたし。年代モノには、数に限りがある。新しく作られる下関銷法沱茶がこれよりも美味しくなるのは、やはり10年以上かかるだろうし、また今の茶葉と、昔の茶葉との違いは、下関銷法沱茶90年代のページに紹介しているとおりだ。
美味しいお茶が入手しにくいというのは、誰よりもわれわれのほうが知っている。]]>鹵蹄膀土鍋飯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7738142008-08-06T22:59:00+09:002010-10-14T04:40:10Z2008-08-06T13:59:00Zこのところの漢方のスープが余っている。
さらに生薬を足したり煮詰めたりして、さながら魔女のスープのごとき怪しさがある。そこへ、茹でて洗った蹄膀(豚の腕の付け根)を放り込み、また煮込む。仕上がったのを適当に切って、炊き込みご飯にする。蹄膀を煮る前に、少し...ふじもと薬膳料理
さらに生薬を足したり煮詰めたりして、さながら魔女のスープのごとき怪しさがある。そこへ、茹でて洗った蹄膀(豚の腕の付け根)を放り込み、また煮込む。仕上がったのを適当に切って、炊き込みご飯にする。蹄膀を煮る前に、少しスープをとっておいて、米を炊く水とあわせる。
本当は土鍋で炊くのがよかったが、今回は炊飯器を使った。炊飯器の中の米の上にも、生薬を少し置いて、そのまま炊く。
平行して、青菜(チンゲン菜)と生菜(レタス)を、茹でて、魚露(魚醤)と胡麻油であえて、適当に切っておき、炊き上がったご飯に混ぜて出来上がり。
鹵蹄膀土鍋飯(漢方スパイスの炊き込みご飯)
これがとても不味い。炊き込みご飯だけを食べると、ひとくちで食欲をなくす。ところがどういうわけか、青菜と生菜の魚露と胡麻油あえを混ぜて食べると、不思議と美味しくなる。組み合わせの魔法だ。なんども分けて食べたり合わせて食べたりして、その秘密を解明しようとしたが、わからない。合わせると、それまでにはなかった第三の味が出てくる。コックさんも計算して作ったわけじゃない。咸肉菜飯の作り方を応用しただけなのだ。
咸鶏冬瓜湯(塩漬け干し鶏肉と冬瓜のスープ)
これもベースに薬膳スープの残りを混ぜている。咸鶏は、冬につくった自家製のもの。干し肉独特の香りが、冬瓜を引き立てる。
本日のお茶は「七子紅帯青餅プーアル茶」。
『日常の思想』 梅原猛著を読んで、お茶のことを考えてみると、やはりお茶は、東洋的なものだ。
力が沸くような興奮状態になるコーヒーは、生産的な感じがして、仕事に向いている。脱力して頭が空っぽになってしまうお茶は、生産的ではない感じがして、仕事には向いていない。
コーヒーは労働者の飲み物で、お茶は自由人の飲み物なんだ。忙しく働いて、少しでも時間があれば、語学の勉強やスポーツや趣味にはげみ、できるだけ多くの人と交流したり、外国へ旅行したりして経験を積むのが、人として前向きな姿勢で、暇な時間を、なにもしないまま瞑想でもして過ごすのはもったいないと思う人には、コーヒーがよく似合う。
アジアの国々は、工業生産国として経済発展して、労働者的な価値観が主流になっているから、お茶は主流になりにくいな。今、東洋的なものを求めているのは、東洋人ではなくて、西洋人だ。当店は相手にするお客様を考え直したほうがよいかもしれない。
]]>羅漢果銀耳湯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7735882008-08-05T19:31:00+09:002010-11-18T04:31:27Z2008-08-05T10:31:00Z羅漢果で甘いものをつくる。
これまでの羅漢果の料理で、甘さにコクがあったので、きっと甘いものにも良いだろうと考えた。そこで、昔つくっていたけれど、全く売れなくて終了した「薬膳デザートの素材セット」をベースにし、今回はさらに梨を加えることにした。
こ...ふじもと薬膳料理
これまでの羅漢果の料理で、甘さにコクがあったので、きっと甘いものにも良いだろうと考えた。そこで、昔つくっていたけれど、全く売れなくて終了した「薬膳デザートの素材セット」をベースにし、今回はさらに梨を加えることにした。
この素材セットも、長い時間かかって調合バランスを整えているので、茘枝(レイシ)や無花果(イチジク)など、甘味や香りが羅漢果に似たところがあるのを差し替えるだけで、完成度の高いものができる。
素材を軽く水洗いして、片手鍋に水を張って弱火で2時間煮る。枸杞(クコ)と梨は、2時間後から投入して10分で火を止め、最後に氷砂糖を入れて甘さを調整する。
羅漢果銀耳湯(羅漢果と白木耳の甘い汁もの)
かりんとう、おばあちゃんの黒砂糖餡の饅頭、そんな味覚を感じさせる。やや渋みやエグ味があるものの、それがお茶の渋みのごとく後味をさっぱりさせて、いくらでも食べられる。
ふと、思い出したが、小さな子供の頃は、なにが美味しいのかよくわからなかった。口にやさしいものが美味しいのであれば、チョコレートやカレーライスやハンバーガーばかり欲しがることになるが、そうならなかったのは、本当によい食べ物を教えてくれる大人がいたからだと思う。たとえば、手作りで採りたてのトマトは、甘味も強いが青臭みも酸味も強く、子供の口には刺激が強くて身が震える。しかし、そのトマトを丸かじりして、「この味こそが本物だ!上等な味なんだ」と美味しそうに食べて見せてくれる大人がいたのだ。大人を真似したいと思うのは、素直な子供心だろう。めざしの炙ったのを食べて、「こういうのは小ぶりでちょっと堅いめがいいんだ。頭からいくんだ。しっかり奥歯で噛んで、にじみ出てくる味がいいんだ。とくに腹のあたりの苦い味はたまらない」と、美味しそうに食べて見せてくれる大人がいた。だから、美味しいものと栄養のあるものとがひとつになるのだ。
このブログを読んでいるちびっこ諸君。お父さんお母さんがハンバーガーで育った人なら、頼ってはいられない。おじいちゃんおばあちゃん、親戚のおじちゃんおばちゃんの中には、誰か一人くらいは味のわかる人がいるはずだ。その人にひと言、こう言えばよい。「本物の味を知りたいんです」。そしたら喜んで本物の味というのを買ってくるか、食べに連れて行ってくれるだろう。さらに、つぎは何にしようか、つぎはいつにしようかと、向こうから言ってくるだろう。そしていつか大人になって、自分にもその番が廻ってくることを願うようになる。
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猪肝炒韮菜(レバニラ炒め)
蒜泥炒莧菜(ヒユナのニンニク炒め)
北虫草蛋湯(栽培型冬虫夏草と卵のスープ)
本日のお茶は「鳳凰金毫沱茶05年」
2005年のお茶なので、まだ熟成して変化した美味しさがないけれど、ちびっこ達なら20年も30年も、家で保存して美味しくなるのを待つことができるぞ。]]>葛根排骨湯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7734102008-08-04T20:53:00+09:002010-11-18T05:24:26Z2008-08-04T11:53:00Z漢方素材は、常温で2年も3年も保存できるものが多いが、仕入れてすぐのは半乾きのがあるので、晴れた日に天日干ししている。なかには、乾くと思いのほか縮んで軽くなるのがある。重量単位で買っているのだから、そこでヤラレタと気付くのだ。
今日は「葛根」を使った薬...ふじもと薬膳料理
今日は「葛根」を使った薬膳スープ。風邪薬で有名な「葛根湯」に調合されている葛根。マメ科のつる性植物の根で、芋の部分をさいの目切りにして干してある。解熱や消炎だけでなく、なぜか酒の二日酔い防止にもはっきりとわかる効果がある。玉竹は、ユリ科の植物の根茎で、肉骨茶(バクテー)にも使用している。
漢方素材は水で軽く洗う。排骨(骨付き豚アバラ肉)は、茹でて洗ってから使う。黒豆、生姜、水で煮る。途中で焼酎を少し入れる。最後に塩で味付け。スープが黒くなったのは黒豆のせい。
葛根排骨湯(葛根と骨付き豚肉のスープ)
クセはないけれど、葛根の出汁にはエグ味がある。それを救ったのは「魚露」。魚醤のことで、福建省やその南の広東やマカオで作られている。ナンプラー(タイ)。ニョクマム(ベトナム)にも似ている。魚露を入れると、深みが出て美味しかった。葛根そのものは、干し芋のような食感。味はとくべつなものではない。
ここにきて、やっぱり漢方素材だけを売るのは難しいと思う。これらを上手に使って美味しくするなど、われわれでも難しい。とくに強い香りや味のある素材は、0.5グラム単位で詰めてゆかないと、美味しくならないのを「十全大補湯」の試作の段階で十分に知ったはずなのに・・・
鹵蛋(煮たまご)
先日の「羅漢果烏骨鶏[保火]」の余ったスープに、香り付けのつもりで川弓(せんきょう)と、茶葉「大益8582七子餅茶06年」を足して、卵を煮た。
地三鮮(ジャガイモ、ピーマン、茄子の炒めもの)
清炒紫角叶(落葵・ツルムラサキの炒めもの)
本日のお茶は、今月のプーアル茶3種セットにした「83鉄餅プーアル茶」 、「プーアル方磚茶80年代」、「黄印7542七子餅茶」。
こうして比べると、漢方薬風味の「プーアル方磚茶80年代」の個性が光って、他の二つを凡庸に感じてしまう。飲み比べの罠だと言いたいが、この3種を組み合わせたのはミスだった。でも、今月いっぱいそのままでゆく。]]>羅漢果烏骨鶏[保火]http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7729312008-08-01T20:44:00+09:002010-11-19T02:42:49Z2008-08-01T11:44:00Z食料自給率を70%にしたい。国じゃなくて、自分をだ。つまり米や野菜を作り、鶏や豚を育てたいのだ。どういうわけか、一般的な野菜はプロが作ったのよりも、素人の作ったのほうが美味しい。生産コストや労働効率を無視できるからだろう。
とはいえ、仕事を捨てて、畑仕事...ふじもと薬膳料理
とはいえ、仕事を捨てて、畑仕事ばかりするわけにはゆかない。かといって、代わりに畑仕事をしてくれる人件費の安い人や、広い農地を求めて、雲南やタイやベトナムの山に移り住むのはごめんだ。人の英知が集結する都市の生活も好きなのだ。
われわれが上海で食べる野菜を、コックさんの親戚に完全有機栽培で作ってもらえないかと、本気で考えたことがある。しかし、採れたての野菜じゃないと食べたくないから、車で6時間の農地は遠すぎるし、週末だけの家庭菜園というわけにもゆかない。
いますぐにはなんともならないけれど、夢はいつも形を変えて実現するから、希望を持ち続けておこうと思う。
本日は「羅漢果」のつづき。
羅漢果のコクのある甘味を活かして、醤油ダレを作ってみる。
羅漢果、黄耆(おうぎ)、白人参を軽く洗って、生姜、醤油、塩をあわせて土鍋に火をかけて30分。最後に白酒を加える。汁が完全に冷えてから、烏骨鶏(ウコッケイ)を入れ、重石のための落し蓋をして、蓋をして、冷蔵庫に一晩寝かせる。
いったん烏骨鶏をタレから引き上げて、タレだけを先に沸騰させて、そこに烏骨鶏を入れ、葱をいれ、再度沸騰してから蓋をして弱火で10分煮て火を止める。烏骨鶏を煮すぎて肉が硬くならないようにこうする。土鍋ごと少し冷めるのを待って、烏骨鶏を取り出して肉切り包丁で骨ごと切る。皿にもりつけて出来上がり。
羅漢果烏骨鶏[保火](烏骨鶏の羅漢果ダレ煮込み)
見た目からして、美容に良さそう。実際にそうなのだけれど、なぜか楊貴妃の名前が頭に浮かんだ。こんなの毎日食べていたのだろうか。
味は、うーん。まあまあだなーと言いながら、みんなどんどん食べて、みるみる減っていった。やっぱり美味しかったのだ。ただ、この料理は肉を食べる料理なので、烏骨鶏よりは鶏、鶏よりは豚のほうが良いかもしれない。烏骨鶏の食感はいまいちで、やはりスープの出汁にするのが良いみたいだ。
肉燜豇豆(ササゲと肉の煮物)
これにも上の羅漢果のタレを使っている。
松菌豆腐湯(松菌茸と豆腐のスープ)
知り合いの中医に来てもらって、鍼灸治療。
手首に三本の指を立てて、かすかに動かすだけで、体の状態を診る「搭脉搏」。左手首は心肺腎。右手首は肝脾腎を診る。その結果、脉象(脈拍などの強弱、遅速、深浅などの状態)が弱い。腎臓が弱いと言われた。推定年齢50歳。・・・・・・。明日から、腎臓強化メニューでいく。先日の肉従蓉鶏湯なども良い。ただ、腎臓は腰痛と連動している。腰痛は高校生のときに車にはねられたのが原因なので、それがひびいているのかもしれない。
台風が過ぎて、ひさびさにスカッと晴れ。涼しくて読書日和だった。本は、『日常の思想』 梅原猛著。これは面白いぞ!久しぶりに知的興奮を味わった。
本日のお茶は「92紅帯青餅プーアル茶」。あっさり淹れるとスキッと爽やかなお茶。レモンのような香りがかすかにある。
]]>紅花干貝炒飯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7727762008-07-31T18:32:00+09:002010-11-19T02:52:29Z2008-07-31T09:32:00Zこの食生活をはじめてから、徐々に食べる量が少なくなった。
少ない量でも十分に栄養が足りているから、体がそれ以上に求めないのだと思う。逆に言うと、体がたくさん欲しがるのは、食べものに栄養が足りていないからではないか?と、過去の日本にいたときの食生活をふり...ふじもと薬膳料理
少ない量でも十分に栄養が足りているから、体がそれ以上に求めないのだと思う。逆に言うと、体がたくさん欲しがるのは、食べものに栄養が足りていないからではないか?と、過去の日本にいたときの食生活をふりかえって思う。中身がしっかりしないので、カロリーオーバーを承知の上で沢山食べなければ、本当に必要な栄養が摂れず、健康が維持できない。そんな食べものこそ見直すべきであって、医者の言う、脂っこいものや塩分の強いものがいけないとか、カロリーひかえめにというのは、おかしな話だ。それを、体が調整するための栄養が足りないというのに、足りないほうに合わせて、さらに栄養をひかえよと言うのだから。
間違っているかもしれないけれど、そう考えて行動してみる。
本日は「紅花」を使う。
紅藍花ともいう。血行を良くする。婦人病や更年期障害に処方される。日本では生薬よりも染料として使われているが、どちらにしても中近東や中央アジアが原産で、シルクロードの交易の時代に中国や日本に持ち込まれている。
フライパンに油をしいて、弱火で紅花10gを炒める。やわらかい紅花が、炒めてゆくうちにパラッとして、香りがぐっと出てくる。干し貝柱の炒飯をつくって、そこへ炒めた紅花を混ぜて出来上がり。
紅花干貝炒飯(紅花と干し貝柱のチャーハン)
うまい!ベースの干し貝柱の炒飯は、うちでもトップクラスの美味しさである。そのバランス、その技術を徹底的に追求したのは、過去の記事にもあるが、あまりにも微調整をしたせいで、ほんのちょっと干し貝柱が多いとか、余っていた野菜を足して水分が多くなっただけでも、バランスは崩れて、普通の炒飯になってしまう。しかし、この紅花の香りが加わったのは、干し貝柱の香りが失われる程度で、差し引きゼロだ。むしろ、紅花を油で炒めた香りは、上品で好ましい。
百合炒芹菜(百合根とセロリの炒めもの)
菌?痩肉湯(キノコと赤味肉のスープ)
本日お茶「後期文革散茶プーアル茶」。
熟茶であるが、生茶の1950年頃の年代モノに似た風味があるのは、1970年代から1980年代初期につくられた熟茶の特徴。樟香と沈香の間くらいの香りや、すっきりした後口は、易武山など、深い山にある江北(孟海のメコン川上流域の川の北側)の六大茶山の茶葉の老茶の雰囲気に似ている。]]>羅漢果田鶏湯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7726452008-07-30T21:07:00+09:002010-11-19T03:08:17Z2008-07-30T12:07:00Z酒造りに使う水、宮水について、『日本の酒』発酵学者・坂口博士著には、こう書いてある。ちょっと省略して書くと・・・・・宮水には、どのような成分が重要かがわかっていて、それらの成分を水に加えた、加工水をつくることも、今ではふつうに行われているので、天下の名...ふじもと薬膳料理
漢方もそうだ。自然物のありとあらゆる成分が複雑に関係してどう作用するかを、酵母の培養ではなく、人の体で長年試されてきたのだ。
本日は「羅漢果」(らかんか)を使う。
羅漢果(らかんか)は、広西チワン族自治区の桂林周辺の土地を産地とするウリ科の多年草つる性植物。桂林といえば、いわゆる水墨画の岩山の風景のところであるが、その石灰質の土壌、亜熱帯気候、豊富な雨量などの条件が、羅漢果を育てるらしい。収穫されてから、干して炙ってカラカラにしたのを漢方素材として売られる。
今日は田鶏(カエル)といっしょにスープにする。田鶏を選んだのに特別な理由は無い。骨つきの鶏でも肉でも魚でも良かった。羅漢果のほかに、川貝母(せんばいも)、沙参(しゃじん)を組み合わせたが、それらはまた別の機会に紹介する。
羅漢果1つ、川貝母10g。沙参20gを洗って土鍋に入れて、下処理をしたカエル、生姜、葱、水1.5リットルといっしょに火にかけ、沸騰してから日本酒少しを入れ、弱火で1時間半。塩、刻んだ葱を入れて出来上がり。
羅漢果田鶏湯(らかんかとカエルのスープ)
羅漢果は、1個でも多すぎた。ちょっと甘くなりすぎた。でも美味しい。分量を調整すればかなり有望な調味料となりそう。スープの甘味にコクがある。たとえば、黒蜜や鰻のタレみたいな甘味。カエルは、脂肪の少ない肉なので、煮込みすぎるとワシワシになってしまうが、骨の周りにちょっとの身だから、それもまたよし。肉よりスープのエキスが主役だからいいのだ。
清炒油麦菜(油麦菜の炒めもの)
紅椒毛豆焼肉丁(枝豆とさいの目切り肉の炒めもの)
新種のカエルではない。
背骨の筋が痛いので火罐(吸い玉)をしている。説明しつくされないサムシングがまだまだある。坂口博士は「何事によらず未知の世界が残されているということは楽しい事でもある」と言われている。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」。
お茶のすべても、みなさんが生きている間に解明されることはないと思うので、頭で知るより先に体で享受されたし。]]>北虫草炒粉絲http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7724622008-07-29T18:49:00+09:002010-11-19T03:17:38Z2008-07-29T09:49:00Z子供の頃、おじいちゃんの畑を手伝っていた。家族で食べる野菜なので、有機栽培。山の急斜面は自由に使えるから、土は2年使ったら1年休ませるという具合に、のんびりしていた。その頃の野菜と、今の野菜の違いから感じるのだが、今の野菜は、土が疲れきっている。疲れた土...ふじもと薬膳料理
そういうわけで、発酵食品と漢方なのだ。この二つを上手に家庭料理に取り入れることで、栄養不足の問題をある程度解決できると考えている。
本日も「栽培型の冬虫夏草」の料理。
下は麦門冬(バクモントウ)10g分。以前にも紹介している。のどを潤おす効果がある。これは昨日のスープの残りに足して煮る。
北虫草(栽培型の冬虫夏草)は8g分。そのやさしい食感を活かして、炒めものに使ってみる。北虫草を簡単に洗って、600mlの水といっしょに片手鍋に蓋をして弱火で煮る。30分ほど。春雨は水に戻しておく。細切り肉は、片栗粉、紹興酒、胡椒、油、水を混ぜて、冷蔵庫で少し寝かせる。
中華鍋に油をしいて、生姜、細切り肉を炒めて、いったん皿にとっておく。残した油にミニ白菜、春雨を炒めて、北虫草を煮汁ごと入れる。塩、醤油で味付けして、細切り肉を合わせる。最後に刻み葱を散らす。
北虫草炒粉絲(北虫草と春雨の炒めもの)
栽培型の冬虫夏の食感は、エノキ茸にちょっと似ていて、春雨といっしょに食べると、歯ごたえに変化を楽しめる。味は、スープとなって春雨に吸収されて、しっかり旨味になっている。ご飯に乗せて食べる。今日は8g使ってみたが、ちょっと多すぎるような気がした。5gでもよかった。
香?炒刀豆(ナタ豆と椎茸の炒めもの)
北虫草麦冬鶏湯(北虫草と麦門冬の鶏のスープ)
麦門冬の強いシャキシャキ感は、煮ても焼いても、相性がいまいちだな。やっぱり「黒豆と麦門冬のスープ」みたいなデザートとしてのほうが良いと思う。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」 。
この味は、ちょっと置いてぬるくなっても美味しい。酒で言うところのぬるめの燗くらい。しぃみじみぃ〜飲めばぁーっと。
台風が接近してきているらしくて、空が怖い顔している。]]>北虫草鶏湯http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=7722942008-07-28T19:08:00+09:002010-11-19T03:21:59Z2008-07-28T10:08:00Zこの先、食の問題がいろいろ起ってこようが、うちは発酵食品と漢方で解決する。
ということで、本日は「栽培型の冬虫夏草」のスープ。
栽培型の冬虫夏草。北冬虫夏草とも呼ばれる。略して北虫草。
冬虫夏草は、過去にも何度か登場しているが、いずれも天然のものであっ...ふじもと薬膳料理
ということで、本日は「栽培型の冬虫夏草」のスープ。
栽培型の冬虫夏草。北冬虫夏草とも呼ばれる。略して北虫草。
冬虫夏草は、過去にも何度か登場しているが、いずれも天然のものであった。スープの料理を紹介している。チベットや青海の、標高3000メートル付近の山の土の中に住むコウモリ蛾の幼虫に寄生する。人工的な環境で栽培される北虫草は、米、とうもろこし、蚕蛾が使用される。天然モノと人工栽培モノの価格差は50倍ほどある。その違いがどのようなのか説明できないが、両方を食べて体感したところは、たしかにはっきりと違う。例えば、自分の場合は、天然モノは鼻がスースーと通り、呼吸が軽くなるが、人工栽培モノにはそれがない。
もちろん人工栽培のものでも、ある種の効果は期待ができる。3gほどを湯飲みに入れて、湯を注いで飲む。味がなくなるまで湯を継ぎ足して飲んで、最後は食べてしまう。それを3日間も続ければ、多くの人なら、なにかしらの変化に気付くだろう。
(オレンジ色は着色ではなく、菌のもつ色。)
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本日の料理は、それを使って、黄精(おうせい)と党参(とうじん)と組み合わせてスープにする。この3つの組み合わせは、暑いときによさそう。黄精は、ユリ科の植物の根。肺を潤したり、唾液の分泌を促したり、滋養強壮によい。党参には清熱や解毒、利尿作用があるとされる。「十全大補湯・薬膳スープ」にも使っている。もちろん冬虫夏草だけでスープにしても良い。鶏のスープは多くの漢方との相性が良い。
北虫草鶏湯(北虫草と鶏のスープ)
いずれの漢方素材も強い香りや味がしないので、個性的なものにはならない。北虫草は天然モノよりもずっと一般的なキノコに似た香りと味で、料理には使いやすい。そのままでも食べられるほどのやわらかい歯ごたえなので、炒めものにも使えそうだ。
蕃茄炒蛋(トマトと卵の炒めもの)。
青椒肉絲(ピーマンと豚の細切り炒め)。
彩りてきにも夏の野菜。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」。
これも、昨日紹介したみたいな暑い日の苦いお茶として楽しめる。ややおっとりした苦味になる。
本日の読書は「グレート・ギャッツビー」スコット・フィッツジェラルド著 村上春樹訳。まだ途中だが、なんか面白くなってきたぞ。将来、50代になってからでいいので、ニューヨークに近いところあたりに住んでみたい。3年くらい。
「グンジ家の食卓」さんを見る限り、海の幸はよさそう。]]>