上海のお昼ご飯!
http://blog.puer-cha.main.jp/
上海の自宅でコックさんがつくる美味しく健康な家庭の中華料理。<br />
野菜と肉とスープと、炊きたての白いご飯が基本構成。ぼちぼち更新。<br />
(2008年9月11日、更新を終了しました。)<br />
(2010年6月 追記をしました。)
ja
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=776639
追記その1.青菜は上海にあり
上海には青菜が豊富にある。青菜とは、ここでは葉っぱもの野菜を意味する。秋冬春の涼しい時期は陸上の葉っぱものが多く、梅雨のころから夏の終わりまでの暑い時期は水生の葉っぱものが出てくる、。市内のあちこちにある野菜市場に行けば常に5〜6種類は上海近郊で栽培され...
上海には青菜が豊富にある。
青菜とは、ここでは葉っぱもの野菜を意味する。秋冬春の涼しい時期は陸上の葉っぱものが多く、梅雨のころから夏の終わりまでの暑い時期は水生の葉っぱものが出てくる、。市内のあちこちにある野菜市場に行けば常に5〜6種類は上海近郊で栽培された青菜が見つかる。それは土がついたままか、あるいは水で軽く洗っただけで、包装などせずそのまま売られている。つまり冷蔵庫には一度も入っていない新鮮な状態。日本人が冷凍の魚を刺身で食べないように(一部マグロなどを除いて)、中国人は冷蔵庫に入った青菜は食べない。
日本人が海外に長期滞在すると、魚と米はやっぱり日本が美味いことを知ると思う。消費者の要求するレベルが高ければ、漁師さんの魚の扱いからして違うので、魚が良いのはあたりまえなのだけれど、そのありがたみは海外に住んでみないとわからない。
上海を離れてしばらく時間が経った今、上海は青菜が美味いということを改めて知って、そしてここに書きたくなったわけだ。
青菜の豊富なのは、長江の河口デルタ地帯というのが関係しているらしい。かつて太古の時代から大河があふれ出すたびに運んできた細かい粘土質の土は栄養たっぷりでしっとりとしていて、青菜の根はそれを好んで元気に育つ。海の方からの水の圧力で行き場を失って枝分かれした水流がいたるところに小川や沼地をつくる水郷地帯は、多種多様な水生植物を育む。そして上海にその新鮮な青菜が届くのは、おそらく1970年代の政策で、都市を取り囲むように近郊農業を発達させたことによる良い点が残っているのだと思う。
一方で、トマト、茄子、玉ねぎ、ジャガイモ、ピーマンなどやや乾燥した土の好きな野菜は育ちすぎるせいか水っぽくて味がない。もしも上海で美味しいトマトが食べられたなら、それは遠くの雲南省とかそのあたりの高地栽培のものだ。だから上海ではトマトの作れない冬のほうが、かえって美味しいトマトが食べられたりする。
青菜はちょっと気難しいところがあって、家庭料理には使いやすいが、レストランでは扱いの難しい食材となる。青菜の味は季節や鮮度や天候までもが大きく左右するので、仕入からして毎日調整する必要があり、肉料理や豆腐料理のようにいつもと同じ味が再現しにくい。安い料理の割に手間がかかる。やわらかく細かい葉を洗って、悪いところを取り除く時間のかかる下ごしらえは、出稼ぎの労働者の賃金が年々上昇してゆく上海では、レストランにとっては稼げない料理となる。
レストランで美味しい青菜料理に出会えるかどうかはそのときどきの勝負となるが、どんなに高くても数百円の安い料理なのだから、とりあえず季節のを1〜2皿頼んでみてほしい。
青菜料理を過去の記事からちょっと検索してみた。
小菠菜粉絲肉片湯
腐乳空心菜
臘肉炒蒜苗
芦蒿炒肉絲
清炒紅菜苔
西洋菜香?肉絲湯
清炒金絲芥
ふりかえってみると、ひとつ失敗がある。青菜料理の代表格である「香?菜心」の研究をしていないのに気付いた。「馬蘭頭」も研究するべき青菜のひとつだった。これは日本に長期滞在しながら、イワシ料理を勉強しないのと同じことになるかもしれない。
よい青菜料理を食べるために、もうひとつ書いておかねばならないコツがある。レストランでオーダーするときには「不要放味精鶏精」と告げて、アミノ酸化学調味料を使用させないことが肝心だ。どの青菜も同じようなベッタリした味になって素材そのものの風味が台無しになる。
ついでに注意する点として、レストランの服務員の短期的な記憶力は15秒である。オーダーを聞いて厨房に注文を出すまでに別の席の客に呼び止められたりして15秒以上かかった場合は、もう一度「不要放味精鶏精」と軽く念を押すほうが良い。
レストラン選びでは、バターなんかで炒めようとするヌーベルオシャレ上海料理はダメ。そういうレストランはフランス租界のしゃれた建物に入っていて、看板料理にフカヒレやアワビがある。
上等な本物の料理人であれば、干しエビ、干しアミエビ、干し貝柱、干し貝、干し蟹、小魚の干したもの、魚醤、腐乳、豆味噌、鶏ガラスープ、豚骨スープ、渡り蟹、各種漬物汁、生姜汁、ニンニク汁、ゴマ油、ピーナッツ油、ネギ油、など伝統の調味料を使い分けて、その時のその青菜のコンディションにベストな味付けをしてくれるだろう。火の通し具合も、青菜それぞれの歯ごたえや香りの立ち方が計算されていることだろう。ピタッと決まった青菜料理はまさに芸術品で、飽食の時代に飢えを忘れた人々にも、食の喜びと希望を蘇させる。
しかし、すばらしい青菜料理の出せるレストランを見つけたら、残念ながらそこはすでに経営危機にある。季節の色彩や料理人の心意気を青菜に見つけることのできる客が減っているからだ。美味しい青菜料理に出会ったら、ぜひそれを褒めてほしい。それが料理人に聞こえたら、料理人は自分の腕に自信を取り戻し、仕事に誇りを感じることができる。(2010年6月)
]]>
追記
2010-11-24T02:26:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=776047
あとがき
ブログの更新を終わることにした。
もったいないと友人から言われるけれど、もう十分だ。いろいろ試したし、満足している。それにもうネタが少ない。場所を変えて、四川や広東への展開という案もあるけれど、すぐには無理だ。生活もあるし・・・というわけで、いったん終...
もったいないと友人から言われるけれど、もう十分だ。いろいろ試したし、満足している。それにもうネタが少ない。場所を変えて、四川や広東への展開という案もあるけれど、すぐには無理だ。生活もあるし・・・というわけで、いったん終了させることにした。
上海のお昼ご飯!の意志は、「プーアール茶.com」が受け継ぐ。このブログで学んだことを活かしてゆく。
「麻辣火鍋」や「薬膳スープの素材セット」のレシピ情報は、このブログではなく、それぞれのページに更新するつもり。お茶についても同様。
このブログは、過去の記事を検索しやすいようになっている。例えば、豆腐料理を知りたければ、「豆腐料理」のカテゴリーで検索できる。9月の季節料理を知りたければ、過去の2005年〜2007年の9月の記事で検索できる。「腐乳」を使った料理を知りたければ、キーワード検索で「腐乳」とタイプすれば良い。だから、料理好きな人はこれからも活用してほしい。
ところで話は変わるが、最近になって、漠然と心にひっかかっているテーマがある。ちょうどそんなときにピッタリの本を読んだ。
『梅原猛の授業 道徳』 著者:梅原猛 朝日文庫
身近なところで、食べることの「道徳」や「美徳」を考えさせられる出来事が多くなっている。自分の考えを改めずに、このまま逃げ切るわけにもゆかなくなっている。これからの時代に、ほんとうに良い料理や食事とはどういうものか、生活とは、仕事とは、・・・そんなことをじっくり考えてみたい。そういう自分の道徳はどうなのか?と問われる恥ずかしさに堪えて、食の道徳を真っ向から語れるようになりたい。
本日のお茶は「7542七子餅茶99年無内飛プーアル茶」。
]]>
生活、旅行、その他
2008-09-11T19:18:37+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=776638
十全大補湯・水の量を変更
十全大補湯のレシピの、水の量を変更。
1リットルから1.5リットルへ。
土鍋の形状によっては、水の蒸発が多く、出来上がりのスープの量が少なくなりすぎる。とくに、いわゆる日本の鍋料理に使われる底の浅いタイプや、少し大きなサイズの土鍋を使う場合は、蒸発が早い。...
1リットルから1.5リットルへ。
土鍋の形状によっては、水の蒸発が多く、出来上がりのスープの量が少なくなりすぎる。とくに、いわゆる日本の鍋料理に使われる底の浅いタイプや、少し大きなサイズの土鍋を使う場合は、蒸発が早い。
煮込む途中でスープの量が少なくなりすぎる場合は、水を足していただきたい。
⇒【十全大補湯・薬膳スープの素材セット】
]]>
十全大補湯・薬膳スープの素材セット
2008-08-21T21:04:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=775206
鹵水蛋
醤油と骨頭(とんこつ)抜きで鹵水をつくる。
個性のある味を求めて、いろいろ差し引いていって、この香り、この味こそが、鹵水の中心なんだというのを見つける。その中心になる香りと味をつくる漢方スパイスは、ほんの3〜4種類かと思うが、いまは17種類使っている。「十...
個性のある味を求めて、いろいろ差し引いていって、この香り、この味こそが、鹵水の中心なんだというのを見つける。その中心になる香りと味をつくる漢方スパイスは、ほんの3〜4種類かと思うが、いまは17種類使っている。「十全大補湯」や「麻辣火鍋」や「肉骨茶」にもたくさんの漢方スパイスを使っているが、それらの味の個性の中心となるのも、やはり3〜4種類である。その3〜4種類を見つけないことには、はじまらない。
醤油を抜いたせいで、色は薄くなったが、味は濃い。そのまま飲んでみると、顔をしかめるほど塩辛い、苦い、えぐい。とてもじゃないが、これで肉や豆腐を煮て美味しくなるとは想像できない。コックさんの言うには、塩水鴨の漬け汁もこんな感じらしい。
鹵水蛋(鹵水の煮卵)
鹵水はそのまま使うだけでなく、鹵水をベースにして香りや味を足しても良い。鹵水を小鍋に移して、茶葉蛋にならって、茶葉(鳳凰金毫沱茶05年)を足した。いわゆる弁当に入っている、なんともいえない漢方風味のある煮卵になった。
鹵水猪舌頭(豚の舌の鹵水煮)
鹵水の味を比べてゆくために、これは毎回つくる。個性が強すぎて、美味しくない鹵水を目指しているにしては、美味しすぎるのができた。醤油を入れていた前回よりもこのほうが美味しい。しかし、向かっている方向は間違ってない。
前回のと今回のでは、今回のほうが美味しいとする価値観の、そのルートをたどってゆくと、食べるということの美徳や道徳に触れることになりそうである。いまいちどそこを見直したい。
豆鼓炒扁豆(レンズ豆の豆鼓炒め)
腐竹金針湯(乾燥ゆばとえのきのスープ)
本日のお茶は「7542七子餅茶99年無内飛」。
夏前から薬膳食を続けたせいか、体の調子がよい。朝は早起きして、すぐに湯を沸かして、エアコンなしで汗をかきながら熱い茶を飲む。それからシャワーして着替える。これがまた気持ちよい。そのまま一日気持ちよく過ごせる気がする。お茶は、茶葉にちゃんと力のあるやつを、体感となって効果の現れるやつを選ぶべし。そうでないと意味が無い。
]]>
卵料理
2008-08-14T10:06:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=774530
鹵水猪舌頭
さっそく友人を呼んで、鹵水の料理を食べてもらった。
そしたら、「美味しい美味しい」と言ってパクパク食べていた。これではダメなんだ。美味しかったらよいというものではない。料理は、その味の与える印象も大切で、ときには美味しさが邪魔することもある。美味しさを...
鹵水の料理を食べてもらった。
そしたら、「美味しい美味しい」と言ってパクパク食べていた。これではダメなんだ。美味しかったらよいというものではない。料理は、その味の与える印象も大切で、ときには美味しさが邪魔することもある。美味しさを犠牲にしてでも、はっきりとその料理に対する考え方を、個性ある味で表現したほうが良い場合もある。
鹵水豆腐(木綿豆腐の鹵水煮)
考え抜いて、なんども試した結果、われわれはこの料理をこういう味であるべきだと思うのです!ということを、言葉ではなく、味で表現するのだ。味に込める想いは、われわれの未来への希望であり、全人格をかけた思想である。そのような主張がはっきりするほど、嫌いな人もでてくるだろうが、そのような人たちにも、思想の存在が伝われば良い。そのほうが、思想なき美味しい料理よりは、よほどましなのだ。
鹵水猪舌頭(豚の舌の鹵水煮)
しかし説明が面倒なので、ひと言だけ、「もっと美味しくない鹵水にしてください」と言ったものだから、コックさんは固まった。その表情は、遠く地平線を見ていた。
次にやるべきことはわかっている。すでに炒飯で経験しているように、引き算から入る。つぎは醤油も骨頭(豚骨)も使わずに、塩と酒だけで鹵水をつくってみる。
苦瓜炒蛋(ニガウリと卵の炒めもの)
山薬蛤蜊湯(アサリと長芋のスープ)
清酒 五橋 山口県酒井酒造
後ろの白いのは、自家製どぶろく二段仕込
本日のお茶「同興號後期圓茶70年代」。
『梅原猛の授業 仏教』を読みはじめているが、やはりいい。自分の食や生活に対する考え方にも、知らないうちに仏教が生きているようだ。食べることや料理について、ときどき人と意見が合わないときがあるけれど、なぜそう思うのか、自分でもわからなくて、うまく説明できないことがある。そのへんがはっきりするかもしれない。宗教は選ぶこともできるけれど、食や生活の観点でみるなら、生まれ育った土地の宗教が良さそうだ。過去に経験したことのすべてが繋がって、この先するべきことが見えてきそうな予感がする。
]]>
豚肉料理
2008-08-10T21:09:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=774156
鹵水
いよいよ鹵水の研究に入る。
鹵水とは、塩、醤油、酒、生姜、十数種の漢方スパイスと、豚や鶏の骨を煮出してつくる、出汁とタレの間くらいの濃さの、一種の調味料。それを大鍋にたくさんつくっておいて、小鍋に分けて、鴨や豚や牛の臓物類、豆腐類などを煮たり、あえたり...
鹵水とは、塩、醤油、酒、生姜、十数種の漢方スパイスと、豚や鶏の骨を煮出してつくる、出汁とタレの間くらいの濃さの、一種の調味料。それを大鍋にたくさんつくっておいて、小鍋に分けて、鴨や豚や牛の臓物類、豆腐類などを煮たり、あえたりする。その料理は、発祥の地の潮州料理を含む広東料理の代表的な冷菜になっている。冷菜というポジションが、この調味料の特徴の表れているところだろう。
昔は、みんな暇な時間がたっぷりあって、自分達で十数種の漢方スパイスをそろえて、独自の配合と煮出し方で、家庭や店の味をつくっていたようだが、忙しくなるにつれて、手間ひまをかけなくなって、独自の味を守りぬいている家庭や店は減る一方。スーパーには簡単な化学調味料入りの鹵水の素がめちゃくちゃ安く売られているし、レストランは業者がまとめて量産したものに、ちょっと風味を加えて味を濁している程度が多い。便利さと安さを過剰に求めた量産品は、われわれの口には合わない。
今日の鹵水は17種類の漢方スパイス。高良姜や山奈が初登場の素材で、それ以外は、「十全大補湯」や「麻辣火鍋」や「肉骨茶(バクテー)」ですでに登場しているもの。さらにまだ3種類ほど気になる素材があって、それについては手配中である。
豚の骨頭を茹でて洗って、生姜と、中薬包に入れた漢方スパイスを大鍋に入れ、水を足して数時間煮込む。途中で塩、醤油、酒を足す。その後も数日間にわたって、何度も火を入れて、足りなくなった水や漢方スパイスや調味料を注ぎ足して、なくなるまで使う。
本日の具の鴨珍(鴨の砂肝)は、いったん茹でたのを小鍋に分けた鹵水で1時間ほど煮る。腐竹(乾燥した湯葉は)は、水に2時間ほど浸けて、茹でてから、小鍋に分けた鹵水にちょとだけ火を通してあえる。くれぐれも煮込んではいけない。
鹵水鴨珍(鴨の砂肝の鹵水煮)
鹵水腐竹(乾燥湯葉の鹵水あえ)
どちらも上出来。普通のご飯のおかずになるが、それではつまらない。もっと尖った個性が欲しい。鹵水が鹵水でなければならない味へ、これから徐々にやってゆく。
腐乳空心菜(空心菜の腐乳炒め)
葉はみごとに虫食い。虫食いの野菜や果物が、かえって美味しいと感じるのは、子供の頃におじいちゃんが節約の美徳として虫食いも美味しいと教えたからだと、ずーっと思い込んでいたのだが、もしかしたら本当に美味しいかもしれない。例えば、台湾の東方美人という烏龍茶は、茶葉にウンカという小さな虫がついて、虫食いになった茶葉が、怪我をしたときの人間が白血球を増やして、ばい菌に抵抗するかのごとく、自らを治癒しようと増やした抗体成分が、茶葉に独特の甘い香りをもたらす。・・・ということは、野菜や果物にもそういう反応があってもおかしくない。
蕃茄蛋湯(トマトと卵のスープ)
チベット系の店で、CDを買った。
CD一枚に、お経のような歌が延々と1時以上も繰り返すたった一曲が入っている。聞いていると、やがて起きているのか眠っているのかわからないような感覚になる。年代モノのプーアル茶を飲んだ後の感覚に似ている。
味や、飲んだ後の感覚には、それを作った土地の人や、それを求めた土地の人たちの生活にそった機能的なもの、例えば羊肉が主食だったから油を流すプーアル茶が必要とか、それとはまた違ったところの、美意識とか価値観とか世界観も影響していて、それがお茶の美味しさとか、気持ちよさとかを決めていないかな?と思うところがある。
「沈香老散茶50年代」の、伽羅や白檀を想わせる香りが評価されているのは、仏教がベースにあることを感じさせる。そんなわけで、仏教美術が気になりだしている。
]]>
調味料
2008-08-08T20:37:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=773949
葱油面
いつも自転車で通る下町の一角に、間口2メートルほどの小さな葱油面の店がある。人が並んでいるのを見てその存在に気付いた。昼時には道端に出した低いプラスチック椅子とテーブルひとつに、蟻がたかるようにランニングシャツの労働者達がしゃがんで葱油面をすすっている...
「振鼎鶏」に行って、そこの葱油面を食べる。これもあんがい美味しい。
こういう庶民の軽食では、うちはぜったいに負けてはならない。それは柔道のオリンピック選手が道で喧嘩に負けるようなものなんだぞと、コックさんを鼓舞しておいた。
葱を刻んで、中華鍋でたっぷり油を熱して、葱を炒める。香りが出たら醤油(日本の醤油と同じ)、砂糖、胡椒、辣椒粉、水を足して、葱油ソースの出来上がり。
昨日紹介した、漢方スパイスたっぷりの鹵水で煮込んだ蹄膀(豚の腕の付け根)。冷蔵庫に冷やしてあるままを切る。
ヒユナは茹でておいて、さきほど葱油を炒めた中華鍋の残りの油にあえる。火はつかわない。麺は市販の生麺を使った。茹で上がりに冷水でしめる。しかし麺を冷やしてしまってはいけない。暖かい麺に葱油ソースがかかるから、香りが広がるのだ。麺の上にヒユナと鹵蹄膀を盛り付けて、葱油ソースは、食べる人が好きなだけかける。もちろん味を見ながら、少しずつソースを足すのがよい。
葱油面(ネギ油の麺)
まい!いまう!興奮でタイプミスするほど美味い。これに勝てる葱油面などありえんだろ!口に入れた瞬間の香りと味の広がるスピードが、スープの湯麺とは自転車とロケットくらいにちがう。麺が口に入って、舌の上に接するか接しないかのところで、すでに脳がこれはめちゃくちゃうまいと認識して、唾液を発射する。さらに勢い余って涙腺をも刺激する。それほどに油は美味しさの要素をすばやく運ぶことができる。油でなければいけない料理もある。油が体に悪いから油ひかえめの料理なんぞ、浅はかな知識だ。そんなこという料理人は根性叩きなおしてやるから、ここへ修行に来い!そんなつまらないことで食の楽しみを減らすことはない。消化の森羅万象に油がどのように関係しているかを100%解明されてはいないのだ。僕はそれは待てないから、数千年の人体実験の結果を支持して、今すぐ油の料理を楽しむけれども。
鹵蹄膀は、漢方スパイスの風味でスースーして、肉とゼラチンのこってり感をゼロにするどころか、葱油面全体においても、新鮮な風が吹き込む窓となって、下町の葱油面とはちがうものにした。
黄耆茶樹?湯(おうぎと茶樹?のスープ)
本日のお茶は「下関銷法沱茶90年代」。
油の料理には、しっかり熟成した熟茶をたっぷり作っておいて、食べてからすぐに飲めるようにしておく。
下関銷法沱茶90年代は、良いお茶で、われわれは毎日のように飲んでいる。1個250gは、一日5gずつ(1.5〜2リットル分になる)飲んでも、50日分あるのだからなかなか減らない。在庫もたっぷりあるし、しばらく大丈夫だけれど、90年代の熟茶で、この美味しさ、この価格、この熟成の仕上がり具合というのは、めったに見つからないから、お客様はできるだけ早めに、1個よりは2個、2個よりは4個と、できるだけ多いめに確保されたし。年代モノには、数に限りがある。新しく作られる下関銷法沱茶がこれよりも美味しくなるのは、やはり10年以上かかるだろうし、また今の茶葉と、昔の茶葉との違いは、下関銷法沱茶90年代のページに紹介しているとおりだ。
美味しいお茶が入手しにくいというのは、誰よりもわれわれのほうが知っている。
]]>
麺・点心
2008-08-07T18:25:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=773814
鹵蹄膀土鍋飯
このところの漢方のスープが余っている。
さらに生薬を足したり煮詰めたりして、さながら魔女のスープのごとき怪しさがある。そこへ、茹でて洗った蹄膀(豚の腕の付け根)を放り込み、また煮込む。仕上がったのを適当に切って、炊き込みご飯にする。蹄膀を煮る前に、少し...
さらに生薬を足したり煮詰めたりして、さながら魔女のスープのごとき怪しさがある。そこへ、茹でて洗った蹄膀(豚の腕の付け根)を放り込み、また煮込む。仕上がったのを適当に切って、炊き込みご飯にする。蹄膀を煮る前に、少しスープをとっておいて、米を炊く水とあわせる。
本当は土鍋で炊くのがよかったが、今回は炊飯器を使った。炊飯器の中の米の上にも、生薬を少し置いて、そのまま炊く。
平行して、青菜(チンゲン菜)と生菜(レタス)を、茹でて、魚露(魚醤)と胡麻油であえて、適当に切っておき、炊き上がったご飯に混ぜて出来上がり。
鹵蹄膀土鍋飯(漢方スパイスの炊き込みご飯)
これがとても不味い。炊き込みご飯だけを食べると、ひとくちで食欲をなくす。ところがどういうわけか、青菜と生菜の魚露と胡麻油あえを混ぜて食べると、不思議と美味しくなる。組み合わせの魔法だ。なんども分けて食べたり合わせて食べたりして、その秘密を解明しようとしたが、わからない。合わせると、それまでにはなかった第三の味が出てくる。コックさんも計算して作ったわけじゃない。咸肉菜飯の作り方を応用しただけなのだ。
咸鶏冬瓜湯(塩漬け干し鶏肉と冬瓜のスープ)
これもベースに薬膳スープの残りを混ぜている。咸鶏は、冬につくった自家製のもの。干し肉独特の香りが、冬瓜を引き立てる。
本日のお茶は「七子紅帯青餅プーアル茶」。
『日常の思想』 梅原猛著を読んで、お茶のことを考えてみると、やはりお茶は、東洋的なものだ。
力が沸くような興奮状態になるコーヒーは、生産的な感じがして、仕事に向いている。脱力して頭が空っぽになってしまうお茶は、生産的ではない感じがして、仕事には向いていない。
コーヒーは労働者の飲み物で、お茶は自由人の飲み物なんだ。忙しく働いて、少しでも時間があれば、語学の勉強やスポーツや趣味にはげみ、できるだけ多くの人と交流したり、外国へ旅行したりして経験を積むのが、人として前向きな姿勢で、暇な時間を、なにもしないまま瞑想でもして過ごすのはもったいないと思う人には、コーヒーがよく似合う。
アジアの国々は、工業生産国として経済発展して、労働者的な価値観が主流になっているから、お茶は主流になりにくいな。今、東洋的なものを求めているのは、東洋人ではなくて、西洋人だ。当店は相手にするお客様を考え直したほうがよいかもしれない。
]]>
薬膳料理
2008-08-06T22:59:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=773588
羅漢果銀耳湯
羅漢果で甘いものをつくる。
これまでの羅漢果の料理で、甘さにコクがあったので、きっと甘いものにも良いだろうと考えた。そこで、昔つくっていたけれど、全く売れなくて終了した「薬膳デザートの素材セット」をベースにし、今回はさらに梨を加えることにした。
こ...
これまでの羅漢果の料理で、甘さにコクがあったので、きっと甘いものにも良いだろうと考えた。そこで、昔つくっていたけれど、全く売れなくて終了した「薬膳デザートの素材セット」をベースにし、今回はさらに梨を加えることにした。
この素材セットも、長い時間かかって調合バランスを整えているので、茘枝(レイシ)や無花果(イチジク)など、甘味や香りが羅漢果に似たところがあるのを差し替えるだけで、完成度の高いものができる。
素材を軽く水洗いして、片手鍋に水を張って弱火で2時間煮る。枸杞(クコ)と梨は、2時間後から投入して10分で火を止め、最後に氷砂糖を入れて甘さを調整する。
羅漢果銀耳湯(羅漢果と白木耳の甘い汁もの)
かりんとう、おばあちゃんの黒砂糖餡の饅頭、そんな味覚を感じさせる。やや渋みやエグ味があるものの、それがお茶の渋みのごとく後味をさっぱりさせて、いくらでも食べられる。
ふと、思い出したが、小さな子供の頃は、なにが美味しいのかよくわからなかった。口にやさしいものが美味しいのであれば、チョコレートやカレーライスやハンバーガーばかり欲しがることになるが、そうならなかったのは、本当によい食べ物を教えてくれる大人がいたからだと思う。たとえば、手作りで採りたてのトマトは、甘味も強いが青臭みも酸味も強く、子供の口には刺激が強くて身が震える。しかし、そのトマトを丸かじりして、「この味こそが本物だ!上等な味なんだ」と美味しそうに食べて見せてくれる大人がいたのだ。大人を真似したいと思うのは、素直な子供心だろう。めざしの炙ったのを食べて、「こういうのは小ぶりでちょっと堅いめがいいんだ。頭からいくんだ。しっかり奥歯で噛んで、にじみ出てくる味がいいんだ。とくに腹のあたりの苦い味はたまらない」と、美味しそうに食べて見せてくれる大人がいた。だから、美味しいものと栄養のあるものとがひとつになるのだ。
このブログを読んでいるちびっこ諸君。お父さんお母さんがハンバーガーで育った人なら、頼ってはいられない。おじいちゃんおばあちゃん、親戚のおじちゃんおばちゃんの中には、誰か一人くらいは味のわかる人がいるはずだ。その人にひと言、こう言えばよい。「本物の味を知りたいんです」。そしたら喜んで本物の味というのを買ってくるか、食べに連れて行ってくれるだろう。さらに、つぎは何にしようか、つぎはいつにしようかと、向こうから言ってくるだろう。そしていつか大人になって、自分にもその番が廻ってくることを願うようになる。
<
猪肝炒韮菜(レバニラ炒め)
蒜泥炒莧菜(ヒユナのニンニク炒め)
北虫草蛋湯(栽培型冬虫夏草と卵のスープ)
本日のお茶は「鳳凰金毫沱茶05年」
2005年のお茶なので、まだ熟成して変化した美味しさがないけれど、ちびっこ達なら20年も30年も、家で保存して美味しくなるのを待つことができるぞ。
]]>
薬膳料理
2008-08-05T19:31:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=773410
葛根排骨湯
漢方素材は、常温で2年も3年も保存できるものが多いが、仕入れてすぐのは半乾きのがあるので、晴れた日に天日干ししている。なかには、乾くと思いのほか縮んで軽くなるのがある。重量単位で買っているのだから、そこでヤラレタと気付くのだ。
今日は「葛根」を使った薬...
今日は「葛根」を使った薬膳スープ。風邪薬で有名な「葛根湯」に調合されている葛根。マメ科のつる性植物の根で、芋の部分をさいの目切りにして干してある。解熱や消炎だけでなく、なぜか酒の二日酔い防止にもはっきりとわかる効果がある。玉竹は、ユリ科の植物の根茎で、肉骨茶(バクテー)にも使用している。
漢方素材は水で軽く洗う。排骨(骨付き豚アバラ肉)は、茹でて洗ってから使う。黒豆、生姜、水で煮る。途中で焼酎を少し入れる。最後に塩で味付け。スープが黒くなったのは黒豆のせい。
葛根排骨湯(葛根と骨付き豚肉のスープ)
クセはないけれど、葛根の出汁にはエグ味がある。それを救ったのは「魚露」。魚醤のことで、福建省やその南の広東やマカオで作られている。ナンプラー(タイ)。ニョクマム(ベトナム)にも似ている。魚露を入れると、深みが出て美味しかった。葛根そのものは、干し芋のような食感。味はとくべつなものではない。
ここにきて、やっぱり漢方素材だけを売るのは難しいと思う。これらを上手に使って美味しくするなど、われわれでも難しい。とくに強い香りや味のある素材は、0.5グラム単位で詰めてゆかないと、美味しくならないのを「十全大補湯」の試作の段階で十分に知ったはずなのに・・・
鹵蛋(煮たまご)
先日の「羅漢果烏骨鶏[保火]」の余ったスープに、香り付けのつもりで川弓(せんきょう)と、茶葉「大益8582七子餅茶06年」を足して、卵を煮た。
地三鮮(ジャガイモ、ピーマン、茄子の炒めもの)
清炒紫角叶(落葵・ツルムラサキの炒めもの)
本日のお茶は、今月のプーアル茶3種セットにした「83鉄餅プーアル茶」 、「プーアル方磚茶80年代」、「黄印7542七子餅茶」。
こうして比べると、漢方薬風味の「プーアル方磚茶80年代」の個性が光って、他の二つを凡庸に感じてしまう。飲み比べの罠だと言いたいが、この3種を組み合わせたのはミスだった。でも、今月いっぱいそのままでゆく。
]]>
薬膳料理
2008-08-04T20:53:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772931
羅漢果烏骨鶏[保火]
食料自給率を70%にしたい。国じゃなくて、自分をだ。つまり米や野菜を作り、鶏や豚を育てたいのだ。どういうわけか、一般的な野菜はプロが作ったのよりも、素人の作ったのほうが美味しい。生産コストや労働効率を無視できるからだろう。
とはいえ、仕事を捨てて、畑仕事...
とはいえ、仕事を捨てて、畑仕事ばかりするわけにはゆかない。かといって、代わりに畑仕事をしてくれる人件費の安い人や、広い農地を求めて、雲南やタイやベトナムの山に移り住むのはごめんだ。人の英知が集結する都市の生活も好きなのだ。
われわれが上海で食べる野菜を、コックさんの親戚に完全有機栽培で作ってもらえないかと、本気で考えたことがある。しかし、採れたての野菜じゃないと食べたくないから、車で6時間の農地は遠すぎるし、週末だけの家庭菜園というわけにもゆかない。
いますぐにはなんともならないけれど、夢はいつも形を変えて実現するから、希望を持ち続けておこうと思う。
本日は「羅漢果」のつづき。
羅漢果のコクのある甘味を活かして、醤油ダレを作ってみる。
羅漢果、黄耆(おうぎ)、白人参を軽く洗って、生姜、醤油、塩をあわせて土鍋に火をかけて30分。最後に白酒を加える。汁が完全に冷えてから、烏骨鶏(ウコッケイ)を入れ、重石のための落し蓋をして、蓋をして、冷蔵庫に一晩寝かせる。
いったん烏骨鶏をタレから引き上げて、タレだけを先に沸騰させて、そこに烏骨鶏を入れ、葱をいれ、再度沸騰してから蓋をして弱火で10分煮て火を止める。烏骨鶏を煮すぎて肉が硬くならないようにこうする。土鍋ごと少し冷めるのを待って、烏骨鶏を取り出して肉切り包丁で骨ごと切る。皿にもりつけて出来上がり。
羅漢果烏骨鶏[保火](烏骨鶏の羅漢果ダレ煮込み)
見た目からして、美容に良さそう。実際にそうなのだけれど、なぜか楊貴妃の名前が頭に浮かんだ。こんなの毎日食べていたのだろうか。
味は、うーん。まあまあだなーと言いながら、みんなどんどん食べて、みるみる減っていった。やっぱり美味しかったのだ。ただ、この料理は肉を食べる料理なので、烏骨鶏よりは鶏、鶏よりは豚のほうが良いかもしれない。烏骨鶏の食感はいまいちで、やはりスープの出汁にするのが良いみたいだ。
肉燜豇豆(ササゲと肉の煮物)
これにも上の羅漢果のタレを使っている。
松菌豆腐湯(松菌茸と豆腐のスープ)
知り合いの中医に来てもらって、鍼灸治療。
手首に三本の指を立てて、かすかに動かすだけで、体の状態を診る「搭脉搏」。左手首は心肺腎。右手首は肝脾腎を診る。その結果、脉象(脈拍などの強弱、遅速、深浅などの状態)が弱い。腎臓が弱いと言われた。推定年齢50歳。・・・・・・。明日から、腎臓強化メニューでいく。先日の肉従蓉鶏湯なども良い。ただ、腎臓は腰痛と連動している。腰痛は高校生のときに車にはねられたのが原因なので、それがひびいているのかもしれない。
台風が過ぎて、ひさびさにスカッと晴れ。涼しくて読書日和だった。本は、『日常の思想』 梅原猛著。これは面白いぞ!久しぶりに知的興奮を味わった。
本日のお茶は「92紅帯青餅プーアル茶」。あっさり淹れるとスキッと爽やかなお茶。レモンのような香りがかすかにある。
]]>
薬膳料理
2008-08-01T20:44:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772776
紅花干貝炒飯
この食生活をはじめてから、徐々に食べる量が少なくなった。
少ない量でも十分に栄養が足りているから、体がそれ以上に求めないのだと思う。逆に言うと、体がたくさん欲しがるのは、食べものに栄養が足りていないからではないか?と、過去の日本にいたときの食生活をふり...
少ない量でも十分に栄養が足りているから、体がそれ以上に求めないのだと思う。逆に言うと、体がたくさん欲しがるのは、食べものに栄養が足りていないからではないか?と、過去の日本にいたときの食生活をふりかえって思う。中身がしっかりしないので、カロリーオーバーを承知の上で沢山食べなければ、本当に必要な栄養が摂れず、健康が維持できない。そんな食べものこそ見直すべきであって、医者の言う、脂っこいものや塩分の強いものがいけないとか、カロリーひかえめにというのは、おかしな話だ。それを、体が調整するための栄養が足りないというのに、足りないほうに合わせて、さらに栄養をひかえよと言うのだから。
間違っているかもしれないけれど、そう考えて行動してみる。
本日は「紅花」を使う。
紅藍花ともいう。血行を良くする。婦人病や更年期障害に処方される。日本では生薬よりも染料として使われているが、どちらにしても中近東や中央アジアが原産で、シルクロードの交易の時代に中国や日本に持ち込まれている。
フライパンに油をしいて、弱火で紅花10gを炒める。やわらかい紅花が、炒めてゆくうちにパラッとして、香りがぐっと出てくる。干し貝柱の炒飯をつくって、そこへ炒めた紅花を混ぜて出来上がり。
紅花干貝炒飯(紅花と干し貝柱のチャーハン)
うまい!ベースの干し貝柱の炒飯は、うちでもトップクラスの美味しさである。そのバランス、その技術を徹底的に追求したのは、過去の記事にもあるが、あまりにも微調整をしたせいで、ほんのちょっと干し貝柱が多いとか、余っていた野菜を足して水分が多くなっただけでも、バランスは崩れて、普通の炒飯になってしまう。しかし、この紅花の香りが加わったのは、干し貝柱の香りが失われる程度で、差し引きゼロだ。むしろ、紅花を油で炒めた香りは、上品で好ましい。
百合炒芹菜(百合根とセロリの炒めもの)
菌?痩肉湯(キノコと赤味肉のスープ)
本日お茶「後期文革散茶プーアル茶」。
熟茶であるが、生茶の1950年頃の年代モノに似た風味があるのは、1970年代から1980年代初期につくられた熟茶の特徴。樟香と沈香の間くらいの香りや、すっきりした後口は、易武山など、深い山にある江北(孟海のメコン川上流域の川の北側)の六大茶山の茶葉の老茶の雰囲気に似ている。
]]>
薬膳料理
2008-07-31T18:32:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772645
羅漢果田鶏湯
酒造りに使う水、宮水について、『日本の酒』発酵学者・坂口博士著には、こう書いてある。ちょっと省略して書くと・・・・・宮水には、どのような成分が重要かがわかっていて、それらの成分を水に加えた、加工水をつくることも、今ではふつうに行われているので、天下の名...
漢方もそうだ。自然物のありとあらゆる成分が複雑に関係してどう作用するかを、酵母の培養ではなく、人の体で長年試されてきたのだ。
本日は「羅漢果」(らかんか)を使う。
羅漢果(らかんか)は、広西チワン族自治区の桂林周辺の土地を産地とするウリ科の多年草つる性植物。桂林といえば、いわゆる水墨画の岩山の風景のところであるが、その石灰質の土壌、亜熱帯気候、豊富な雨量などの条件が、羅漢果を育てるらしい。収穫されてから、干して炙ってカラカラにしたのを漢方素材として売られる。
今日は田鶏(カエル)といっしょにスープにする。田鶏を選んだのに特別な理由は無い。骨つきの鶏でも肉でも魚でも良かった。羅漢果のほかに、川貝母(せんばいも)、沙参(しゃじん)を組み合わせたが、それらはまた別の機会に紹介する。
羅漢果1つ、川貝母10g。沙参20gを洗って土鍋に入れて、下処理をしたカエル、生姜、葱、水1.5リットルといっしょに火にかけ、沸騰してから日本酒少しを入れ、弱火で1時間半。塩、刻んだ葱を入れて出来上がり。
羅漢果田鶏湯(らかんかとカエルのスープ)
羅漢果は、1個でも多すぎた。ちょっと甘くなりすぎた。でも美味しい。分量を調整すればかなり有望な調味料となりそう。スープの甘味にコクがある。たとえば、黒蜜や鰻のタレみたいな甘味。カエルは、脂肪の少ない肉なので、煮込みすぎるとワシワシになってしまうが、骨の周りにちょっとの身だから、それもまたよし。肉よりスープのエキスが主役だからいいのだ。
清炒油麦菜(油麦菜の炒めもの)
紅椒毛豆焼肉丁(枝豆とさいの目切り肉の炒めもの)
新種のカエルではない。
背骨の筋が痛いので火罐(吸い玉)をしている。説明しつくされないサムシングがまだまだある。坂口博士は「何事によらず未知の世界が残されているということは楽しい事でもある」と言われている。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」。
お茶のすべても、みなさんが生きている間に解明されることはないと思うので、頭で知るより先に体で享受されたし。
]]>
薬膳料理
2008-07-30T21:07:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772462
北虫草炒粉絲
子供の頃、おじいちゃんの畑を手伝っていた。家族で食べる野菜なので、有機栽培。山の急斜面は自由に使えるから、土は2年使ったら1年休ませるという具合に、のんびりしていた。その頃の野菜と、今の野菜の違いから感じるのだが、今の野菜は、土が疲れきっている。疲れた土...
そういうわけで、発酵食品と漢方なのだ。この二つを上手に家庭料理に取り入れることで、栄養不足の問題をある程度解決できると考えている。
本日も「栽培型の冬虫夏草」の料理。
下は麦門冬(バクモントウ)10g分。以前にも紹介している。のどを潤おす効果がある。これは昨日のスープの残りに足して煮る。
北虫草(栽培型の冬虫夏草)は8g分。そのやさしい食感を活かして、炒めものに使ってみる。北虫草を簡単に洗って、600mlの水といっしょに片手鍋に蓋をして弱火で煮る。30分ほど。春雨は水に戻しておく。細切り肉は、片栗粉、紹興酒、胡椒、油、水を混ぜて、冷蔵庫で少し寝かせる。
中華鍋に油をしいて、生姜、細切り肉を炒めて、いったん皿にとっておく。残した油にミニ白菜、春雨を炒めて、北虫草を煮汁ごと入れる。塩、醤油で味付けして、細切り肉を合わせる。最後に刻み葱を散らす。
北虫草炒粉絲(北虫草と春雨の炒めもの)
栽培型の冬虫夏の食感は、エノキ茸にちょっと似ていて、春雨といっしょに食べると、歯ごたえに変化を楽しめる。味は、スープとなって春雨に吸収されて、しっかり旨味になっている。ご飯に乗せて食べる。今日は8g使ってみたが、ちょっと多すぎるような気がした。5gでもよかった。
香?炒刀豆(ナタ豆と椎茸の炒めもの)
北虫草麦冬鶏湯(北虫草と麦門冬の鶏のスープ)
麦門冬の強いシャキシャキ感は、煮ても焼いても、相性がいまいちだな。やっぱり「黒豆と麦門冬のスープ」みたいなデザートとしてのほうが良いと思う。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」 。
この味は、ちょっと置いてぬるくなっても美味しい。酒で言うところのぬるめの燗くらい。しぃみじみぃ〜飲めばぁーっと。
台風が接近してきているらしくて、空が怖い顔している。
]]>
薬膳料理
2008-07-29T18:49:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772294
北虫草鶏湯
この先、食の問題がいろいろ起ってこようが、うちは発酵食品と漢方で解決する。
ということで、本日は「栽培型の冬虫夏草」のスープ。
栽培型の冬虫夏草。北冬虫夏草とも呼ばれる。略して北虫草。
冬虫夏草は、過去にも何度か登場しているが、いずれも天然のものであっ...
ということで、本日は「栽培型の冬虫夏草」のスープ。
栽培型の冬虫夏草。北冬虫夏草とも呼ばれる。略して北虫草。
冬虫夏草は、過去にも何度か登場しているが、いずれも天然のものであった。スープの料理を紹介している。チベットや青海の、標高3000メートル付近の山の土の中に住むコウモリ蛾の幼虫に寄生する。人工的な環境で栽培される北虫草は、米、とうもろこし、蚕蛾が使用される。天然モノと人工栽培モノの価格差は50倍ほどある。その違いがどのようなのか説明できないが、両方を食べて体感したところは、たしかにはっきりと違う。例えば、自分の場合は、天然モノは鼻がスースーと通り、呼吸が軽くなるが、人工栽培モノにはそれがない。
もちろん人工栽培のものでも、ある種の効果は期待ができる。3gほどを湯飲みに入れて、湯を注いで飲む。味がなくなるまで湯を継ぎ足して飲んで、最後は食べてしまう。それを3日間も続ければ、多くの人なら、なにかしらの変化に気付くだろう。
(オレンジ色は着色ではなく、菌のもつ色。)
--------------------------------------
本日の料理は、それを使って、黄精(おうせい)と党参(とうじん)と組み合わせてスープにする。この3つの組み合わせは、暑いときによさそう。黄精は、ユリ科の植物の根。肺を潤したり、唾液の分泌を促したり、滋養強壮によい。党参には清熱や解毒、利尿作用があるとされる。「十全大補湯・薬膳スープ」にも使っている。もちろん冬虫夏草だけでスープにしても良い。鶏のスープは多くの漢方との相性が良い。
北虫草鶏湯(北虫草と鶏のスープ)
いずれの漢方素材も強い香りや味がしないので、個性的なものにはならない。北虫草は天然モノよりもずっと一般的なキノコに似た香りと味で、料理には使いやすい。そのままでも食べられるほどのやわらかい歯ごたえなので、炒めものにも使えそうだ。
蕃茄炒蛋(トマトと卵の炒めもの)。
青椒肉絲(ピーマンと豚の細切り炒め)。
彩りてきにも夏の野菜。
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」。
これも、昨日紹介したみたいな暑い日の苦いお茶として楽しめる。ややおっとりした苦味になる。
本日の読書は「グレート・ギャッツビー」スコット・フィッツジェラルド著 村上春樹訳。まだ途中だが、なんか面白くなってきたぞ。将来、50代になってからでいいので、ニューヨークに近いところあたりに住んでみたい。3年くらい。
「グンジ家の食卓」さんを見る限り、海の幸はよさそう。
]]>
薬膳料理
2008-07-28T19:08:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=772133
暑い日の苦いプーアル茶
暑い日に熱いお茶。しかも苦い生茶がいい。
沸きたてのお湯で香りが立つようにさっと煎じると、渋みや苦味とのバランスがよく、口に爽やかになる。また、後味に、喉の乾くような感覚がある。渋みや苦味の成分が喉を刺激するのだ。水分を補給しながらも、喉の渇きを感じる...
沸きたてのお湯で香りが立つようにさっと煎じると、渋みや苦味とのバランスがよく、口に爽やかになる。また、後味に、喉の乾くような感覚がある。渋みや苦味の成分が喉を刺激するのだ。水分を補給しながらも、喉の渇きを感じるという、矛盾したようなことを繰り返すうちに、気持ちは解放されて、肩の力が抜けてゆく。もちろん、熱いのを飲むと体は温まって、汗も出てくるが、それが気持ち悪いとも思えないのだ。
本日のお茶は「黄印7542七子餅茶」 。
お試しあれ。
話は変わるが、最近、どうも自分のモノの見方が間違っている。それは、起っている「物事」をどう解釈するかという、モノの見方であるが、どこでどう間違うのかが、自分でも分からない。
そこで、ちょっと気分を変えて、スケッチをしてみた。学生のときに絵を習っていたので、いまいちど眼で見るほうの「モノ」の見方についてはどうなのだろ?と思ったのだ。
そしたら、やっぱり同じことが起った。眼で見ているのと、心が勝手に解釈して見ているのと、そのズレが、スケッチにゆがみとなって表れる。もういちど対象物をよーく見て、修正してゆくうちに、自分の心がどのように勝手なモノの見方をするのかが予測できるようになって、線はピタッと決まってくる。心のほうは相変わらず間違った見方をしようとするが、技術によって修正できるのだ。たぶん「物事」の解釈についても同じはずだ。事実をよーく見て、ズレを予測して、心のゆがみを修正してやるぞ。
]]>
プーアル茶
2008-07-27T20:03:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=771675
肉従蓉鶏湯
今日から、いろいろな漢方素材を取り入れた料理を試す。10種から20種の漢方素材ひとつひとつを、お客様が自由に調合して、主にスープに取り入れて、香りや味、効能を楽しめるようなセット商品をつくるつもりだ。「十全大補湯薬膳スープ」のように完成したものとはまた違っ...
「十全大補湯薬膳スープ」のように完成したものとはまた違った面白さがあると思われる。
肉蓯蓉(ニクジュウヨウ)は、内蒙古(内モンゴル)の西の端に位置する阿拉善(アラシャン)の砂漠地帯に育つ木の根に寄生する植物。阿拉善のホームページに写真がある。日本ではキムラタケと呼ばれるのが近いらしいが、キノコの一種ではない。効能は、補腎壮陽、潤腸通便ということらしい。手に取るとスパイシーな香りがするが、強いものではない。味もそれほど強くない。黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)と組み合わせ、鶏と煮込む。
肉蓯蓉鶏湯(ニクジュウヨウと鶏のスープ)
真ん中にある黒い破片のが肉蓯蓉。黄耆も当帰も「十全大補湯薬膳スープ」に使用している素材なので、少し似た香りになるが、味はこちらのほうがずっとアッサリ。漢方風味に慣れてくると、それが美味しくなってきて、もはや漢方薬味の利いていないプレーンな鶏のスープが物足りない。発酵食品と同じで、体が栄養を知り、それを美味しいと感じさせるのかもしれない。肉蓯蓉自体は、噛んでみると竹の子のような歯ざわりがある。スープに出きっているせいか、味はしない。
泡竹笋基圍蝦(竹の子の漬物とクルマエビの炒めもの)
蠣油香?芦筍(アスパラと椎茸の牡蠣油炒め)
どぶろくの酒粕に塩を足して、そこに胡瓜や茄子を漬けた。冷蔵庫に入れ、数日ですっぱい古漬けになる。これが絶妙。当店のコックさんも絶賛。急にアイデアが出たらしく、興奮ぎみに、「これをご飯に乗せて、お茶をかけて食べるという料理はどうでしょう?夏の食欲のないときには最高です」。・・・・・。
本日のお茶は「千禧年7542青餅00年プーアル茶」。
暑いときは、生茶のまだ渋みのあるやつのほうが、清涼感があってよいな。
さて、今日もジェラート食べに行こっと。
]]>
薬膳料理
2008-07-24T20:56:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=771404
腐乳空心菜
夏に美味しい空心菜の料理。
腐乳で味付けするのが最近のヒットで、よく作っている。腐乳は豆腐の発酵食品。発酵させるときの麹の種類や、漬け込むときの調味料によっていくつか味の種類がある。例えば「紅麹」という赤い色素をもつ麹の腐乳。過去に「紅腐乳焼肉」を紹介...
腐乳で味付けするのが最近のヒットで、よく作っている。腐乳は豆腐の発酵食品。発酵させるときの麹の種類や、漬け込むときの調味料によっていくつか味の種類がある。例えば「紅麹」という赤い色素をもつ麹の腐乳。過去に「紅腐乳焼肉」を紹介している。この料理に使うのは「糟方」と書いた紹興酒の酒かすの腐乳。ちょっと味噌に似た風味がある。ちなみに腐乳を泡盛でじっくり漬けたのが沖縄の豆腐よう。
防腐剤が入っていないので、瓶の中でもゆっくりと味が変化してゆくのだろうけれど、いつも長く置く前に食べてしまう。そのままでもご飯のおかずや酒の肴になる。
空心菜は、茎が細くて葉の大きなタイプと、茎が太くて葉の小さなタイプがあるが、茎の太いほうが、上海近郊のものになる。肝心なのは、鮮度が良いのを選ぶこと。水を張ったボールに小さじ一杯の塩を入れて、30分ほど浸けておく。これで炒めた時にシャキッとする。
炒めるのは、大きめの中華鍋を使う。まず空心菜をいっきに炒めて、鍋の底に溜まった水をいったん捨てる。ここが腐乳ソースをクリーミーに仕上げるポイント。糟方の腐乳とその漬け汁を溶いたものを加えて、まんべんなく火を通して出来上がり。腐乳以外に、調味料は一切使わない。
腐乳空心菜(空心菜の腐乳炒め)
美味い。しっかりと味がついている。腐乳の塩分でちょうどよい塩梅。空心菜の名前の通り、茎が筒のようになっていて、そこにも腐乳のソースが入り込む。そのせいもあってか、青菜系の炒めものにしては水臭くなく、ご飯が食べられるおかずになる。酒の肴にもなる。
冬?焼冬瓜(冬瓜と椎茸の蒸し焼き)
肉骨茶(バクテー)
夏バテやエアコンの冷え性の防止のために、今年は、漢方を取り入れたスープを飲む回数を、6月ごろから少しずつ増やしていった。調子が良い。
本日のお茶「92紅帯青餅プーアル茶」。
透明度の高い軽快な苦味があって、それが口をサッパリさせる。その苦味を美味しく感じさせる甘味も強い。口から苦味がゆっくりと消える心地よい余韻。そこが、このお茶の上等たるところだと思う。孟海茶区の良質の茶葉にある、後口にスースーする感覚もある。必ずもう一口飲みたくなる。
しかし、エアコン効かせないと、熱いお茶飲みにくいな。夜でも35度くらい。熱帯夜の中を自転車で走って食べに行くジェラートが美味い。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-07-23T08:39:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=771320
足浴漢方体験
足浴漢方生活、こいつはすごいぞ!
どういうわけか、ぐっすり眠れる。
足を浸けている間だけでなく、その後2時間くらいは、ジワジワと足の裏あたりが刺激される。青竹踏みのような心地よさがある。
寝る前に、DVDで小津安二郎の1951年の映画、『麦秋』を観るが、はじめ...
足浴漢方生活、こいつはすごいぞ!
どういうわけか、ぐっすり眠れる。
足を浸けている間だけでなく、その後2時間くらいは、ジワジワと足の裏あたりが刺激される。青竹踏みのような心地よさがある。
寝る前に、DVDで小津安二郎の1951年の映画、『麦秋』を観るが、はじめの朝食のシーンでダウン。きれいなお姉さん役の原節子が、「行ってまいりまーす!」と玄関を出るあたりでダウン。眠気に抵抗して、もう一度はじめのから見るが、またダウン。海からのそよ風が吹く、鎌倉の7人家族の食卓。何度観ても美しい。
気分を変えて、1967年のフェリーニの映画『悪魔の首飾り/世にも怪奇な物語』に変更。同じくフェリーニ監督の『ローマ』を思わせるような、光と記憶と明滅。やっぱり寝てしまうが、どっちみち夢を見ているようなシーンが続くから、眠気との相性は良い。主人公を乗せた車のフェラーリが夜のローマを疾走する。エンジンの爆音。ヘッドライトに瞬くローマの景色。脳みそがグルグルして、イッてしまいそうになる。やっぱりフェリーニの映画はすごい!理屈で観てはいけない。感覚で、あの高速道路から見えたシャンデリアのショールームのようなところに女の人が一人立っているたった1秒か2秒のシーンに震えるがよい。
そんなこんなで、ぐっすり眠ると、次の日も気持ちがいい。
これはいいぞ!となって、朝からまた足浴。
足浴して読書して眠って、また起きて足浴して読書。安部公房の『砂の女』は、楽しめたけれど、あまり好きじゃない本だった。女の人って怖いなー。男はバカだなー。気をつけよっと。
足浴の後に冷やしたどぶろくをくぅーっとやる。アルコールと炭酸と乳酸で五臓六腑を刺激する。「うーんそうか!」と、映画『東京物語』の笠智衆が日本酒を飲むときのように言ってみる。実に大人の夏休みだ。
足浴は、漢方の成分が、足の皮膚を刺激するだけでなく、皮膚から入り込んで、なんらかの働きがあるような感じだ。でも、その理屈を説明するのはつまらないことだから、やめておこう。しばらく続けてみようと思う。
足浴漢方生活 取り扱い終了しました。
]]>
生活、旅行、その他
2008-07-22T19:17:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=770530
足浴漢方生活
足浴のための漢方。
たっぷりの漢方を煮出した湯に足を浸けてみたい。
と女性だったら思う?のかよくわからないけれど、なにやら、足のツボを刺激して、内側から痩せるのだそうで、スタッフはノリノリで、10日間ほどかかって、あちこちから素材を集めて、配分を研究して...
たっぷりの漢方を煮出した湯に足を浸けてみたい。
と女性だったら思う?のかよくわからないけれど、なにやら、足のツボを刺激して、内側から痩せるのだそうで、スタッフはノリノリで、10日間ほどかかって、あちこちから素材を集めて、配分を研究して、何度も自分で試して、ようやく商品の形になってきた。
とりあえずこのブログで、売れるのかどうか反応を見たい。
足浴漢方生活 終了しました。
内容:
1回分約100g 1回分ごとに袋詰め
当帰(トウキ)、黄耆(オウギ)、紅花(ベニハナ)、蘇木(ソボク)、澤蘭(タクラン)、生地黄(生ジオウ)、川椒(四川トウガラシ)、葛根(カッコン)、細辛(サイシン)、黄苓(オウゴン)、酸棗仁(サンソウニン)など。
使用方法:
大きな鍋で30分ほど煮出して、バケツに水で薄めて温度を下げて、足を浸ける。10分〜20分。
適さないケース:
1. 足部に外傷、水泡、炎症、化膿などある方
2. 食前食後の1時間以内
3. 妊娠中および月経期の女性
4. 出血の病状のある患者(吐血、便血、脳出血、胃出血)
5. 腎臓や肝臓の疾患、心不全などで通院している患者
6. 急性伝染病、急性中毒、外科急病の患者
足浴漢方体験につづく
]]>
生活、旅行、その他
2008-07-18T19:28:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=770283
鹵水豆腐
それからずっと、どぶろく作りをしている。
静かな部屋で、プツプツと沸きつきの音を聴く喜びは、他人から見たらちょっと危ないものがある。手順をかえ、材料の配分をかえ、保存の温度を調整して、甘くなったり辛くなったり、酸っぱくなったり。ときには、臭みが出て失敗...
静かな部屋で、プツプツと沸きつきの音を聴く喜びは、他人から見たらちょっと危ないものがある。手順をかえ、材料の配分をかえ、保存の温度を調整して、甘くなったり辛くなったり、酸っぱくなったり。ときには、臭みが出て失敗したり。
基本的な作り方はそうかわらなくても、細かなところで、こうしたほうが良いのではないかと気がついて、こうした場合と、そうした場合との違いを注意深く調べてみて、その結果から、他の工程すべてを見直してみて・・・という具合に、小さな創意工夫を根気よく重ねてゆく。その行為は、向こうからやってくるハプニングや、好奇心に身をゆだねて楽しめる異国への旅みたいなものではなく、ごく平凡な日常に、自ら変化をつくってゆく内なる旅で、積極的に創造力を働かせないと退屈する。
(どぶろくに昼からごきげんなスタッフ)
ドキドキするようなスリルはなくても、ちょっとした心の隙が敗北の味を生む。どぶろくの味にさえも、作る人の心の強さや弱さが表れる。静かで孤独な闘い。趣味で造ってもそうなのだから、職業で造っている人は、もっと大きな苦労や喜びがあるのだろう。
ここでもう一度、「日本の酒」発酵学者・坂口博士著を読み返してみると、やっぱり日本の酒の仕事はすごい。坂口博士の仕事もすごい。その美学、その哲学、仕事に対する愛の大きさがちがう。
本物を嗜むということには、その味や質を鑑賞するだけでなく、それを成した仕事を尊ぶ喜びがあると思う。もっと本物の日本酒を飲んでみたい。知ってみたい。
鹵水豆腐。
鹵水とは、塩をベースに、香辛料や醤油で味付けした漬け汁で、これで豆腐や鴨肉などを煮る。いままであまり作っていなかったのは、この香辛料の香りが、日本人の口に合わないというか、自分が好きじゃないせいだけれど、ちょっと研究してみたくなった。鹵水は見た目よりも甘くない。そこへ強い香りや漢方由来の苦味やエグ味がかすかにあるものだから、口に入れた瞬間よりも、ゆっくりとにじみ出る素材自体の旨味を楽しむ形になる。
潮州が発祥の地だと思われるが、上海にもこれをウリにしている店はポツポツある。この味で育ったら、この味がなくてはならないのだろう。
潮洲といえば、肉骨茶(バクテー)の潮洲系のは、シンガポール系と呼んでいるのと同じで、具が少なくて、胡椒をはじめとした香辛料が効いている。つまり当店の肉骨茶(バクテー)に近い。鹵水もスープの風味に香辛料や漢方を効かせるところが共通している。ただ、鹵水は、前菜に出す料理になるので、肉骨茶よりもずっと軽い。鹵水の素材セットをオリジナルで作ったら、買う人いるだろうか・・・
坂口博士は、日本酒の味は、広い大衆の嗜好によってバックアップされなければならないとしている。そして、その造り方ゆえに、時代とともに大きく変化してきた味を、短所ばかりではなく、若々しいフレキシビリティーを特徴付けるとして、評価している。そういうモノの見方ができるのは素敵だ。葡萄酒やウィスキーが、長年貯蔵を経たのが尊ばれ、その手本のある手前、後の酒質に唐突な変化がおこるはずはないと、他の酒との違いについても触れている。
プーアル茶の年代モノも、どちらかというと後者の葡萄酒やウィスキーに似ているはずなのに、いま新しく作られている品のほとんどに、昔の風味の面影はない。それほどに、農業をとりまく環境や、社会環境が大きく変化したのだ。日本酒の柔軟さを手本にして、新しい味を評価したいところだけれど、それに適う仕事はなかなか見当たらない。また、たとえ良い仕事の品が見つかっても、その味が広い大衆の嗜好に応えられるような価格では出てこないだろう。ここはひとつ、高級なお茶に対して、お客様に身を削ってもらうしかない。まじめな話。さもなければ、名ばかり残って、味は残らないだろう。
]]>
豆腐料理
2008-07-17T09:27:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=768675
どぶろく
日本酒を自分でつくってみたくなった。
どなたか、小さな造り酒屋を何年か貸してくれないだろうか。杜氏さんといっしょに毎日そのことばかりを考えて生きる。こういうことに身上をつぶすことこそ、男に生まれてきた意味がある。社会的な評価の高い仕事なんぞは、女にやら...
どなたか、小さな造り酒屋を何年か貸してくれないだろうか。杜氏さんといっしょに毎日そのことばかりを考えて生きる。こういうことに身上をつぶすことこそ、男に生まれてきた意味がある。社会的な評価の高い仕事なんぞは、女にやらせておけ!
とりあえず頭を冷やすために、どぶろくを造った。ここは上海。自分の飲む酒さえ作らせない日本の法律のおよぶところではない。
どぶろくといえば、学生のときに京都駅の裏のほうの、その当時はまだちょと危ない地域だったところの安くて美味い焼肉屋。でかいヤカンでグラスコップになみなみと注がれる、あの白く濁った冷たい液体。こってりした肉の脂に、スッキリした酸味のどぶろく。茹で豚からはじまって、皿からはみ出さんばかりに敷き詰められた生レバ、いろんな部分の焼肉、ホルモン、ニラやキャベツがあふれるモツ鍋を、4人の学生が腹いっぱい飲んで食べて、1人2000円以下だった。そのどぶろくの酔いは、なぜか笑えてきて、帰り道にみんなで笑いが止まらなかった思い出がある。
あのどぶろくが飲みたい!
もちろん簡単な作り方で、麹やイースト菌などは市販のものを使う。乳酸菌はヨーグルトをそのまま使う。麹は、日本の友人が飛行機に乗せて持ってきてくれたのが2キロほどある。これで辛子味噌を作る予定もあるが、それでも余るから、何度かどぶろくが作れる。どぶろくの作り方は、ネットで検索してもいろいろ出てくるが、簡単に言えば甘酒をつくっておいて、その糖分が酵母による発酵でアルコールになる。
実は、一度失敗している。そのとき冬で、甘酒をつくる段階で58度に保温するつもりが、40度前後に冷えてしまって、それだけならあまり甘くない甘酒になるはずが、なぜか臭い。納豆の匂いがする。おかしい。納豆はうちにはないはずなのに、どういうわけだろ?ここでピンときた人は鋭い。臭豆腐だった。臭豆腐は、納豆と同じ納豆菌と酪酸菌。週に一回くらいこれを食べているうちの台所には、その菌が土鍋や食器やなんかにわずかながらくっついていて、活動できる環境をしぶとく待っていたのだ。今回は念入りに容器を熱湯とアルコールで消毒した。天日干しもしてみた。
この数日の上海の気温は連日38度に達し、発酵の足は速い。3〜4日かかる道のりを2日で到着する。いろいろ仕込んでから半日で酒の香りがしてくる。部屋に充満する幸せの香り。容器の蓋を開けて、耳を澄ますとプツプツと炭酸の弾ける音。かわいい奴め!まる1日経ったところで味見をすると、すでに出来ていた。
どぶろく
これだ!この味。この酸味。発泡の刺激。米の香りとほのかな甘味。冷やしてスッキリと飲めるから、暑い日の昼に、ついいってしまって、快楽きわまりない。スタッフもコックさんも、味見するといっては、それ以上に飲んで、陽気になりすぎて、仕事にならない。二人とも女性だから、恋愛話に花が咲いて、独身男の店長は分が悪い。思っているよりもアルコール度数が高いらしい。二人とも、もう一口だけ味見をすると言うところでストップ。また明日も明後日も飲めるからいいじゃないか。
今回は、甘酒の段階の甘味が足りなかったが、出来上がりを漉して冷やして飲んでみると、かえってそのほうがプロの味という感じがして良かった。
酒饅頭
余った酒糟は、小麦粉で練って、砂糖と塩を少しだけ足して、蒸篭で蒸して酒饅頭にした。これがまたいける。パクパク食べる。しかし、酒糟の絞りが甘すぎて、饅頭にもアルコールが残りすぎ。酔いを増す原因になった。明日からはほどほどにしよう。毎日ほろ酔い程度が、ちょうどよいだろう。
]]>
生活、旅行、その他
2008-07-08T15:44:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=768483
鴿子十全大補湯
更新を休むと言った手前、手短にする。
「十全大補湯・薬膳スープの素材セット」で、ハトにした。ハトと白人参の薬膳スープはよく食べているけれど、十全大補湯はこれがはじめてだった。
鴿子十全大補湯(ハトの薬膳スープ)
美味い。ハトは脂身が少なくて、味がしっ...
「十全大補湯・薬膳スープの素材セット」で、ハトにした。ハトと白人参の薬膳スープはよく食べているけれど、十全大補湯はこれがはじめてだった。
鴿子十全大補湯(ハトの薬膳スープ)
美味い。ハトは脂身が少なくて、味がしっかりある。スープにしてもさっぱりしながら深い。薬膳スープのようにじっくり煮込むときは、鶏であれば、老母鶏といって、脂が少なくて肉の硬めのを選ぶけれど、ハトはまさしくそういう肉である。
野菜はヒユナとピーマン。
本日のお茶は「8892後期紅印圓茶」 。
強い樟香が、夏の口に涼しい。このお茶、実はまだ在庫がある。欲しい方は、お店のメールから問い合わせされたし。価格は変更なし。
]]>
十全大補湯・薬膳スープの素材セット
2008-07-07T20:45:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=766827
ほうたれ鰯の塩辛
宇和島は、瀬戸内海から宇和海沿いを南へ走ってくる特急の終着駅。神社があって城があって、年に4回ほど闘牛があるくらいで、これといった見所もない。街が栄えたのは昔のことで、商店街はシャッターが閉まりっぱなし。駅前のバス乗り場のベンチでは、赤ら顔のおじいちゃ...
なにはなくても、美しい宇和海がある。山と海が大きく入り組んだ湾をつくり、静かな波に養殖筏が浮かぶ。寅さんの映画の最初のシーンで出てきそうな、日本のふるさとの海。夏はとくに美しい。山の緑、海の青、空高く沸きあがる真っ白い入道雲。ランニングシャツと麦藁帽子。
薬師谷渓谷のそうめん流しを食べて、薬師谷温泉でゆっくり休憩してから、駅前に戻ってきた。平日の夕方というのに、宇和島の繁華街の人通りはまばら。行列のできる店などひとつもない。従兄弟が宇和島の友人に聞いてくれた美味しい店のメモがポケットにある。それに5店ほどあったが、一番上に書いてある店へ歩いてみた。20分ほど歩いて、宇和島消防所の隣の筋の「一心」の前に立った。一軒家の立派な店構え。看板には海鮮割烹とだけ書いてあって、メニューを外に張り出すような気安い店ではない。どうしようかと、そのへんをふらふらしてから、やっぱり戻ってきた。石畳の路地を入って引き戸を開けると、「いらしゃいませ!」と女将さんらしき人。「予約はありません。ちょっと一杯飲んで、ちょっと食べて帰りたいのですが・・・」と聞くと、どうぞカウンターへ!と通してくれた。分厚くてどでかい一枚板?のカウンターに自分ひとり。右端には掃除のゆきとどいた水槽。ホゴ(カサゴ)や鯛が泳いでいる。個室の座敷の部屋が多くて、そこにはお客さんがちらほら見える。こいつはちょっと高くつくかもしれないと思ったが、すぐに見せてくれたメニューの値段はそれほどでもない。
冷酒の飲み比べ3種と、イサキの刺身を注文すると、大将がカウンターの向こうで魚を切る。厚く切った刺身が、氷を敷いた綺麗なガラスの器で出てきた。酒と刺身だけだったら勘定は2000円くらいで、特別な印象はなかっただろう。イサキを食べながらメニューを眺めていると、塩辛のページがあって、およそ10種くらいあっただろうか、イカの塩辛や酒盗(魚の腸の塩漬け)の定番以外に、鯛、ほうたれ鰯、きびなごなどが書かれている。全部一皿500円。しかし、ほうたれ鰯やきびなごの塩辛というのはどういうのだろう?刺身に酒盗でもつけて食べるのかな?女将さんに、これはどういうのですか?と聞くと、「生の鰯を姿のまま塩漬けにしてます。3年ほど漬けたものです」。・・・それください!そして冷酒を。
ほうたれの塩辛の注文に大将はうれしそうで、宝物のような箱をカウンターの下から出してきて、一匹一匹を皿に盛る。酒は城川郷の純米酒。
ほうたれ鰯の塩辛。
見た目は焼いためざしのようにも見えるけれど、全く違う。これは生だ。干してもいないし、火も通っていない。塩で水分が抜けているだけなのだ。臭いははっきり覚えていない。ということは、自分の好きな発酵系だったか、もしくは匂わなかったのか。噛むと、骨はやわらかくポロポロになっている。内側からややゼリー状になった身がぬるっと出てきて舌に乗る。艶めかしい。脳がグラッとくる。腸はほろ苦く、鰯らしい風味がある。塩は強いがまろやかで、舌になじむ。日本酒が合う。3年も漬かっていて、もしも鮒寿司のように乳酸発酵していれば、もっと酸味があるだろうし、身はシワシワしているはず。成分の変化だけなのか、ほんの少しだけ乳酸発酵なのか?それを調整する塩加減が絶妙なんだろう。そういえば、アンチョビにも似ている気がする。ほうたれ鰯の塩辛には、油は使われていなが、鰯自信がもつ油がある。この油が自身の身を包んで、こうなる可能性もある。
「これは店の創作ですか?それとも伝統のものですか?」と聞くと、宇和島の漁村の出身で75歳になる店の板前さんがこれを覚えていて、再現してみたとのこと。当時は納豆のように藁で包んだそうだが、今はさすがにそれはできない。何度も何度も失敗して、この2〜3年にようやく安定した味ができるようになったらしい。どのくらい前から作りはじめたかと聞くと、塩辛の研究は板前になりたての30年ほど前からしていて、ほうたれ鰯は、たしか10年くらいと言っただろうか。獲れたての新鮮なのを使うことや、塩の加減など、その話をする大将が実に嬉しそう。5年モノがついこの前に売り切れて、それは白い粉が表面に噴いたようになって、まろやかだったらしい。
5匹をぺろっと食べると喉が渇いて、ビールを飲んだ。別の塩辛も3つほど小分けして出してもらった。イカの嘴の塩辛が旨かった。さらにお酒。いつのまにか隣に、すでに酒の入った赤い顔の常連さんが座っていて、蜂蜜の話がはじまる。その常連さんは蜂蜜の農家で、店の大将の先生だという。大将がうちの蜂蜜を飲んでみてください!とぐい飲みに少し飲ませてもらったのは、蜂蜜というよりはメイプルシロップのよう風味で、複雑で厚みのある味わい。何の花ですか?と聞くと、ここらあたりのミカンではなくて、山の深いところのだから、いろいろ混ざっていると思いますとのこと。
気持ちよくなって、食もお酒もすすむ。お勧めを聞くと、自分が足摺を旅してきたと知ったせいか、魚よりも天然の鰻はどうでしょう?と言う。鰻にはちょっとこだわってるんですと、控えめながら自信がありそう。実は途中の乗り継ぎのある中村の寿司屋で、四万十川の天然鰻をうな丼で食べていたが、あまり満足できなかった。やはり天然の鰻は白焼きがいいと思って、食べなおすつもりで頼んだ。寿司屋のうな丼と同じ2500円なのに、それよりもちょっと量があったし、焼き具合が絶妙だった。ブリッとした白身の弾力は歯をはじかんばかり。皮は厚くてその分硬いが、パリッと焼かれて香ばしい。肝は小ぶりで濃い味と歯ごたえ。骨はせんべいにもしてくれて、隅々まで堪能できた。愛情のこもった上等な料理に大満足。さすがに酔ってしまって、他にも食べたのか飲んだのかはっきり覚えていない。お勘定は9000円代だった。
八幡浜行きの最終の特急に乗れるように、なごりおしいが9時前に店を出て、駅へ歩いた。薬師谷温泉から手に持っていたタオルを店に忘れてきたのに気付いた。まあいいや。列車が動き出すまでは覚えていたが、はっと気がつくと伊予市だった。眠って3駅ほど乗り過ごした。松山から逆方向の宇和島行きの最終の特急に乗って、深夜にようやく八幡浜の親戚の家へ帰った。酔って寝過ごすなんて、これが人生で2度目のことだった。
この店「一心」のホームページがある。
⇒「一心」
]]>
外食
2008-07-02T18:37:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=766237
足摺岬へ
旅をしていた。
つい先日の日本の味が忘れられず、上海に戻ってからの食事が喉を通らない。食べたいものを食べないのは健康によくない。思う存分食べて、この気持ちを静めるしかない。すぐに親戚に連絡して、チケットを手配して、上海から愛媛県の松山へ飛び、日本の旅の...
つい先日の日本の味が忘れられず、上海に戻ってからの食事が喉を通らない。食べたいものを食べないのは健康によくない。思う存分食べて、この気持ちを静めるしかない。すぐに親戚に連絡して、チケットを手配して、上海から愛媛県の松山へ飛び、日本の旅の続きが始まった。
今回は八幡浜から列車やバスを乗り継いで、内子、下泊、宇和島、御荘、外泊、宿毛、中村、そして最南端の足摺岬へ。いったん八幡浜へ戻ってフェリーで九州の別府に渡り、熊本、阿蘇の黒川温泉、久留米、最後は福岡空港から上海に戻った。
四国の一週間は、人が少ないせいだと思うけれど、いつもとは違う世界に入っていた。その入り口の門をくぐったのは、行きは松山空港から八幡浜行きの高速バスだったろうか、車窓からの景色が、緑に支配されるようになり、二人だった乗客は途中から自分ひとりになる。八幡浜の商店街はがらんとして、動く人がいないので、時間が止まっているように見える。もう10年も前から止まっていそうな雰囲気がある。内子の街道を歩いていると、見ず知らずの子供がすれ違いざまに「こんにちは!」というので、後ろを振り返って見ると誰もいない。人が少ないから、行くところ行くところで、ひとりずつ対面するような感じになる。どこへ行っても人が多すぎて、むしろ人が居ないかのように振舞わないとやっていられない上海とは、大きく違う世界。
ある宿での夕食は、八十八箇所めぐりお遍路のおじいちゃんと二人だけだった。おじいちゃんは糖尿病になってから登山をはじめ、毎日12キロを歩き、昨年はキリマンジャロを登ったが、それはあくまで毎日酒を飲むための運動。飲める相手を見つけると、ポケットからワンカップ黒霧島を出す。九州の人だった。
鰻の貿易業なのにヤクザに見える親分は、子分を連れて石鯛釣りに来ていた。ややこしい客に相応しい金を釣宿に落とすように遊び、どんなに酒を飲んでも気持ちのいい話だけをして、他の客には細心の心配りをする。昔の男の作法という感じだった。
その他にも、路線バスやタクシーの運転手さん、民宿の夫婦、釣り船の船長、そうめん流しのおばあちゃん、割烹料理屋の主人、13年ぶりに尋ねた親戚など、少しの会話を交わすだけで、その人たちの生き様が見えるような気がした。
みんなひかえめな人たちで、こちらから何も言わなければそっとしておいてくれるが、ひとこと、「美味しい料理を求めて、旅をしに来ました」と言うと、快くもてなしてくれる。
上海にいると、日本にいるよりも日本の経済はもっと大きく変化する。今の自分にとっては、日本の田舎が海外旅行でもっとも値打ちのあるところとなった。過疎化のすすむところはとくに、回収の見込みのない公共投資で道路は綺麗だし、赤字路線のバスや列車はほぼ貸しきりで走る。町営の温泉施設は50億円で建設され、毎年1億円の赤字なのに、一回500円で利用できる。大きな露天風呂にひとりで浸かって太平洋を見下ろす。
素人の目からみても、漁業はどこかおかしいことになっている。例えば、天然の鯛一匹が市場で1000円で売られていても、それにかかるコストの漁港や市場や漁協の施設、船や網などの設備、燃料や釣餌や氷、漁師さんの人件費などをすべて合わせると、どう見ても1000円で済むはずがない。天然の鯛一匹に2000円ほどかかったとして、差額の1000円は税金で補助されているのだろうか?もしも中国で同じクオリティーの天然の鯛が売られたら、それは間違いなくコストに見合った2000円の値がつくだろう。だから、外国からの旅人にとっては都合がよい。日本人の心のゆきとどいた上等なものが、安く食べられるのだ。
印象に残った料理は数あるが、いちいち写真を撮っていないし、メモもしなかったから、すべてを覚えていない。思い出せる範囲で、いくつか書いておく。
八幡浜の大島で釣られたホゴ(カサゴ)は、25センチ〜30センチの良型が5匹ほどあった。おばあちゃんが刺身と煮付けにしてくれた。ホゴは鰭や頭の棘が鋭くて、捌くときに手に刺さる。でも刺身は味の濃い白身で旨い。酒は辛口でないと歯が立たない。新鮮だから、煮付けには生姜を使わない。肝もいっしょに煮て食べたが、これが絶妙。煮付けの骨を碗にとっておいて、熱い煎茶を注いでその出汁を飲んだ。
メジカはカツオのことで、上り鰹の小さいのをしっかり焼いて、麦味噌と生姜で食べる。これがもう、これこそが焼き魚の味であるという焼き魚の味をしている。
このあたりのウニは解禁直後で、瓶詰めの作りたてを食べたが、叔父が言うには、1年経ったくらいのほうが、アルコールがまろやかになって旨いらしい。生も食べてみたが、酒の肴には瓶詰めがいい。
さつま汁を作ろうとして、はらんぼと呼ぶ魚(イシモチの一種のほたるじゃこで、宇和島名物のじゃこ天の原料)を焼いて、中骨を外してすり鉢で擂って、麦味噌とあわせて用意していたけれど、あれこれ食べているうちに食べるのを忘れた。じゃこ天は八幡浜の二ノ宮てんぷら店のもので、それはまぜご飯で食べた。
八幡浜漁港の市場でフカ(鮫)の湯引きと鱧の落としを買ってきて食べ比べた。フカも鱧には負けない美味しさがある。70センチほどのフカを湯引きにするには、それが姿のまま浸かるほどの大鍋が必要で、しかも鮫の皮をたわしで擦って落とす作業がたいへん。なので最近の家庭ではつくらない。おなじく漁港の市場で買ったマエビと呼ばれる小えびはかき揚げに。店の人が言ったとおり、本物の蝦の味がした。
宇和島の薬師谷渓谷そうめん流しは、老人会が運営していて、おばあちゃんたちが、椎茸や煮干から出汁をとったツユと手打ちそうめんでもてなす。薬味は刻んだ紫蘇が良かった。冷たい山水でひきしまったツルツルの麺。どれだけ食べても600円。ここでも客は自分ひとり。
八幡浜からバスで40分の下泊の近くの民宿「Seasideうわかい」は、山が抱きかかえるような湾の奥にある。雨続きでたまたまかもしれないが、ここも泊り客は自分ひとり。若い主人の魚料理はいろいろあって楽しい。アジ、グレ、ホゴの刺身。カルパッチョもよかったけれど、ホゴ(カサゴ)をさっと丸揚げにしてトマトソースをかけたのがすごかった。煮付けにすると頭の太い骨のゼラチン質のところが溶けてしまうが、丸上げのはそのまま骨の周りに透明のそれが残っている。筏で自分が釣った魚も料理してくれて、カワハギは煮付けに。キスは開いて一夜干しに。これがまた火の通り具合や味付けが絶妙だった。「ここは魚しかないもんで・・・」と主人は謙虚だが、どんなにお金を出したって、こんな上等な魚料理は中国では食べられない。
足摺岬の民宿は、路線バスの運転手さんに美味しい魚ならここしかない!と教えてもらったところ。その宿の釣船「はっと丸」の船長は、映画の釣りバカ日誌にも出演したらしい。自ら釣ったり仲間から仕入れた魚は日によって違うが、上等なのは土佐清水の鯖。この鯖の刺身はすごい。速い流れを泳ぐ脂の落ちた身は、刺身包丁が通らないくらいモチモチ。そして甘い。むちゃくちゃ甘い。これを焼いたのは身がフカフカしてやわらかく、鯖じゃないみたいだった。
宇和島の消防所のそばの割烹料理屋は、従兄弟に教えてもらって行ってみた。そこの塩辛は衝撃的だった。これについては別の記事に詳しく書くことにする。昼に中村の寿司屋で四万十川の天然鰻を食べたところだったが、大将は天然鰻にはちょっとこだわってますというので、白焼きにしてもらった。これも見事だった。
熊本の馬刺しは、牧場直営店のを叔父さんが自転車で3時間かけて買ってきてくれた。生姜醤油をちょっとつけて食べる。肉や血の臭いが全くしない。旨味が濃いのに後味はさっぱり。箸が止まらない。叔父さんはそれを見て嬉しそうで、焼酎が止まらない。ストレートで五臓六腑を刺激する九州男児の飲み方だった。馬刺しを食べきらないうちに、天草から釣りたての大きな鯛2匹の差し入れがあって、刺身で食べたが食べきれない。残りをだし醤油漬けにして、ご飯にのせて熱い煎茶を注いで蓋をしてちょっと蒸らして食べた。鯛の身の表面は白くなった半生になる。こちらではこれを「鯛めし」と呼ぶ。だし醤油に生卵を溶いてもよい。もちろん鯛の煮付けは頭を食べた。骨は碗にとっておいて煎茶を注いで飲んだ。おばちゃんが庭で野菜を完全有機栽培していて、トマトが濃い。これで焼酎が飲める。
あちこちで日本酒や焼酎を飲んだけれど、冷えた土佐鶴の生酒300mlと鯵鮨をスーパーで買っておいて、足摺岬を眺めるところで飲んだ。これがいちばん美味しい酒だった。
上海に戻ってこの文章を書いていると、もっと知らないところの日本の味を試したくなった。消化のためのプーアール茶と、酔い止めのための田七人参を持って、また日本を旅したい。題して、「店長、日本を食べる!」。この企画にスポンサーつかないかな。時間はあるんだけれど・・・・・
]]>
生活、旅行、その他
2008-07-01T17:35:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=761637
泡椒嫩南瓜
上海も梅雨で毎日のように雨。今年の雨はなんとなく重い気がする。なぜか雨の日の朝のお茶は美味しい。起きてすぐに湯を沸かすのがちょっと嬉しい。
今日は野菜二品。
南瓜は上海郊外の畑で作られたものだが、日本種と書いてあった。花?は、日本では花冬?と呼ばれる椎...
今日は野菜二品。
南瓜は上海郊外の畑で作られたものだが、日本種と書いてあった。花?は、日本では花冬?と呼ばれる椎茸の一種で、寒いところで作られる。大連のある遼寧省などが有名な産地。香りもいいし、歯ごたえもいい。高級素材の風格がある。これを使った料理をいくつか試したいと思っている。
かぼちゃを洗って切って、熱湯で少し茹でる。湯から上げて冷やして、醤油、胡椒、胡麻油を混ぜる。中華鍋に油を熱して、泡辣椒を入れて炒めて、油の色が赤くなったら、葱をふる。そのまま冷やしてから、かぼちゃとあわせる。
花?を洗ってから水に30分浸ける。猪肚は茹で洗いしてから、再度茹でて、切る。中華鍋で油を熱して、生姜、豚の胃、紹興酒、醤油、砂糖、花?、泡胡蘿蔔(ニンジンの漬物)の順に足して、水を足して蓋をして15分ほど蒸し焼きにする。最後に蒜苗を足して、胡麻油で風味を整えて出来上がり。
泡椒嫩南瓜(かぼちゃと唐辛子漬物あえ)
かぼちゃのしっとりした口当たりと甘味を期待していると、これはさっぱりして、甘味よりも塩味が利いて、肩透かしをくらう。ご飯のおかずにはちょうど良い。
花?焼猪肚(花どんこ椎茸と豚の胃の蒸し焼き)
味を足しすぎて、花?の風味が生かされていないが、それでも豚の胃と互角の存在感がある。きっともっと美味しい料理にできる素材だと思う。
枸杞人参鶏湯(クコと白人参と鶏のスープ)
西瓜(スイカ)
スープは昨日の残り。黄色い油が浮いているが、油にこそ香りがあり、味となる。身体にもいい。薬膳スープに鶏を使うのは、この油によって、生薬の成分が身体へ吸収されやすいためである。油が身体に悪いのなら、それはおそらく悪いものを食べている鶏の油であって、良いものを食べている鶏の油とはちがう。同じように、野菜を沢山食べないと栄養が摂れないのなら、それはおそらく化学肥料で短期間に育てられた野菜であって、良い土でゆっくり育てられた野菜ではない。素材の中身の差は見かけよりも大きい。価格だけで選んでいたら、家庭料理の良さが半減すると思う。
本日のお茶は「百茶堂二代鉄餅05年プーアル茶」。
新しく扱うメーカーのものだから、ちょっと慎重にすすめている。茶葉が良いのはわかったから、そろそろこのお茶の観察をはじめようと思う。1ヶ月くらいかけて毎日飲み続けてみる。その結果次第で、やっぱり発売をあきらめる可能性もある。ぱっと見た感じでは、細部のつくりもなかなか良さそうなので、期待している。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-06-18T18:01:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=761021
泡菜豆腐
天然川魚の店の田螺(タニシ)は失敗だった。
水が悪いところにいたようで、どうも変な臭いがある。
3日間たびたび水を替え、植物油をやり、田螺に泥を吐かせたが、それでもいけなかった。
さて、今日は泡菜と揚げ豆腐の組み合わせを試してみる。泡菜魚が、泡菜(...
水が悪いところにいたようで、どうも変な臭いがある。
3日間たびたび水を替え、植物油をやり、田螺に泥を吐かせたが、それでもいけなかった。
さて、今日は泡菜と揚げ豆腐の組み合わせを試してみる。泡菜魚が、泡菜(漬物)と淡白な白身魚の味の濃淡が良いのなら、豆腐でやっても濃淡があることになりはしないか。
豆腐は、木綿豆腐。中国でも昔は大豆から手作りしていたらしいが、今の市場で売っているのは粉から作ったもので、風味がないから、料理にするのが良い。
豆腐は油で揚げる。泡菜は、ニンジン、大根、からし菜、セロリ、生姜、ニンニク、竹の子、唐辛子。ニンニクと竹の子と唐辛子はそれぞれ単独の漬物壺に漬かっていて、その他のは同じ壺にある。豆腐との相性を考えて、それぞれの分量を加減する。泡辣椒(唐辛子の漬物)から順に炒めて、豆腐をあわせる。
泡菜豆腐(漬物と豆腐の蒸し焼き)
普通だった。思うようにならないのは、豆腐に味が染みすぎるのと、豆腐そのものの質のせいだと思うが、良い豆腐があればあったで、豆腐を扱う技術の問題が出てくる。研究の余地はあるが、これ以上追いかけるほどの魅力は無い。
韮菜炒肉絲(ニラと細切り豚肉の炒め物)
枸杞人参鶏湯(クコと白人参と鶏のスープ)
デザートは無錫の桃。
過去の記事2006.07.29に登場している。そこでは「南匯水蜜桃」のほうが良いと書いている。2年3年と食事を記録してゆくと、季節のものや、記憶の奥に隠れた美味しいものが、過去のブログの記事から見つけられるのが良い。
本日のお茶は、廣東鳳凰陳香単叢茶餅。
広東省農業科学院茶葉研究所監制。名前の通り、餅茶になっており、プーアール茶に似ている。鳳凰単叢を作る品種の茶葉で緑茶を作り、菌をつけて発酵させた2006年のお茶らしい。どうやら最近の試みで、古くからあるものではない。不味いのだけれど、いろいろ違いがわかりそうなので、もう少し試してみる。
]]>
豆腐料理
2008-06-17T19:27:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=759573
塩水鴨
この数日抜け殻のようになっている。
江戸前穴子からはじまって、八幡浜のほーたれ鰯で終わった日本の味から、上海の味に気持ちが戻らない。やっぱり日本はいい。将来のない公共投資で、無惨に山が削られ、海が埋められ、本物の味覚が失われながらも、それでも上海に比べ...
江戸前穴子からはじまって、八幡浜のほーたれ鰯で終わった日本の味から、上海の味に気持ちが戻らない。やっぱり日本はいい。将来のない公共投資で、無惨に山が削られ、海が埋められ、本物の味覚が失われながらも、それでも上海に比べたら上等なものが多い。その上等な楽しみを知る人もいる。
さて、今日は広州から友人がちょっといい日本酒を持ってくる。つまり、美味しいものを期待してくる。「上海の味などたいしたことない」とは言えない。気分を盛り上げてゆこ。
------------------------------------------------
6月14日 菜単
塩水鴨 (香辛料漬け茹で鴨)
冷拌海折頭 (クラゲと大根の葱油あえ)
油炸臭豆腐 (臭豆腐の油揚げ)
泡竹笋炒肉絲 (竹の子の漬物と細切り肉の炒めもの)
楊梅 (山桃)
泡菜大黄[魚善] (四川泡菜と田鰻の蒸し焼き)
糟腐乳炒空心菜 (空心菜の糟腐乳炒め)
干貝炒飯 (干し貝柱のチャーハン)
紅蛤冬瓜湯 (紅蛤と冬瓜のスープ)
-----------------------------------------------
塩水鴨は過去に何度か作っている。
今回は放し飼いの家鴨を入手した。放し飼いの鶏が地鶏というなら、放し飼いの家鴨を地鴨と言うことにしよう。上海近郊の農家が、自分たちの田畑に放し飼いにしている家鴨は、ミミズ、田螺、カエル、田鰻などを食べて育っている。人工的な飼料で育てられたのとは、味も栄養も違う。地鴨は数が少なくて、市場にはほとんど入ってこない。そこで、早朝5時半に起きて、道の市場へゆく。
まだ車も走らない静かな時間に、ある道の一角だけお祭りのような人だかり。客は地元のおじいちゃんおばあちゃん。郊外からまだ暗いうちに自転車やリアカーで運んだ品を早朝に売って帰ってゆく。野菜、魚、鶏、いろいろ地べたに並べている。アスファルトの上にビニールを敷いてまな板にし、魚やカエルを捌いている。激しい値段交渉は怒鳴りあいの喧嘩に見えるが、ほんとうに喧嘩になっていることもよくある。ただ、上海の人は口喧嘩までで、殴り合って血を流すようなことは少ない。
この家鴨にした。
鶏や鴨は生きたままのを選ぶと、その場で絞めて、自転車の後ろにある熱湯の入ったタンクに浸けて皮にひっついている羽毛をむしるところまでやってくれる。それでも地鴨の羽毛はかんたんに抜けないので、持ち帰ってから毛抜きできれいにする。30分かかる。毛を抜いてから、腹を割いて内臓を取り出す。腸、砂ずり、レバーもいっしょに塩水鴨にする。
ちなみに市販の白くきれいな皮をした家鴨の肉は、漂白剤で洗われたものだと言って、うちのコックさんは買わない。
塩水鴨には大きな鍋が2つ要る。
ひとつの鍋は、生のままの肉を浸けるスパイスの入った塩水のスープ。17種のスパイスや漢方材料と、葱、生姜、塩を沸かして冷ましたもの。これに7時間浸けて、香りと塩分を染み込ませ、臭みのある血を抜く。
もうひとつの鍋は、同じスープであるが、火を入れて茹でるためのもの。まだ冷たいスープに家鴨を浸け、蓋をして、強火にかけて沸騰してからきっちり3分で火を止める。蓋をしたまま蒸らして冷えるのを待つ。冷えてから大皿に移してさらに冷蔵庫で冷やす。一日置いたくらいのほうが味がなじむので、ここまでを2日前にしてあった。食べる直前に切って皿に盛る。
当日の朝8時。友人を連れて市場へ行く。泡菜魚のための黄魚を探したが、2日続きの雨のせいか、新鮮なのが見つからない。そこで田鰻を試してみることにした。田鰻も白身で、鰻よりも脂がないから相性は良いだろう。
ところで田鰻は捌くとたくさん血が出る。あれを溜めて、鴨血旺のようにできないだろうかと、コックさんが真剣に考えていた。
市場から帰ると朝の9時半。時間はたっぷりある。ここからは流れる水のごとく料理が出て、酒が注がれる。日本酒、ウィスキー、焼酎。途中に肝臓をいたわる苦丁茶と田七人参。消化を助けるプーアール茶(下関銷法沱茶90年代)で休憩。口直しのデザートの山桃は胃をいたわる。気持ちの良い時間を長く保ち、食後感を良くするのも味のうちである。
塩水鴨は上出来。塩加減もいいし、スパイスや漢方の香りの乗り具合もいい。かすかに肉に野性味があるのがまたいい。脂身があっさりしているのは、地鴨の肉の特徴。ただ、少し水分が多かった。冷やすときに、キッチンペーパーか布巾を巻いて、水分をとってからラップを巻いて冷蔵庫に入れたらよかった。
塩水鴨の肉の味は、日本酒との相性もよかったが、ウィスキーの煙味との相性が格別であった。
糟腐乳炒空心菜がとてもよかった。
腐乳は豆腐を塩漬け乳酸発酵させたものであるが、さらに紹興酒の酒糟に漬けてある。厚みのある風味と香りと塩味によって、めずらしく酒の肴になる野菜炒めとなっている。
田鰻の泡菜魚は、むちゃくちゃ美味しい。もうなにも言うまいと思ったけれど、泡菜魚独自の美味しさではなかった。肉の味が濃すぎる。やはり白身の淡白な味の魚がよい。そうでないと味の濃淡が生まれない。
他の料理もすべて美味しいが、すべてが美味しいと、散漫になって、ひとつひとつの印象が薄れる。たしか魯山人の本に書いてあったと思うけれど、やはり美味しい料理は2品までが良い。今回の場合は、泡竹笋炒肉絲か糟腐乳炒空心菜のどちらかひとつで良いし、おもいきって清炒空心菜にする手もある。干貝炒飯は白いご飯でもよかった。白いご飯によって、泡菜魚の美味しさがより引き立っただろう。まさに、「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」だ。レストランの点菜(オーダー)の料理の組み合わせにも同じことが言えるので、肝に銘じておこうと思う。
本日のお茶は「沈香老散茶50年代」。
酒に酔って気持ちよく飛んで、そのまま飛び続けたくて、さらに酒を飲み続けると、身体に堪えて急下降してしまうが、気持ち良く飛んでいるうちにお茶に切り替えると、さらに上昇でき、遠くまで飛びつづけられる。もちろんそういう効果の強い年代モノのプーアル茶を選んだ。
お茶を飲みながら友人はなにかごちゃごちゃと料理を賞賛していたが、やがて無口になり、ソファーに沈んで眠りに落ちた。ご馳走しがいのある人だ。タオルケットを出して、広州行きの飛行機の時間までしばらく眠ってもらった。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-06-15T11:20:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=757870
ほーたれ鰯
ANAの国内線で愛媛県の松山へ。
道後温泉でひとっ風呂あびてから、宇和島行きの特急潮風に乗る。だんだんと緑が多くなって深くなって、違う世界に入ってゆく。
従兄弟の結婚式が大洲で行われ、その夜は八幡浜にて身内だけの宴会がある。朝から食事を控え、披露宴...
道後温泉でひとっ風呂あびてから、宇和島行きの特急潮風に乗る。だんだんと緑が多くなって深くなって、違う世界に入ってゆく。
従兄弟の結婚式が大洲で行われ、その夜は八幡浜にて身内だけの宴会がある。朝から食事を控え、披露宴のフレンチのコース料理もパスした。死ぬほど飲み食いさせるのが、こちらのおもてなしだから、どっちみち食事を残すことになる。それなら、美味しい魚だけでお腹をパンパンに詰まらせたい。
鯛そうめんは、この地方の宴会を代表するハレの料理。鯛2匹が使われる。一匹はそうめんつゆをつくるために、一匹は姿焼きに。ひと碗ごとのサイズのそうめんを大皿に盛り付けて、色とりどりの薬味をそえて、真ん中に鯛がドンと乗っかる。食べても食べて食べたりない料理のひとつ。
沖うるめは、高知から取り寄せた干物。八幡浜の魚は旨いが、どういうわけか干物はいまひとつ。酒の肴に干物なしではいけないというだけの理由でここにある。キスに似た魚だが、もっと痩せていてその割には脂がのっていて、旨味が濃い。
イサキの刺身は、皮のところが少し炙ってある。歯ざわりの良い食感。噛むごとに皮と身の間の旨味がにじみ出る。船盛りの刺身には、ヒラマサ、太刀魚、生蛸、海胆、鮑などがあった。
鯵寿司は、近所のすし屋の創作料理。このオーダーがあると、すし屋の大将は自分の船で海へ出る。その日釣った鯵でこれをつくる。葱、生姜、しそ、みょうがなどの薬味が覆い隠すほどのっかって、大盆いっぱいに敷き詰まる。血の濃い男の料理だけれど、繊細な味がする。ふわっとしている米の具合もよい。みんなが「オイシイオイシイ」と言って食べ続けて、他の料理は残しても、これだけは残らなかった。
お酒は、日本酒の「吹毛剣」、焼酎の「魔王」など。披露宴のときからずっと飲んでいた。静かに人の行動を観察していた。田舎の人の心を知り(そういうことがちょっとはわかるような年齢になった)、ぐっとくるのを噛み殺すのにはお酒がいる。
翌朝5時半に起きて、歩いて20分の魚市場へゆく。八幡浜の魚市場は、たしか四国で一番の出荷量があると聞いたことがある。場外には大阪や東京行きの長距離トラックが列をなして待機している。市場の一部には一般の人でも魚が買えるところがあって、小売もしてくれる。
旬の鱧や、都会に比べたらびっくりするほど安い高級魚は見るだけにして、買った魚は、ほーたれ鰯と湯引きにしたフカ(鮫)。
ほーたれ鰯はカタクチイワシのこと。指で腹を割いて頭をちぎって中骨を抜く。冷水で血を洗ってから水を切り、生姜醤油で食べる。マヨネーズをかけてもいい。やわらかい腹骨が残っているが、それを噛むと甘味がでてくる。一時間ほど醤油に浸けて、温かいご飯に乗せて熱い湯を注ぐ「魚めし」にする手もある。そろそろ旅が終わりに近づいてきたなと、ふと寂しくなる。子供の頃の夏休みの終わりにも、同じような想いをした。味が昔の記憶を引っ張り出してくることが、自分にはよくある。
最後に、従兄弟といっしょに僕らの聖地へ行った。
こういう場所があるのは幸せだと思う。また来れるだろうけれど、来るたびに遠いところになっているのは、残念ながら事実だ。
今回は、親戚が集まったから、同じ血筋の人たちで、すでに亡くなった人や、そろそろ老後のことを考える人、結婚して新しい生活を始める人、人生が始まったばっかりの小さな甥や姪を一度に見ることになった。なにか不思議な感じがした。
帰りのバスを待つ時間に町を歩いていたら、創業文政五年と書いてある染めものの工房を見つけた。鯛の手ぬぐいのデザインに惹かれた。これを自分の土産にした。
]]>
生活、旅行、その他
2008-06-10T21:25:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=757479
梅雨入りの江戸前穴子
このブログのおかげで、親戚や友人たちを尋ねると、美味しいものを食べられるように協力してもらえて、どこへ行っても美味しいことになる。
東京湾の羽田沖の穴子、つまり江戸前穴子は、6月の梅雨に入る今が旬で、そいつを自分で釣って食べようと、友人が段取りしてくれ...
東京湾の羽田沖の穴子、つまり江戸前穴子は、6月の梅雨に入る今が旬で、そいつを自分で釣って食べようと、友人が段取りしてくれた。アナゴは夜行性のため夜釣りとなる。仕事を終えてからモノレールに乗って羽田空港の近くの天空橋の釣り宿へ行き、夕方6時に出船、夜10時に戻ってくる。道具や餌は船が用意してくれるが、東京湾といえど海へ出れば波風はまともに身体を洗う。なので服装は完全装備が望まれる。釣れた穴子は船頭さんが船の上で裂いて、骨と身にしてビニール袋に入れてくれるので、あとは持って帰って料理するだけ。
余談だが、その日15人くらい乗っていた船には、釣りのテレビ番組の撮影が行われていて、女性のレポーターが釣りをしてた。席が遠かったので、顔は見えなかったけれど、後に船頭さんがその方は、児島玲子さんだったと教えてくれた。児島玲子さんといっしょの船に乗っていた。
穴子の餌はゴカイ。一回目のアタリがあってから少し待って、二回目のアタリで合わせる。一回目のアタリさえあれば、そう簡単に餌を放さないので、技術的には難しくないが、その日は喰いが悪く、肝心の一回目のアタリの数が、人によって大きく異なった。それが、餌の違いなのか、餌を躍らせるアクションなのか、光モノの道具の差なのか、最後までわからず、コツがつかめなかったが、それでも友人とあわせて合計16匹の穴子が釣れた。船から上がって、釣り宿がモノレールの駅まで送ってくれて、浜松町から山手線に乗り換えて、キッチンのあるところへ向かう。
料理人でもある友人が腕を振るって、白焼き、煮穴子、肝焼き、天ぷら、骨せんべい、薬膳スープ(十全大補湯・薬膳スープの素材セット使用 )と、怒涛の穴子尽くしを作ってくれ、朝の3時まで食べた飲んだ。ぜんぶ美味しいけれど、やはり釣りたては白焼きが格別だった。美味しいお酒と薬膳スープのせいか、ぐっすり眠って、朝起きてみると二日酔いも胃もたれもない。余韻がない。まさか夢だったのではないかと不安になり、デジカメで撮った写真を確かめた。しかし夢は、これがはじまりだった。
尊敬する女性経営者の先輩は、自宅で手作りのレッドカレーとグリーンカレーを作ってくれた。フランスへ出張中の旦那さんが冷蔵庫に冷やしていた白ワインを、「ちょうどよかったわ!」と出してくれたが、それがあまりにも美味しすぎたので、本当に良かったのかな?と、心配しつつぜんぶ飲んでしまった。
老舗の鰻も食べられた。蒸してから焼く関東の蒲焼。でも友人の頼んだ志良焼き(白焼き)どんぶりのほうが旨かった。うっすらと醤油が塗られていて、ご飯と合う。熱燗で昼からごきげん。
京都は、まちがいなし。
鯖寿司が好きで、必ず食べるけれど、昔は美味しかったあの店のはこのところずっと調子が悪いので、別の店のがお気に入り。祇園石段下の「いづ重」の鯖寿司がいい。一日置いたほうが味がしまる。売り切れることがあるから予約がいる。
鮒寿司は、錦市場の「魚重」のを確保して上海に持って帰るつもりが、不覚にも両親の家に忘れてしまった。忘れたことがわかった瞬間に、両親に食べられてしまった。美味しいものから順番に食べるのは、うちの血筋である。
旬の川魚は鮎。まだ若いから、身はやわらかすぎるが、香りはいちばんいい。「鮎一」の由良川水系の天然鮎の塩焼きは格が違う。他の店の鮎は食べない。背ごしの骨も柔らかく、骨の甘味がよかった。一夜干しは美味しすぎていけない。美味しすぎるのを調子に乗って食べ過ぎると、美味しくなくなるから、一匹だけにしておいた。
親の代から通っている縄手のショットBARでは、昔のサントリーの話になって、「洋酒とカクテル」という本(裏表紙に鳥居信治郎とサインが入っていた)や、KOTOBUKIYA LTDと社名が印刷されたサントリーオールドを見せてもらった。オールドの中身がないのは、数年前に山崎工場のブレンダーがこのBARに飲みに来て、「あまり長い間置いたら、瓶の内側が溶けてきて不味くなる」と言ったから。その場で空けてみんなで飲んだら、実にまろやかで美味しくて、空けて損した!とママは憤慨したらしいが、このオールドウィスキーからしたら、いちばん飲んでもらいたい人に飲んでもらったのではないかと思う。
祇園で50年もバーテンをして人を見てきたママの恋愛講座がはじまって、「かしこい振りするアホよりは、アホな振りするかしこい彼女を選びなさい」と言われたけれど、それは女性だけのことではなくて、男もそうだなと、自分のことを振り返ってぞっとした。もしかして、京都人らしく遠まわしに警告してくれたのかもしれない。
美味しい夢のつづきはまだある。
]]>
生活、旅行、その他
2008-06-10T01:33:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=753566
老黄瓜蕃茄排骨湯
昨日と今日と「老黄瓜」を食べた。
キュウリの育ちすぎたもので、一般的にはスープに使うが、排骨(豚の骨付きリブ)とあわせて紅焼も試してみた。「老黄瓜」は、おじいちゃんおばあちゃんの好きな食材だけれど、こういうのを喜ぶ人が少なくなって、市場に出る数もだんだ...
キュウリの育ちすぎたもので、一般的にはスープに使うが、排骨(豚の骨付きリブ)とあわせて紅焼も試してみた。「老黄瓜」は、おじいちゃんおばあちゃんの好きな食材だけれど、こういうのを喜ぶ人が少なくなって、市場に出る数もだんだんと少なくなってきている。
スープのほうは・・・老黄瓜の皮を剥いて、種のところをくりぬいて、輪切りにする。排骨は茹でて洗っておいて、葱、生姜と土鍋でいっしょに煮る。もしも老黄瓜の硬めが好みなら、ちょっと遅れて鍋に入れる。紹興酒、塩で調整して出来上がり。
紅焼排骨のほうは・・・老黄瓜の皮を剥いて切る。中華鍋に油、葱、生姜、排骨を炒めて油が出たら老黄瓜を炒めて透明になったら、紹興酒、醤油、砂糖、水、蓋をして40分。最後に刻んだ細葱、香菜をのせて出来上がり。
老黄瓜蕃茄排骨湯(老黄瓜とトマトと豚リブのスープ)
老黄瓜紅焼排骨(豚リブと老黄瓜の紅焼ソース)
どちらにしても、冬瓜の食感にキュウリの香りがかすかにする。美味しいというか、身体に良さそう。元気になるというか、力が抜けて楽になりそう。子供の頃にはこういう味が理解できなかったけれど、最近はおじいちゃんおばあちゃんの味もわかるようになってきた。レストランに入ると、こういう気の抜ける味のがあるかどうか、メニューを探してみたくなる。
以下は、この2〜3日のいろいろ。
紅椒炒芥菜(からし菜とピーマンの炒めもの)
醤爆扁豆(レンズ豆の豆板醤炒め)
老母鶏十全大補湯(老母鶏の薬膳スープ)
洋葱龍蝦湯(ザリガニとタマネギのスープ)
ザリガニの季節。食用のザリガニにも良し悪しがあって、市場に出回りだしてから1ヶ月して、コックさんがようやく満足したのを買ってきた。臭みが無く味が濃く美味しかった。
冬虫夏草は鶏のスープに足すのもよいが、お茶のようにしてもよい。味がなくなるまで湯を足して飲み続けて、最後にはそのものを食べる。アルコール度数30度以上くらいの酒に漬けるのが成分の抽出効率は最も良いと思われる。少しずつを毎日続けるのがよい。さほど美味しくも無いキノコがこれだけ高額なのは、このキノコが特別な力を持つからであって、それを求める人には切実な想いがある。
本日のお茶は「易武古鎮老散茶50年代」。
今月のプーアル茶3種6月30日まで にて。
さて、明日から10日間くらいブログをお休みする。
理由もなくちょっと疲れている。旅に出るぞ。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-05-30T22:16:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=752735
水煮墨魚
成都のお昼ご飯!の復習。いよいよ水煮魚をつくる。そのときは黄辣丁(鯰の仲間のギギ)を使った。過去にも水煮魚は何度か作っているけれど、その違いは、具をスープとは別に茹でておいてから、後でスープと合わせるところと、泡菜や泡菜汁をふんだんに使うことである。泡...
成都のお昼ご飯!の復習。いよいよ水煮魚をつくる。そのときは黄辣丁(鯰の仲間のギギ)を使った。過去にも水煮魚は何度か作っているけれど、その違いは、具をスープとは別に茹でておいてから、後でスープと合わせるところと、泡菜や泡菜汁をふんだんに使うことである。泡菜は自家製のがたっぷりある。しかし、今日はいい魚が見つからなかったので、ためしに墨魚(コウイカ)のゲソと紅蛤を使ってみることにした。
多いめの油で生姜、大葱、大蒜を弱火で炒めて香りが出たら豆板醤、豆鼓(トウチー)、甜面醤(テンメンジャン)、辣椒粉(唐辛子の粉)、泡蘿蔔菜(大根の漬物)、泡辣椒(唐辛子の漬物)を足して香りが出るまで炒めて、泡菜汁、水、紹興酒、砂糖、醤油で味を調えて、水溶き片栗粉でとろみをつける。同時進行でコウイカと紅蛤を茹でる。碗に刻んだ香菜を入れてそこにスープを注いで、具を合わせる。さらに花椒粉や辣椒粉をふりかけて、その上から熱した油をジューッとかける。その上に香菜と刻んだ葱を乗せて出来上がり。
水煮墨魚(コウイカの水煮魚)
美味しいけれど、水煮魚にはやっぱり白身魚がいい。このラー油スープは、白身の淡白な食感とうっすらと乗った脂にしっとりとからみつくのだ。ちょっとコッテリめのが良ければ、鰻や田鰻でもよいだろう。イカや貝では、スープがはじかれてしまって、美味しさ半減である。この差が大きいと感じないようなら、食の楽しみは半減である。
蒜泥炒莧菜(ヒユナのニンニク炒め)
清燉三菌湯(キノコ三種の蒸しスープ)
本日のお茶「下関銷法沱茶90年代プーアル茶」 。
親しい友人の家族に心配事があって、そのことでスタッフたちとお茶を飲みながら会議。友人が気を落としている様子がいたたまれない。でも本人が言うように、元気な者が気を落としていたら、弱っている人を救う側の役割が果たせないから、元気でいられる者が元気でいるように心がけるのも大切なんだ。・・・そうすると、実は見た目ほどは簡単ではないにしても、美味しいものを食べられる我々が美味しいものを食べて見せるのは、なんらかの理由でそれが出来ない人たちへ、食べることへの希望を与えられるのではないかな?いや、ちょっとちがうか。まあ、どっちでもいいけれど。
]]>
海のもの
2008-05-27T19:20:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=751733
甲魚十全大補湯
野生モノのスッポンは美味しい。
わかってはいるけれど高い。500g200元なり。養殖モノが500g20元もしないので、10倍以上の価格差となる。野生モノにはその価値がある。上海近郊の青浦にある澱山湖で獲られた鯉や白水魚などを売るいつもの店で、たった一匹活きのいいのが...
わかってはいるけれど高い。500g200元なり。養殖モノが500g20元もしないので、10倍以上の価格差となる。野生モノにはその価値がある。上海近郊の青浦にある澱山湖で獲られた鯉や白水魚などを売るいつもの店で、たった一匹活きのいいのがいた。よく見ると水槽にいっしょに泳いでいるギギを追いかけまわして齧っている。これはいい。野生モノと言っても、網の中でグッタリしたのではいけない。野の川で獲りたての証拠として、腹のところがツルツルして擦り傷が少ない。爪が細く尖っている。甲羅の表面のきめが細かいなど、見所はいろいろある。
スッポンには剃刀のような鋭い歯と強靭な顎の筋肉があって、噛まれると危ないので、首を掴んだら一気に絞める。甲羅を開けて臭みのある白い脂肪の塊をハサミで取り除くところまでを店でしてくれる。うちに帰ってから鍋いっぱいに湯を沸かして、そこに一瞬だけ浸けて、薄皮をきれいに剥き取る。そしてこれを「十全大補湯・薬膳スープの素材セット」といっしょに土鍋で煮込む。いつもの鶏の手羽元の代わりにスッポンをつかう。
甲魚十全大補湯(スッポンの薬膳スープ)
やっぱり間違いない。野生のスッポンは美味しい。あまりにも清くて透明な肉の味は、ゼラチンとたんぱく質の食感だけがあって無味のようにも思えるが、じっくり見ると、こころなしか色が見えてくる水墨画のように、そこに味が見えてくる。十全大補湯の薬味はあくまでも穏やかで、肉の味を邪魔することはない。あまり一度に沢山食べ過ぎてもバランスが悪いというか、もったいないので、小さめの碗に一杯くらいにしておいて、また夜にでも温め直して食べる。
蒜泥炒莧菜(ヒユナのニンニク炒め)
干貝炒飯(干し貝柱の炒飯)
干貝炒飯が美味しい理由のひとつに、水気の多い具が少ないことがある。例えばニンジンとか。やや全体的に乾いた感じがするゆえに、口に含んだときに米から発する蒸気が広がる。香りが広がる。うるおいのある米の旨さをかみしめることができる。
茘枝(ライチ)。いつもの果物屋で買う。どれにしようかと、ライチに眼が止まった瞬間に、店の女の子はライチを袋に入れはじめる。迷う客の決断を後押しする高度な販売技術だ。それだけで売り上げが2倍も3倍もちがってくるだろう。そういうことは、学校に行かなくても果物屋で学べるということが、学生のときにはわからなかったのだ。
本日のお茶は「83鉄餅プーアル茶」。
]]>
十全大補湯・薬膳スープの素材セット
2008-05-24T17:00:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=751573
芙蓉魚片
暑い夏がきた。
今日からTシャツ一枚だ。これから秋の涼しくなるときまでは、旬の楽める食材が少なくなる。このブログの更新ペースもゆっくりになると思う。そろそろ旅に出ようかとも思う。 「火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット」の今期の販売はあと一ヶ月以内に終了さ...
今日からTシャツ一枚だ。これから秋の涼しくなるときまでは、旬の楽める食材が少なくなる。このブログの更新ペースもゆっくりになると思う。そろそろ旅に出ようかとも思う。 「火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット」の今期の販売はあと一ヶ月以内に終了させるつもりである。
さて、本日は浙江省の料理、芙蓉魚片を食べる。
杭州や寧波の旅行に出てくる川魚の料理は泥臭くて、日本人の口にはたいがい合わない。この芙蓉魚片もそのひとつかと思われるが、見た目に惹かれて、いちど食べてみたくなったのだ。魚はコイ科の大形魚の青魚。もうちょっと安い草魚でもよい。
魚の皮や骨をとり、肉切り包丁の分厚い峰でたたいてつぶして、生姜汁、葱汁、卵白、片栗粉、塩、胡椒を混ぜて水を足してかき混ぜてペースト状にして、おたまでそれを適当な大きさにすくって、低温の油で色が変わらない程度に揚げて油きりにとっておく。
中華鍋に水を沸かして、青椒、紅椒、魚の身を茹でて、いったん引き上げる。中華鍋に新しい水を入れ、塩、胡椒、片栗粉でとろみをつけたら、そこにさきほどの青椒、紅椒、魚の身を戻してからめて出来上がり。
芙蓉魚片(魚のはんぺん)
芙蓉とは、卵白で包む料理のことを意味する。味は「はんぺん」みたいなものなのだが、川魚の泥臭みが強くて食べられない。なので、このあと油で揚げなおして薩摩揚げみたいにしたら、臭みが消えて美味しかった。
蒜泥炒芸豆(インゲン豆のニンニク炒め)
排骨海鮮?生菜湯(レタスと海鮮茸と豚骨のスープ)
本日のお茶は四川の小葉苦丁茶。
苦丁茶は、もちの木の新芽のところで、お茶の樹の葉ではない。だからお茶のようにして飲める薬草といったところか。四川省東南部の宜賓(Yíbīn)と海南島が有名な産地。宜賓のは新芽のやさしい味を重視したもので、海南島のは苦い大きな葉で効能を重視したもの。どちらにしても名前のとおり苦いけれど、後に残らないでさっと消えてゆく風のような爽快さがある。成人病予防のために血をきれいにしたり、胃が弱って口内炎ができたようなときに飲むのだが、これを飲むとスッキリ目が覚める感じがするので、夏のだるい午後の気分転換にちょうど良い。お酒を飲みすぎたときの、二日酔いの防止にもなる。
]]>
川のもの
2008-05-23T19:18:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=751393
泡菜回鍋肉
回鍋肉(ホイコーロー)に泡青菜(チンゲン菜の漬物)を合わせる。本場の四川では豚肉と葱と蒜苗が基本であるが、もしかしたら泡菜は当たり前のように入れるところもあるかもしれない。それほどに漬物や漬物汁は調味料として当たり前の素材なのだ。
豚の皮の部分のあ...
豚の皮の部分のある五花肉を茹でて冷えてから薄く切る。豚肉を炒めて、肉の脂が出きったら、泡青菜、豆板醤、甜面醤、蒜苗、青辣椒、紅辣椒、紹興酒、砂糖も入れて出来上がり。豆板醤や泡菜の塩分があるので、塩や醤油は足さない。なぜか大蒜や生姜は使わない。
泡菜回鍋肉(漬物とホイコーロー)
日本の居酒屋の豚キムチにちょっと豆板醤と甜面醤の味噌風味が加わっているようなもの。豚肉は五花肉のほうが高級である。ただそれだけ。だけど美味しい。こういう料理で、今日のはちょっと辛いとか甘いとか言わせないバランスで作るのは、あんがい難しい。
菰菜炒肉絲(マコモダケと細切り肉の炒めもの)
泡菜汁烏冬面湯(泡菜スープとうどん麺)
昨日残った酸っぱいスープに日本のうどんを入れて食べた。
本日のお茶は「92紅帯青餅プーアル茶」。
どうやら湯の温度が、思っていたよりも茶の味を左右するらしいので、いろいろ計測し始めている。景徳鎮の広い口の茶杯で飲むと、まろやかに感じるのは、口の中への茶湯の流れ込み方や空気の巻き込み具合が違うからだと思っていたけれど、その前に、普通の茶杯と比べて温度が低いということもわかった。湯の温度によって茶葉の成分の抽出され方が異なるのと、温度によって人の味の感じ方が異なるのと、これだけもすでに複雑なのに、さらに水の違いなども関係するとなると、それされ守ればお茶が美味しくなるというわけにはゆかない。料理と同じで、味にまつわる森羅万象を感覚でとらえて、無意識のところでこうしたほうが今日は美味しくなるとわかるようになるのが、結局はいちばん早いのとちがうかな。
]]>
豚肉料理
2008-05-22T19:27:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=751204
泡汁蛤蜊湯
本日も成都のお昼ご飯!の復習。
酸っぱくてちょっと辛いアサリのスープをつくる。酸っぱいのは、四川泡菜の汁。辛いのは泡辣椒(唐辛子の漬物)。少しの甘味はタマネギ。
草頭と香菜と黄韮は香り付けの野菜。この香りがスープの個性になっている。鍋に水、干し貝柱...
成都のお昼ご飯!の復習。
酸っぱくてちょっと辛いアサリのスープをつくる。酸っぱいのは、四川泡菜の汁。辛いのは泡辣椒(唐辛子の漬物)。少しの甘味はタマネギ。
草頭と香菜と黄韮は香り付けの野菜。この香りがスープの個性になっている。鍋に水、干し貝柱小2個、泡菜汁、生姜、泡辣椒、泡蘿蔔(大根の漬物)、タマネギ、もやし、黄韮を順に足して、紹興酒で味を調える。塩味は泡菜汁でついている。別の鍋でアサリを茹でておいて、碗に香菜を入れ、そこにスープを注いでアサリの茹でたのを合わせる。アサリの茹で汁も適当に足す。最後に草頭を加える。
泡汁蛤蜊湯(アサリの酸っぱいスープ)
なんてことないのに、このスープはすごい。揚げ物や焼き物などを食べた後なら、必ず欲しくなる味。今回のは、「成都のお昼ご飯」のときのような、レモンを絞ったかのような香りと苦味がない。同じように作ったはずなのに、少しの違いが大きな違いを生むらしい。研究の余地がある。
揚州炒飯(揚州のチャーハン)
最近「干貝炒飯」ばかりだったので、久々に揚州炒飯にした。しかしその味は、混ぜこぜになって無駄があるように思った。具の少ない干貝炒飯のほうが、米の味、干し貝柱の味、葱や卵の味そのものの美味しさがストレートに引き出されて、上等な味になる。
本日のお茶は「同興號後期圓茶70年代」。
蒸して煮出した茶湯の濃いままのやつもそれなりに美味しい。小さな杯でクッとやるのは、強い酒のストレートの旨さに通じる。
]]>
湯(スープ)
2008-05-21T17:29:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=750680
生茶の泡茶技術 その4
それなら、熱い湯で多めの茶葉をさっと煎じる方法とは逆の煎じ方ではどうなるのか?その極端な例を試してみたくなった。水で茶葉をさっと洗って、蓋碗に適量を入れ、水を張り、蒸し器で蒸す。冷えた水から火にかけて煮出すのは、燉湯の手法で、ゆっくり温度を上げていって...
燉湯の手法で、ゆっくり温度を上げていって沸騰させないことで、見た目も味も透明な鶏の出汁をとる。そのように茶葉の出汁をとる。
茶葉はこれまでにも試したこの3種。
大益8582七子餅茶06年
千禧年7542青餅00年
同興號後期圓茶70年代
蓋碗ごと蒸し器に入れて強火にかけて10分。蒸しあがった蓋碗の茶湯を茶海に移す。この瞬間にいっきに茶の香りが放たれる。しかしいつもの香りにくらべるとかなり熟れた感じ。同興號後期圓茶70年代は、腐ったように思えないこともない。そこに湯を注いで、適度に薄める。
飲んだ瞬間から一呼吸置いて、あー!っと声が出た。どれも美味い!甘い!ゆるりとしたとろみが舌を包み込んで溶ける。エロい!同興號後期圓茶70年代は、あの小豆のような香りと甘味で、もはやお汁粉である。他の二つも若いながらに強い甘味ととろみがあり、後から出てきて舌に残る渋みと苦味があるもののバランスは崩れない。茶湯は口から喉へとゆるりと通り過ぎ、イガイガしない。スースーするようなメントールの感覚が後に残って、上に向かうので、だらけない。沈まない。
高温の湯でさっと淹れたときのような、立ち上る香り、味の弾みや響きはないが、南国の沖縄やタイの民謡の歌声のような揺らぎがある。やわらかい茶湯がお腹に収まってからもその揺らぎは消えず、身体じゅうにゆきわたりながら揺らぎ続ける。そのうち脳も揺らいでくる。これは雲南省西双版納の茶葉で、メコン川の上流域の葉っぱモノなのだ。
この独特の酔いが醒めて、冷静になってふりかえってみても、茶葉を蒸らす時間をとったほうが、甘味と揺らぎの成分はよく抽出されるらしい。茶葉がほんとうに良くて、熟成具合も良いものならば、この感覚を楽める。
いつも何気なく蓋碗でお茶を煎じているのだけれど、その内側では、香りや味のバランスの振り子が揺れている。おもったような味に煎じるのには、おもったような位置でピタリと振り子を止めてやる必要がある。
まだ泡茶技術の探求はつづく。と思う。
]]>
プーアル茶
2008-05-20T23:53:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=750446
椒麻鶏
「成都のお昼ご飯!」の四川料理の復習。
椒麻ダレの料理を試す。椒麻ダレには唐辛子は入っていないが、花椒(中華山椒)が入っている。
鍋に水をはり、鶏、葱、生姜を水から沸かして、沸騰してから5分経ったところで火を止めて蓋をしてゆっくり冷えるを待つ。鶏を...
「成都のお昼ご飯!」の四川料理の復習。
椒麻ダレの料理を試す。椒麻ダレには唐辛子は入っていないが、花椒(中華山椒)が入っている。
鍋に水をはり、鶏、葱、生姜を水から沸かして、沸騰してから5分経ったところで火を止めて蓋をしてゆっくり冷えるを待つ。鶏を取り出して皿に移して冷やす。スープに刻んだ生姜、葱、花椒粉、花椒粒、泡菜汁(四川泡菜の漬物汁)、白酢、胡麻油、梨の薄切り、砂糖、醤油を入れて、漬け汁をつくる。鶏を切って漬ける。今回は1時間漬けたが、ほんとうは1日漬けたい。
椒麻鶏(酸っぱい汁に漬けた茹で鶏)
冷えるにしたがって、鶏肉の味が締まってきて、旨味を増す。しっかりと咸味(塩っぽい肉の旨味のある味)がベースに、酸っぱくてちょっと甘くて、生の生姜やたっぷり入った花椒(中華山椒)の香りで弾みがついている。鶏肉を食べ終えたら、この汁に豚足とか豚の耳とかの茹でたのを漬けてもいい。今晩は麺をつけて食べてみようかな。
蒜泥空心菜(空心菜のニンニク炒め)
鵪鶉湯(うずらの蒸しスープ)
市場の果物屋で働いている小さな女の子(貧しいから学校行ってないのかな?)が可愛いくて、いつもすすめられるままに果物を買ってしまう。でも間違いなく旬のいいやつだ。山竹果(マンゴスチン)。楊梅(ヤマモモ)。
左: かなり高級な岩茶
右: 83鉄餅プーアル茶
香り松茸、味しめじならば、香り岩茶に、味83鉄餅というところだろうか。岩茶の香りは強くて茶室いっぱいに広がる。香りを差し引くと、味はあんがい共通しているところがある。ただ、岩茶の味は明るく単調で、83鉄餅の味は深い闇の奥に輝くなにかがある。個人的に言うならば、83鉄餅が圧倒的に上等だ。そして難しい。男の味の世界だ。それは料理よりもはるかに上のほうの味の世界だ。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-05-17T19:52:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=750198
生茶の泡茶技術 その3
昨日の生茶の泡茶技術の続き。
本日は生茶の老茶で試してみる。同じように熱い湯で多めの茶葉をさっと煎じる。選んだ老茶は「同興號後期圓茶70年代」。易武山の立派な茶葉でつくられた1970年代のもので、熟成がすすんでいて50年モノにも通じる風格がある。餅面(餅茶の表...
昨日の生茶の泡茶技術の続き。
本日は生茶の老茶で試してみる。同じように熱い湯で多めの茶葉をさっと煎じる。選んだ老茶は「同興號後期圓茶70年代」。易武山の立派な茶葉でつくられた1970年代のもので、熟成がすすんでいて50年モノにも通じる風格がある。餅面(餅茶の表面の茶葉)が美しい。
鉄餅でフツフツの湯を注いで、8gは蓋をしてすぐに茶海に注ぐ。3gは少し蒸らして同じような色になるのを待つ。
茶湯の色は同じようでも、味は違う。8gは香りが上へ昇り、3gは香りが横へ寝る。8gは辛く、3gは甘い。8gはカラッとして、3gはトロッとする。8gは高音が響いて、3gは低音が揺れる感じ。8gは北の風味で、3gは南の風味。
ここで念を押しておくと、この8gのほうの煎じ方で重要なのは、熱い湯を使うことと、茶葉を蒸らさないことであって、茶葉の量は8gでなくても良い。もしも蓋碗を小さいものにすれば、3gでも同じように淹れられる。
ここでひとつアイデアが浮かんだ。茶葉を蒸らさないほうが良いのだったら、蓋碗すら使わないほうが良いかもしれない。茶漉しに茶葉を入れて茶海に乗せて、直接熱い湯を注いでみる。洗茶をした茶湯は捨てて、次の一煎めから飲む。
これに選んだお茶は「千禧年7542青餅00年」。
熟成半ばの青餅(生茶の餅茶)で、まだ青い味が強い。そしてやはり予想したとおりのドライな風味になった。
はじめてのときは慣れないので湯を注ぐスピードが速すぎて、ちょっと薄くなった。そこで茶杯に注ぐときにもういちど茶漉しに通してみた。即興のアイデアだったが、これもうまくいった。
左: 同興號後期圓茶70年代
右: 千禧年7542青餅00年
「同興號後期圓茶70年代」も茶漉しで煎じるのを試した。結果、蓋碗でさっと煎じるのと似た風味になった。
味は好みであるが、まだ10年も経っていない倉庫熟成の弱い新しい生茶ならドライなほうが美味しく、同興號後期圓茶70年代みたいな老茶の場合は、自分はウエットなほうが好きである。雑味の旨さというのがある。
それにしても、熱い湯で多めの茶葉をさっと煎じるやり方は難しい。熱い湯を沸かせる鉄瓶みたいなのが要るのと、慣れるまでに火傷を経験するのと、瞬間に味を決められるセンスが要る。多くの人にとって現実的でない。
なんだか、面白くない。
まだつづくかもしれない。
]]>
プーアル茶
2008-05-16T19:22:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=749849
生茶の泡茶技術 その2
このブログの読者のみなさまは、当店のプーアール茶を買って飲んでください。お金を振り込むだけで、異国の知る人ぞ知る年代モノの本物の茶葉が、飛行機に乗って飛んでくる奇跡が享受できるのです。
さて、昨日紹介した新しい泡茶技術の続き。一日中茶室に閉じこもって集...
当店のプーアール茶を買って飲んでください。お金を振り込むだけで、異国の知る人ぞ知る年代モノの本物の茶葉が、飛行機に乗って飛んでくる奇跡が享受できるのです。
さて、昨日紹介した新しい泡茶技術の続き。一日中茶室に閉じこもって集中する。8gと3gを比べる。使用した茶葉は、当店で販売中のでは一番新しい生茶の「大益8582七子餅茶06年」。
湯は、鉄瓶でカンカンに沸かしたやつで、フツフツしながら口から飛び出てくる。当店の蓋碗の形状は、口が広く、持つところが熱くならないほうであるが、今回はさすがに熱い。気合で我慢してすばやく茶海に注がなければ、8gのは濃くなりすぎる。それに対して3gのほうはゆっくり蒸らして、ちょうど茶湯の色が同じくらいになる。
左: 8g 右: 3g
見た目は同じだが味はちがう。8gは上へ昇り、3gは下へ沈む。8gは始めに苦く、3gは後から苦い。8gは喉にきて、3gは舌にくる。8gは熱く、3gはぬるい。細かなところを挙げるとキリがないが、簡単に言うと「陽」の8gと「陰」の3gである。それほどに違いがある。
延々と飲み比べ。夜になっても終わらない。なんらかの結論を出したいという気持ちが働いて、前に進まない。
しばらくは茶室に布団を敷いて寝泊りする。思いついたらすぐに泡茶できるし、夢の中で続きを見るかもしれない。
まだつづく。
]]>
プーアル茶
2008-05-15T20:24:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=749381
生茶の泡茶技術 その1
このブログの読者のみなさまは、当店のプーアール茶を買って飲んでください。なぜなら、お茶は見るものではなくて飲むものだからです。
さて、今日はそのプーアール茶の話。
20年も30年も長年熟成したまろやかな青餅(生茶の餅茶)を美味しく飲むことについては、当店の...
当店のプーアール茶を買って飲んでください。なぜなら、お茶は見るものではなくて飲むものだからです。
さて、今日はそのプーアール茶の話。
20年も30年も長年熟成したまろやかな青餅(生茶の餅茶)を美味しく飲むことについては、当店のサイトでもいろいろ紹介しているが、メーカーから出荷されて10年も経たないもので、しかも茶商の倉庫に入っていない常温乾倉の生茶で、さらに偽物ではない本物の易武山などの古い茶山の、本物の古樹茶ならではの、力のある茶葉からできた青餅を美味しく飲むことについては、これまでとくに紹介していなかった。
だから陳兄貴が本日見せてくれた技術には、はっとさせられるものがあった。兄貴と呼べる気安い関係ではないが、そういう雰囲気を持つ人なのでそう呼ぶことにする。知り合いの店でバッタリ会って、挨拶もしないうちから「まあひとつ食え!」と台湾から持ってきたドライミニトマトをすすめられた瞬間に、人の上下関係は落ち着くところに落ち着いて、お茶の話に集中できた。日本では知られてないが、台湾の五行圖書出版有限公司の『深邃的七子世界』の著者であり、プーアール茶の専門誌の『茶藝』編集長の陳智同氏である。
陳兄貴が持参していた「易武山」とだけ包み紙に書かれた青餅(生茶の餅茶)は、おそらく易武山の号級を再現する「真淳雅號」のメーカーか、その系統のものではないかと思う。餅面(餅茶の表面の茶葉)の写真を撮り忘れたが、それほど特別なものではなかった。2007年くらいの茶葉だった。
当店で紹介している老茶とはちがって、茶葉の量が多い。蓋碗の大きさから、老茶なら3gで済ませるところを8gくらい使う。ただでさえ渋い苦いのにこんなに多く・・・・と思うまもなくポンポンに沸いた湯を注いでさっと洗茶を済ませ、蓋碗を手にして香りをみる。すると、香ばしく甘い。かすかに柑橘系のあの香りもある。湯の温度が関係している。
茶葉が多いので、湯を注いでから蓋碗の蓋をして茶海に注ぎきるまで息をつく暇はない。一瞬である。それでもやっぱり濃い色になって、苦い渋い酸っぱい。けれど味に弾みがついて重くない。サッパリしているが強い味を口に留めておけず、すぐに飲み干す。喉が苦味や渋味に麻痺したようになって、渇きを覚え、もう一杯欲しくなる。そこから先が、この味の世界の入り口である。香ばしく甘い香りに誘われて、口が受け入れ体勢に入ったところで、予想外な強い刺激がくる。その刺激がたまらなく、もう一杯、もう一杯となる魔術。そうしているうちに体にぐっと来る。背中に汗が出る。岩茶の強さにも通じるが、易武山のこの茶葉はもっと強い。
こうした新しいプーアール茶の楽しみ方を伝えてゆくのは、古い味が少なくなってきて、それで商売できる者も少なくなったためだけれど、新しい生茶の味は、緑茶や烏龍茶の味の世界と重なるところがある。一日に飲めるお茶の量は限られているから、どちらかを選んだら、どちらかは要らない。ポジション争いに勝てるかどうかは、茶葉の素質もあるけれど、プーアール茶で商売をしている者たちの取り組みにも大きく左右されそうである。
「千禧年7542青餅00年」
「紫大益7542青餅00年」
「7542七子餅茶99年無内飛」
「百茶堂二代鉄餅05年」(未発売)
とりあえず、このあたりの茶葉で、明日から試してみよと思う。ちなみに、「真淳雅號」は第一作目のをすでに確保してある。
]]>
プーアル茶
2008-05-14T19:08:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=749176
泡洋葱炒魔芋
このブログの読者のみなさまは、
当店のプーアール茶を買って飲んでください。
そのほうがお互いに楽しめるのだ。これからはもっとお客様がいっしょに楽しめるようにしてゆきたい。そんなアイデアをなんとかひねり出してゆくつもりだ。
さて、今日は魔芋(こんにゃく)...
当店のプーアール茶を買って飲んでください。
そのほうがお互いに楽しめるのだ。これからはもっとお客様がいっしょに楽しめるようにしてゆきたい。そんなアイデアをなんとかひねり出してゆくつもりだ。
さて、今日は魔芋(こんにゃく)の料理。そのために6日前から洋葱(玉葱)を漬物汁に漬けていた。玉葱の漬物「泡洋葱」ができている。魔芋は蒟蒻芋のことで、当店のコックさんは「こんにゃく」を「魔芋豆腐」と呼んでいる。写真のは日系の会社が中国でつくっているのだが、上海の地元の食材でこんにゃくを見たことは無い。本日の料理は「四川泡菜大全」という本に書かれていたものだから、四川省にはあるのかもしれない。
油でこんにゃくを炒めて皿に取っておいて、残した油で、泡辣椒、大蒜、生姜、豆板醤を炒めて香を出して、泡洋葱、黒木耳、魔芋豆腐の順に炒めて、蒜苗を足して、醤油、塩、胡椒、白砂糖、水溶き片栗粉をあわせた汁で味付けする。葱をふりかけて出来上がり。
泡洋葱炒魔芋(タマネギの漬物とこんにゃくの炒めもの)
大失敗だ。辛すぎて食えない。昨日の四川料理の影響を受けて、やたら泡辣椒の量が多いのだが、辛味と旨味のバランスをとる火の技術が追いつかない。一日やそこいらでは無理なんだ。
泡洋葱は味が濃くて、ものすごく甘い。漬け汁に紅糖が少し入っているせいだろうか。まだ日が浅いので酸っぱくはない。玉葱をゆっくり炒めて甘味を出してからそれを使う西洋料理はいろいろあるけれど、泡洋葱だったら、さっと炒めただけでその味に近いような気がする。火を使わせない知恵があるのかもしれない。
麻椒泡猪肚(四川の酸っぱい汁に漬けた豚の胃)
夜開花蕃茄湯(夕顔とトマトのスープ)
スープには泡菜汁がたっぷり使われている。やっぱりタイの北部の味に似ている。
本日のお茶は「七子黄印大餅70年代プーアル茶」。
飲んでいるうちにぐーっとくる男のお茶だ。
だいぶん前に、友達の紹介で上海に遊びに来た大学生の女の子(たしか美人だった)が言ってたけれど、将来子供ができて、もしも男の子だったら、女の子にモテるように育てたいらしい。男の価値は女の子にモテるかどうかで決まるのだそうだ。なーるほど、そうだったのか。それは知らなかった。でも、女の子にモテるようなやつは安物なんだけどな。・・・プーアール茶のことだけれど。だから当店には、女の子にモテるようなお茶は一つも無い。お茶の価値は男が決めるのだ。男の価値は自分が決めるのだ。他人に決めてもらう必要なんて無いなあ。(思い出しギレ)。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-05-13T16:59:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=748985
成都のお昼ご飯!@上海
今日のお昼ご飯は四川料理である。
四川省の成都へ料理の勉強のために日本から留学しているPigsan(ただいま長い旅の途中)が上海に来ていると聞いて、半日拘束してうちで料理を作ってもらうことにした。上海にある限りの食材や調味料で、四川の味を再現してもらう。早朝...
四川省の成都へ料理の勉強のために日本から留学しているPigsan(ただいま長い旅の途中)が上海に来ていると聞いて、半日拘束してうちで料理を作ってもらうことにした。上海にある限りの食材や調味料で、四川の味を再現してもらう。早朝の市場への買出しからはじまる。当店のコックさんはそれをサポートする。成都で買ってきた唐辛子や花椒、四川泡菜は自家製のがある。そもそも泡菜魚などの一連の泡菜料理は、私が成都を尋ね、Pigsanに案内してもらったときから始まったのだった。
当然、今日もたくさんの泡菜をつかう。
実は昨夜に急にこれを思いついてお願いした。「料理はお任せしますけれど、上海にもあるような味では、うちのコックさんのほうが美味しいかもしれませんよ」と言っておいた。何を作るろうか一晩考えてきたらしい。
椒麻猪爪(酸っぱい甘い汁漬け込み豚足)
黄辣丁(ギギのラー油スープ煮)
泡汁蛤蜊湯(アサリの漬物汁スープ)
バンバンバーン!と瞬発力が火を噴いたような料理だった。慣れないところでも力を発揮するプロの仕事を見せてくれた。やはり唐辛子や花椒が怖いくらいにたくさん入った。見るだけで汗が出た。スープはなぜかタイの北部の味と似ていた。詳細については、当店のコックさんがこの研究の成果を発表するときにしたい。
ご飯にちょっとした工夫。柏香老臘肉と唐辛子と卵を炒めてちょっと載せて食べる。
食後にお茶「下関銷法沱茶90年代」でいっぷくしてすぐにPigsanはまた旅に出た。さすらいの料理人だ。かっこいいなそれ。美味しいところをもって行かれた気分だ。
]]>
生活、旅行、その他
2008-05-12T18:12:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=748616
老鴨粉絲湯
昨日の老鴨湯のつづき。
生きた家鴨を見るのは慣れないけれど、これで美味しいかどうかを見極めるわけだ。魚を見て鮮度や脂の乗り具合を見るのと同じことだ。
あわせて6時間くらい火を通しただろうか。肉はホロホロになって、香りには丸みがある。スープを土鍋に分...
老鴨湯のつづき。
生きた家鴨を見るのは慣れないけれど、これで美味しいかどうかを見極めるわけだ。魚を見て鮮度や脂の乗り具合を見るのと同じことだ。
あわせて6時間くらい火を通しただろうか。肉はホロホロになって、香りには丸みがある。スープを土鍋に分けて、粉絲(春雨)、白菜、白玉?といっしょに煮る。塩で味を調える。それだけ。
老鴨粉絲湯(老鴨と春雨のスープ)
春雨がスープをたっぷり吸っている。スープだけを飲むと、口の中をスーッと一瞬で通りすぎて喉へと消えてしまうところを、春雨の固体が口の中でゆっくりとろけるものだから、たまらない。老鴨の肉を端でつまむと、骨と肉が勝手に剥がれ落ちるほどやわらかい。ゼラチン質の脂肪を含みながらも適度に強いたんぱく質の弾力を失わない。
蒜泥炒刀豆(ナタ豆のニンニク炒め)
[朶リ]椒蒜泥涼拌鶏爪(鶏の足の[朶リ]椒ニンニクソース)
今日の一食で、女性の高級化粧品なら数万円分のコラーゲンを食べたのではないかと思う。
本日のお茶は「七子紅帯青餅プーアル茶」。
サイトにはプーアールインペリアルと書いているけれど、それに偽りなしだ。やっぱりすごい。茶葉がちがう。技術がちがう。熟成がちがう。格がちがう。男は本物を知らなあかん。その勇気と忍耐をもたなあかん。びびってしまう自分に銃口を向けなあかん。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-05-10T20:11:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=748448
泡菜鴨血旺
コックさんが家鴨の生きているのを買ってきた。
上海郊外の田舎の人が自転車で売りに来ているやつだ。一羽600円なり。スープにするのは年をとった肉の硬いのが良いとされる。コックさんがあっという間に絞める。動物園の臭いがする。残酷だけれど、たまにはこういうのを...
上海郊外の田舎の人が自転車で売りに来ているやつだ。一羽600円なり。スープにするのは年をとった肉の硬いのが良いとされる。コックさんがあっという間に絞める。動物園の臭いがする。残酷だけれど、たまにはこういうのを見ておくと、食べ物を大事にできるってもんだ。羽毛の処理に1時間、肉の処理と煮込むのに4時間。今日のお昼ご飯は午後3時半からとなった。
塩水をつくっておいて鴨を絞めたときの血を注いで、すこし置いて粘りが出てきてから蒸すと固まる。これを血旺という。
中華鍋で油を熱して、豆板醤、生姜、泡青菜、葱の順で炒めて、老鴨湯(スープ)を足して、マッシュルーム、血旺、蒜苗、醤油、水溶き片栗粉。ごま油をかけて香菜をちらして出来上がり。
泡菜鴨血旺(鴨の血の豆腐と漬物のとろみ餡かけ)
混ぜ物なしの100%の血でつくる血旺はプリプリの弾力がある。味がある。透明感がある。豆板醤のとろみ餡かけとの相性がよい。
清燉老鴨湯(老鴨の煮込みスープ)
生姜、葱、紹興酒を大きな底の深い土鍋で沸かしたところに、処理して茹でて洗った老鴨を入れる。3時間半煮てから、塩で味付けする。表面に黄色い油が浮くが、それが香りと味と栄養である。まだ身は硬いので、続けて煮込んで明日また食べる。
左は肝臓で、右は卵巣?かな。一羽ごとなのだから、何でもある。心臓、砂肝、胃、腸、卵など。頭も食べるし、水かきのある足も食べる。
青椒肉片炒豆瓣(そら豆とピーマンと豚肉の炒めもの)
本日のお茶は「8582七子餅茶99年」。
1999年のものだから、南天公司のオーダーではないと思う。熟成は浅いが、茶葉は良い。包みを開けると甘い香りがファーっと部屋に広がる。正直言って美味しくないけれど、美味しくなる素質がある。売らずにお蔵入りにしようか。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-05-09T19:25:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=748318
蠣貝辣醤炒紅蛤
紅蛤を食べる。
「ぼうずこんにゃくの市場魚類図鑑」さんによると、スダレガイ属の「アケガイ」というやつだと思う。意識してこれを求めたことはないけれど、海鮮料理のレストランで何度か食べた記憶がある。市場ではアサリの2倍から3倍の値段がついている。
中華...
「ぼうずこんにゃくの市場魚類図鑑」さんによると、スダレガイ属の「アケガイ」というやつだと思う。意識してこれを求めたことはないけれど、海鮮料理のレストランで何度か食べた記憶がある。市場ではアサリの2倍から3倍の値段がついている。
中華鍋に水少しで貝を蒸し焼きにして、貝の汁ごと皿にとっておく。油で、生姜、玉葱を炒めて香りが出たら、泡辣椒、蠣貝辣醤、紹興酒、汁ごとの貝を戻して、水溶き片栗粉、葱。火を止めて香菜をちらして出来上がり。
蠣貝辣醤炒紅蛤(紅蛤の牡蠣唐辛子味噌炒め)
いやーまいった。海と青空とビールのある屋台の海鮮料理屋で食べたいワイルドな味。貝の身は火が通ると鮮烈な紅色が出て、欲望をかき立てる中華の色合となる。クセがなく、旨味と苦味がバランスよくあって、ちょっと身が固くてコリッとしたのがまた良い。皿に溜まる蠣貝辣醤と貝の汁をすくってご飯にかけるのは格別。ウォー!ヘィヘィヘィ♪っと。
肉絲炒蒜苗(大蒜の芽と細切り肉と唐辛子漬物炒め)
泡菜蚕豆蛋花湯(そら豆と子孫菜の漬物と卵のスープ)
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年」。
当店の倉庫で長期熟成させようとしていた品だけれど、やっぱりやめて別の青餅(生茶の餅茶)に入れ替えるつもりで、このタイミングで出品。美味しいお茶なのに、商品のポジション的に美味しくなくなってきた。もっと熟成した1999年の8582七子餅茶があることと、熟成していない青餅では、もっと高級の古樹茶モノがあることで、それらに比べたら安価だけれど中途半端な存在となる。
そこそこ良いまともな茶葉と、完成の域に達した製茶技術という程度の有名大学卒では、これからの時代というか、当店のラインナップの中を生きてゆくのは難しいということなのか。それとも、このくらいの価格のほうが気楽さがあって、結局はよく飲まれるお茶となるのか。うーん、わからない。
]]>
海のもの
2008-05-08T23:49:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=747891
白玉?蝦仁鍋巴
先日は日本風の餅を揚げたのに餡かけする料理をやってみたのだが、やっぱり基本に返って鍋巴(中華おこげ)を作る。コックさんが子供の頃にお母さんがつくったと言うのだが、その当時の安徽省の田舎の貧しい地域のことなので、餡かけなどなく、もち米だけの鍋巴をかじった...
日本風の餅を揚げたのに餡かけする料理をやってみたのだが、やっぱり基本に返って鍋巴(中華おこげ)を作る。コックさんが子供の頃にお母さんがつくったと言うのだが、その当時の安徽省の田舎の貧しい地域のことなので、餡かけなどなく、もち米だけの鍋巴をかじったらしい。
まずもち米を少し塩を入れて炊く。油をふき取った中華鍋の底に炊いたもち米を貼り付ける。超弱火にかけて、両面を焼く。黒焦げたところは後から取り除いて、三角に切っておく。下処理した芝蝦、片栗粉、卵白、胡椒、塩を混ぜて冷蔵庫で30分寝かせる。干し貝柱に紹興酒をふりかけ少し置いてから片手鍋に水を足して煮ておく。中華鍋に油を熱して蝦を軽く炒め、皿にとり、残した油で白玉?、干し貝柱と煮汁、蝦を戻して、甜豆(スナックエンドウ)、水溶き片栗粉、胡椒、醤油で味付けし、トマトを入れ、葱をちらす。三角に切ったもち米を油で揚げて、皿に敷いて、上から餡をかける。ジューーー!
白玉?蝦仁鍋巴(中華おこげの白玉茸と蝦の餡かけ)
こういうエンターテイメント性の高い料理を、ハリウッド料理と名付けて、ちょっと馬鹿にしているところがある(私自身が)。しかし、この美味しさには目がくらむ。体がくねる。酒が入る。バンザーーイ!馬鹿でよかった。この料理には、幸せに向かってまっすぐ走ってゆく強さがある。油の量とか、栄養のバランスとか、やかましいわぃ!たまには、ヒーローが悪者をやっつけて美人と寝るハリウッド映画もいいってもんだ。
コックさんが一言。「馬鹿は運がいい」。
蒜泥空心菜(空心菜のニンニク炒め)
紅蛤冬瓜湯(紅蛤と冬瓜のスープ)
紅蛤という貝が美味しかった。たしかこれを豆鼓(トーチー)と大蒜で炒めたのを食べたことがある。5年前だったか、まだ安くて、皿に山盛りいっぱいで、4人でも食べきれなかった思い出がある。
本日のお茶「大益8582七子餅茶06年半熟火入れ」の第二段と「下関銷法沱茶90年代プーアル茶」。
ひとり飲み用に買った小さな茶壷だが、こうしてグラスカップの口の上で茶壺を逆立ちさせて、勝手に注がせておけるのがいい。何人かの茶杯に分ける場合は、濃さを均一にするために、いったん茶海に移してから茶杯に注ぐのだが、ひとりのカップだったら濃さなんて関係ない。仕事中の手を離したくないときに、このオートマチック機能はうれしい。
]]>
麺・点心
2008-05-06T21:44:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=747657
紅焼馬嶺魚
馬嶺魚が手に入った。
長江に棲む魚で、ニゴイの仲間だと思うが、日本のニゴイよりも小型で、カマツカのような模様がある。戦闘機のようなシャープな頭と体つきに、三角形の鰭。流れの中を突っ走れる格好だ。この季節だけ上海の市場に入ってくる。川魚なので活け魚で売ら...
長江に棲む魚で、ニゴイの仲間だと思うが、日本のニゴイよりも小型で、カマツカのような模様がある。戦闘機のようなシャープな頭と体つきに、三角形の鰭。流れの中を突っ走れる格好だ。この季節だけ上海の市場に入ってくる。川魚なので活け魚で売られていて、その場で絞めてハサミで腸が除かれる。
今日の二匹は雄と雌。雄の口の周りには「追星」といって、ブツブツした固い突起が出ている。産卵場所の縄張り争いのときに、その固いところで敵にアタックする。雌の腹には卵がたっぷりある。春に産卵する魚らしい。
2006年4月には「清蒸馬嶺魚」をしたが、今回は紅焼。底の平たいフライパンに油を熱して、馬嶺魚を油煎して、生姜を足して味を出して、葱を足して味を出して、紹興酒、醤油、砂糖、水を足して、蓋をして10分ほど蒸し焼きにする。
紅焼馬嶺魚(馬嶺魚の紅焼ソース)
まず卵を食べてみたが、これが泥臭くていけなかった。しかし、白身は最高の極み。紅焼ソースが染みるのは皮のところまでで、白身は紅いソースをはじきかえして白く透き通ったままである。プリッとしていながら、舌に乗せるだけで、絹のように柔らかく細い繊維状のたんぱく質がホロホロとほどけてゆく。溶けてゆく。旨味だけが残る。このなめらかな舌触りを求めて、釣り糸0.3号くらいの透明で容赦なく喉に刺さる小骨を丁寧によけてよけて、箸先にくっついたほんのひとかけらの白身を口へと運ぶ。酒もってこーい!
焼き色のついた皮は、かすかに山椒の風味がして野趣がある。冷酒が良い。
葱油蚕豆(そら豆の葱油蒸し焼き)
蕃茄蛋湯(トマトと卵のスープ)
本日のお茶は「下関銷法沱茶90年代プーアル茶」。
3月の広州出張から40日かかって、昨日ようやく出品。うれしくなって、なぜか茶壺を2つも買った。プーアール茶の試飲鑑定には蓋碗を使っているので、茶壺を使うことはないが、仕事しながらお茶を飲むのに小さな茶壺と同じ容量のグラスカップの組み合わせはどうかと思って試したら、これが使いやすい。
]]>
川のもの
2008-05-05T20:51:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=746168
泡椒墨魚澆糯餅
風が騒ぐー夜はー♪っと。
さて、市場の年糕(米の餅)屋に、日本の餅に似たのを見つけた。ちょっとつき具合が甘いけれど、団子のような中国の年糕とは様子が違う。コックさんが試しにフライパンで油煎してみたら、いい感じに焼けた。これを料理にしてみる。...
さて、市場の年糕(米の餅)屋に、日本の餅に似たのを見つけた。ちょっとつき具合が甘いけれど、団子のような中国の年糕とは様子が違う。コックさんが試しにフライパンで油煎してみたら、いい感じに焼けた。これを料理にしてみる。餅の料理といえば、以前に上海蟹と蒸し焼きにしたのを紹介していたが、今日は墨魚(コウイカ)を使う。
墨魚に切込み(墨魚花)を入れて、茹でて、洗っておく。中華鍋に油を熱して、生姜、葱、泡辣椒を炒めて、青辣椒、黒木耳、墨魚花、竹の子の順に入れ、紹興酒、魚醤、豚骨スープを入れ、胡椒、水溶き片栗粉でとろみをつけ、ごま油、葱をちらす。
同時進行で年糕の適当に切ったのを油煎して表面をきつね色にし、皿に移して、具の餡を上からかける。鍋巴(おこげ料理)ほどは派手ではないが、餡が餅にからむ瞬間は、たまらないものがある。
泡椒墨魚澆糯餅(揚げもちのコウイカ餡かけ)
うん!すごいなこれは。餅は表面だけサクッとしているが中はもっちりしている。油煎するときにお互いがくっついてしまうけれど、そのままにして、皿から取るときに箸で分ければよい。餅をもっと小さく切って、かき餅のようにサクサクも良さそうだし、紅焼ソースの餡かけも良さそう。もちろんこれからやるよ。
清炒枸杞頭(クコの葉の新芽の炒めもの)
泡青菜蛋花湯(チンゲン菜の漬物と卵とじスープ)
クコの葉と草頭(白詰草)を、また同じ農家のおばちゃんから買った。嬉しそうだった。細葱おまけしてくれた。
青海のチベット仏教のお寺の病院のつくったお香。
本日のお茶「天字沱茶90年代」。
自分の立場からすると、生茶よりも熟茶のほうがかえって難しい。ふりかえってみると、生茶の年代モノのいいのはパッとわかるけれど、熟茶はいつもちょっと時間がかかっている。
明日からコックさんは数日お休み。
]]>
麺・点心
2008-04-30T19:45:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=745651
臘肉炒蒜苗
蒜苗(ニンニクの芽の茎)と咸骨頭(塩漬け干し豚骨)のいいのがあった。蒜苗は、昨日の枸杞頭(クコの葉の芽)を売っていたおばちゃんが育てたもので、ヨレヨレになって泥がついているが、茎はシャキッとしている。このおばちゃんは葉モノ野菜が専門農家。朝のうちに売り...
蒜苗の頭の部分(ふくらんだところ)をもぎとり、洗って、適当に切る。咸肉(自家製の半熟のやつ)のひと塊に白酒をふりかけて生姜をのせて蒸す。冷めてから適当に切る。泡辣椒(唐辛子の漬物)を刻む。中華鍋に油を熱して、花椒、泡辣椒、蒜苗を炒める。蒜苗の表面の皮にシワがよったら塩で味を調整し、咸肉を足して炒めて出来上がり。
臘肉炒蒜苗(ニンニクの芽と塩漬け干し豚肉の炒めもの)
言うことなし。臘肉とは、旧暦の12月は臘月につくる咸肉のこと。保存食で、うちで作ったのもまだあるが、夏までにはなくなる。
もうひとつ。
双?[火会]泡竹笋(キノコと竹の子の漬物のあんかけ)
泡竹笋(竹の子の漬物)をタテヨコに適当、草?を半分、マッシュルームを三分割、泡辣椒を指先大に切る。中華鍋に油を熱して、泡辣椒、葱を炒めて、鶏のスープを足して沸いたら草?とマッシュルーム、泡竹笋の順に入れる。塩で味付け、蓋をせずに7〜8分煮る。水溶き片栗粉でとろみをつけて、胡椒、細葱を足して出来上がり。[火会]は一文字で「あんかけ」を意味する。
咸骨頭冬瓜湯(塩漬け干し豚骨と冬瓜のスープ)
本日のお茶「大益8582七子餅茶06年倉庫熟成」。
今日は風が強かった。ビュービュー鳴ってる。そういえば・・・
「風が騒ぐ夜はー♪・・・・俺たちゃー車とばしてーぇー海の見えるほうへー♪」『トンネル抜けて』 (YouTubeの動画)
いいなこの歌。語りもいい。ビールが飲みたくなる。YouTubeでEgo-Wrappin探して偶然見つけたけれど、この”どんと”さんて、2000年に37歳で亡くなってるんだな。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-04-29T18:18:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=745468
泡竹笋鴨雑干鍋
鶏、鴨、鵞鳥の臓物を専門に売る店が市場にある。
今日はそれと泡竹笋(竹の子の漬物)をあわせて、湖南料理の干鍋仕立てにする。ところで、その店に予約したら鵞鳥が手に入ることがわかった。市場はいつも発見がある。3日違えば季節の移り変わりが見つけられる。楽しい...
今日はそれと泡竹笋(竹の子の漬物)をあわせて、湖南料理の干鍋仕立てにする。ところで、その店に予約したら鵞鳥が手に入ることがわかった。市場はいつも発見がある。3日違えば季節の移り変わりが見つけられる。楽しいったらありゃしない。
臓物は、家鴨の砂ずり、腸、心臓、鵞鳥の肝臓。腸は塩をすり込んでは洗い、塩をすり込んでは洗うのを3回。砂ずりは内側に塩をすり込みよく洗って、他のもよく洗って、茹で洗いする。冷えたら、腸はクルッと丸めて結ぶ。それぞれを適度な大きさに切る。泡竹笋は水に浸けて塩を抜いて、斜めに切る。ちょっと大きめに。中華鍋に油を熱して、花椒、豆板醤、生姜、大蒜、太葱、泡辣椒の順に炒める。臓物たちを足して、紹興酒、醤油で味付けして、水を足して蓋をして、20分ほど蒸し焼き。最後に細葱をちらして出来上がり。
泡竹笋鴨雑干鍋(泡竹笋と家鴨の臓物の干し鍋)
泡竹笋は一歩下がって、臓物が主役の料理。ヌッタリした歯ごたえと旨味にゆるんだところを、泡竹笋の酸味とシャキシャキが引き締める。泡竹笋には生の竹の子の歯ごたえがあると前回は書いたが、実際は生の竹の子よりもずっとしっかりしている。塩で水分が抜けてカチッと締まるのだろう。その歯ごたが、こういう料理に合う。もう少し大きめに切っても良かった。
清炒枸杞頭(クコの葉の新芽の炒めもの)。
上海の郊外の田舎の言葉を話すおばちゃんが、自分で育てた虫食いだらけのクコの新芽を売っていた。コックさんが茎を指でつまんで、好(ハオ)!と言って、残り全部を譲ってもらった。ほろ苦いところが旨い春の味覚。
咸骨頭冬瓜湯(塩漬け干し豚骨と冬瓜のスープ)
本日のお茶は「七子紅帯青餅プーアル茶」。
日が長くなってきて、夕暮れの紺色の光が射すちょっと寂しい時間がゆっくりあって、お茶の味がしみる。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-04-28T20:43:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=744874
泡竹笋炒肉絲
泡竹笋(竹の子の漬物)を食べる。
20日ほど以前に買った竹の子を漬けていた。竹の子の皮をむいて洗って塩水に3日漬ける。さらに新しい塩水、白酒、砂糖、干した唐辛子の漬け汁に漬ける。本日で20日めくらい。
シャキシャキした生の竹の子の食感をもちつつ、濃い...
20日ほど以前に買った竹の子を漬けていた。竹の子の皮をむいて洗って塩水に3日漬ける。さらに新しい塩水、白酒、砂糖、干した唐辛子の漬け汁に漬ける。本日で20日めくらい。
シャキシャキした生の竹の子の食感をもちつつ、濃い味が内側からにじみ出す。これが泡竹笋の特徴。生の竹の子は食感はあるけれど味が無い。発酵させて干した「笋干」は、味があるけれど食感がない。泡竹笋は両方を併せ持つので、それを活かした料理ができる。
昨夜から泡竹笋を水に漬けて塩気を抜く。泡竹笋と豚肉と紅辣椒(赤ピーマン)と泡生姜(生姜の漬物)をを細切りし、[朶リ]椒を刻む。豚肉は紹興酒と胡椒をふって片栗粉をまぶして冷蔵庫で30分寝かす。中華鍋に油を熱して、豚肉を炒めてから皿に取っておいて、[朶リ]椒を炒め、泡生姜、紅辣椒、泡竹笋、豚肉の順に足して炒めて、塩と醤油と砂糖で味を調整。葱をふって出来上がり。
泡竹笋炒肉絲(細切り豚肉と竹の子の漬物の炒めもの)
歯ごたえは軽快でリズム感があり、漬物の酸味に隠れて、噛めば噛むほどにじみ出るスルメイカにも似た旨味。絶妙な美味さがある。季節が交代してゆく喜びと悲しみを、このひと皿で表現しきる芸術品である。上海の味覚は、秋に始まり春に終わる。
泡小孫菜炒土豆片(ジャガイモと小孫菜の漬物の炒めもの)
麻辣湯(辛いスープと春雨)
どちらも昨日の残り物を使った料理。
本日のお茶「8892後期紅印圓茶」
易武山の昔ながらの茶葉の特徴である樟脳の香り「樟香」が強く、クセのあるお茶であるが、それが霞んでくると、やさしく心地よい香りとなる。その熟成の変化を期待して、定期的に飲むのだが、思っているよりも変化はゆっくりで、毎回期待を裏切られる。最後の残り数枚を当店の熟成用の倉庫に入れて変化を促しているのだが、本日の時点では、まだ室内保存のものと大差は無い。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-04-25T18:20:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=744691
麻辣火鍋レシピ情報 具のまとめ方
大小さまざまな火鍋の具を鍋に放り込んでゆくと、取り忘れた具が鍋の底のほうで煮え過ぎる。そこで、小さな具は串を使ってまとめてみた。大きな具はそのままで煮る。つまり「おでん」の要領。
そういえば、四川の成都には「熱串串」という串刺しの野菜や肉を火鍋に浸け...
そういえば、四川の成都には「熱串串」という串刺しの野菜や肉を火鍋に浸けて食べる、そのものがあった。写真は「涼串串」で、串焼きの具を熱くない漬け汁に浸けて食べるもの。
串を打つのに時間がかかるが、火鍋には家族や友達が集まるので、串打ちの手は足りるだろう。いつものように薬味を油で炒め、鍋底(火鍋のスープ)を作ってから、煮えるのに時間のかかるジャガイモ、こんにゃく、卵、厚揚げなどを入れる。すると鍋いっぱいにスープが上がるので、その上に串モノの、白菜、蝦団子、豚の胃袋、キノコなどを乗せてグツグツやる。
麻辣火鍋(マーラーホーゴー)
スパイスの香りで走り出した食欲は、串のあるなしなどどちらでもよくなる。しかし食べ終わった後の鍋の底には、煮えすぎの具は少なかったので、一応成果はあった。
前回の「麻辣火鍋レシピ情報」にて、スープの追加は湯と塩だけと書いたが、今回は豆板醤を少し足した。好みもあるが、具の構成が毎回異なるため、スープの調整もそのたびなのだ。
ビールは新疆ウルムチの黒。キュー!
具は、こんにゃくと厚揚げが美味かった。初めてこんにゃくを食べた当店のコックさんは絶賛。
いつのまにかスタッフの恋愛話になり、冗談を言って笑いが止まらなくなる。ふりかえってみると、いつも火鍋の中盤あたりからみんなおかしい。スパイスや薬膳が効くのか、それともアルコールがよくまわるのか、どちらにしても身体にも心にもいい料理だ。
上海は今日も晴れ。
本日のお茶は「黄印7572七子餅茶99年」。
脱力。
]]>
火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット
2008-04-24T18:46:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=744510
青魚干焼茄子
青魚干(塩漬け干し魚)の昨日の残りを料理にする。
塩辛くて少しでご飯が山盛り食べられるので余っている。美味しい皮の部分は食べつくして、白身だけがある。それを茄子といっしょに蒸し焼きにするのと、豆腐といっしょにスープにする2品。
蒸青魚干の身をほぐ...
青魚干(塩漬け干し魚)の昨日の残りを料理にする。
塩辛くて少しでご飯が山盛り食べられるので余っている。美味しい皮の部分は食べつくして、白身だけがある。それを茄子といっしょに蒸し焼きにするのと、豆腐といっしょにスープにする2品。
蒸青魚干の身をほぐして小さくして骨を取り除いておく。茄子を適当な大きさの条(棒状に細く)に切って、水に浸けておく。中華鍋に油を熱して、生姜と大蒜のをみじん切りしたのを炒め、香りが出たら茄子を入れて少し炒めて、蒸青魚干のほぐしたのを入れる。紹興酒、甘口醤油、胡椒で味付けして、最後に葱をちらして出来上がり。
青魚干焼茄子(青魚の干物と茄子の蒸し焼き)
複雑な味の美味さがある。ゆっくり味わう大人の味だ。こういう料理を肴に酒を飲めるようになった自分がカッコいい。
もうひとつ。中華鍋に油を熱して、生姜、葱の刻んだのを炒めて、豚肉のミンチ肉を炒めて、蒸青魚干の身をほぐしたのを炒めて、紹興酒で味付けして湯を足して、沸いたらえのき茸と豆腐を入れる。また沸いてから水溶き片栗粉でとろみをつけ、胡椒、葱と香菜の刻んだのをちらして出来上がり。
魚米豆腐羹(塩漬け干し魚と豆腐のとろみスープ)
こちらはわかり易い美味しさ。とろみスープに魚の旨味と、豆腐とえのき茸の食感。黄金のバランス。適度な大きさに刻まれた生姜は、噛むと瞬間に香りを発して消える。味のリズムが生まれる。
[朶リ]椒泡笋焼鶏爪(鶏の足と筍の漬物の蒸し焼き)
初登場の筍の漬物。いずれ主役で紹介する。
今朝はようやく晴れた。街路樹の葉の影が道路に映ってきれい。その下を自転車でくぐってゆくのが気持ちいい。
本日のお茶「同興號後期圓茶70年代」。
洗茶した直後の茶葉からは強烈な樟香がただよい、強い味を予感させておきながら、口に含むと米のようなまろやかさ。樟香がお香の香りへと変化しながら鼻に抜けてゆく。息を吸うごとに身体じゅうに成分がまわってゆくのがわかる。息を吐くたびに体が沈んでゆく。ボーっとなる。この感じこそが、易武山の1970年代の茶葉である。ゴールデントライアングルの近くの葉っぱモノなのだ。
]]>
野菜・キノコ料理
2008-04-23T19:52:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=743805
蒸青魚干
青魚干を食べる。
大型のコイ科の淡水魚の青魚でつくった咸魚(塩漬け干し魚)。冬の乾いた風で干すので、その時期に作らなければ買うしかない。当店のスタッフが自宅でつくったその写真のある記事。いつも行く市場にもあるが、ちょっと良いのは、南京路や准海路など大通...
大型のコイ科の淡水魚の青魚でつくった咸魚(塩漬け干し魚)。冬の乾いた風で干すので、その時期に作らなければ買うしかない。当店のスタッフが自宅でつくったその写真のある記事。いつも行く市場にもあるが、ちょっと良いのは、南京路や准海路など大通りの国営乾物食品店にある。地元の年配の客でいつもいっぱい。上海の昔ながらの味覚があり、店員には本物の上海おばちゃんが居る。笑顔を見せず、客をにらみつけ、返事をせず、面倒な質問にはそっぽを向き、商品やつり銭を投げつけ、口喧嘩では絶対負けない。世界一怖い店員たちだ。商売の自由競争と外国企業の持ち込んだ習慣によって、こういう店員のいる店は少なくなってきたが、国営乾物食品店とともに、いつまでも健在でいてほしい。
青魚干を水で洗って、生姜と葱をのせて、紹興酒をふりかけて蒸すこと30分ほど。店で売る青魚干は塩辛いのが多いので、その場合は米の研ぎ汁に1時間ほど漬けて塩を抜いてから蒸す。
3番目の写真の野菜は「馬蘭頭」。菊科の植物の芽の部分で、上海の春の味覚。
蒸青魚干(青魚の干物の蒸しもの)
塩辛い。しかしこういうものだ。お酒が合う。川魚の臭みも少しはあるが、それも酒飲みには問題ないだろう。青魚は大きな魚なので、皮も厚いが、皮と白身の間のゼラチン質の層も厚い。そこが旨い。ゼラチン質のところには塩が効き過ぎない。
今回は青魚干だけを蒸したのだが、これに咸肉(塩漬け干し豚肉)をのせて蒸す方法があるらしい。すると、豚の油がたれて魚に染みて、美味しさ倍増というわけだ。また、料理にするなら、豚の五花肉といっしょに紅焼にするなどがある。また別の日に紹介する。
香拌馬蘭頭(馬蘭頭と干し豆腐の刻みあえ)
蕃茄蛋湯(トマトと卵のスープ)
本日のお茶「7542七子餅茶99年無内飛」。
春の霧雨が3日間続いている。お茶が美味しい。
当店の生茶をいくつか同時に体験したお客様から、「7542七子餅茶99年無内飛」は煙っぽい香りと渋みや苦味が強くて、「7582青餅94年」と比べると美味しいと思わなかったとご感想をいただいた。その通りで、「7542七子餅茶99年無内飛」も、年数を経て熟成が進むと、香りは甘く、渋みや苦味は弱く、まろやかな風味となる。しかし、そうはならないところがひとつあって、それは茶商の倉庫熟成の風味である。「7582青餅94年」にはそれがしっかりある。倉庫熟成の風味の生茶のプーアール茶が希少になってきているが、その理由のひとつは、その味を求める人が少なくなったということだ。
話は変わるが、1952年の映画、小津安二郎の『お茶漬けの味』は、「ぬか漬け」が重要な役割をしている。ぬか漬け無しには、家庭を描くこの映画が成り立たない。言い方をかえると、「日本の家庭」はぬか漬け無しには成り立たない。ぬか漬けのある家庭が今の日本に少ないのなら、日本の家庭もレッドリストの候補に挙げたい。
なんだか最近、消えてゆく味覚が目に付いて困る。年のせいかな。
]]>
川のもの
2008-04-22T16:35:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=743620
郷村泡菜拌白肉
泡青菜(チンゲン菜の漬物)を使う料理。
雲白肉に似ているが、キュウリの細切りの代わりに泡菜を添える。コックさんの田舎でもこうしていたらしい。なんだかこのごろは漬物を使わない味付けが物足りないと感じる。
豚の五花肉をさっと茹でて洗ってその湯を捨てて...
泡青菜(チンゲン菜の漬物)を使う料理。
雲白肉に似ているが、キュウリの細切りの代わりに泡菜を添える。コックさんの田舎でもこうしていたらしい。なんだかこのごろは漬物を使わない味付けが物足りないと感じる。
豚の五花肉をさっと茹でて洗ってその湯を捨てて、もういちど水から生姜を入れて沸かして肉を入れて鍋に蓋をして、その湯が沸いたら火を止めてそのまま自然に冷やす。冷えたら肉を取り出して薄切りにする。泡青菜はさっと茹でて適当に切る。泡辣椒はそのまま適当に切る。タレは醤油、ごま油、紹興酒、砂糖、[朶リ]椒、ラー油を混ぜてつくる。適当に盛り付けて出来上がり。
郷村泡菜拌白肉(ゆで豚肉の漬物あえ田舎味)
これがもう、むちゃくちゃうまい。口の中が幸せで一杯になる。あわててご飯をかきこむ。そしたらもっと幸せになる。その日一日は気分良く、ふと人生はすばらしいと思ったりする。こうなったら、もっと美味しいご飯を求めるしかないな。うん。
蒜炒刀豆(ナタ豆のニンニク炒め)
茶樹?鴨腿湯(茶樹茸と鴨のスープ)
本日のお茶は「下関銷法沱茶05年」。
4月27日までの「週替りプーアール茶3種セット」にて販売中。同じ熟茶で沱茶のタイプの「鳳凰金毫沱茶05年」の出品にあわせて、少量を取り寄せてみた。メーカーが違うし、メーカーでの茶葉の発酵の具合がぜんぜん違う。「鳳凰金毫沱茶05年」はメーカーでの発酵は強く、「下関銷法沱茶05年」は弱い。2005年に作られた品で、まだ3年しか経っていないため、保存熟成の差は少ないほう。それゆえにメーカーでの発酵の差がわかりやすい。そこが面白いだろうというお茶。なので、10年以上の保存熟成したものと比べるとつまらないものになる。1998年頃の「下関銷法沱茶」は近々仕入れる予定だが、それは香港の茶商の倉庫を経た保存熟成のすばらしいもので、まちがいなく美味しい。
]]>
豚肉料理
2008-04-21T19:30:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=743206
麻辣火鍋レシピ情報 スープの追加はお湯と塩
本日は火鍋研究会。
「火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット」の干し貝柱と干し蝦と白人参に、昨日の料理に使わずにとっておいた烏骨鶏少しを足した鍋底(スープ)は絶品。
うどん。キノコ。空心菜。ジャガイモ。蓮根。豚の胃袋。そしてエビスビール。プハー。
...
「火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット」の干し貝柱と干し蝦と白人参に、昨日の料理に使わずにとっておいた烏骨鶏少しを足した鍋底(スープ)は絶品。
うどん。キノコ。空心菜。ジャガイモ。蓮根。豚の胃袋。そしてエビスビール。プハー。
火鍋の王様!麻辣火鍋(マーラーフォーゴー)
ところで、火鍋を食べ進めていって、うどんのようなたっぷり汁を吸う具が片付くと、あっというまにスープが少なくなる。水気の多い野菜が入った後は、スープの味が薄くなる。そうなったときにどうするかだが、減った分のスープは湯を足すとして、味付けは塩だけがいいと思う。豆板醤や醤油で味付けする手もあるが、塩だけのほうがスッキリとした風味が保てる。煮詰まりすぎた鍋のスープの独特の嫌味が出にくい。お試しあれ。
本日のお茶「大益7562磚茶06年」。
火鍋と酒がどんなに美味しくても、やっぱり最後はお茶で締める。フー。
]]>
火鍋の王様!麻辣火鍋の薬味セット
2008-04-19T21:37:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=743000
泡菜焼烏骨鶏
1956年の映画、小津安二郎の『早春』には、母が娘に料理を教えるシーンがある。「醤油はちょびっとでいいんだよ、あぁそんなに入れすぎだよ・・・」、「さっと煮立ったらもう止めていいよ・・・」という具合でリアル。その料理は今の日本でもまだ母が娘に教えてるのかな?...
さて、今日は烏骨鶏(ウコッケイ)を食べる。泡菜(漬物)を使うが、うちの創作料理じゃなくて、「四川泡菜」という成都で買ってきた本に書いてあったもの。烏骨鶏はスープでしか食べたことがないので、ちょっと興味がある。念のために書いておくが、 「泡菜魚」などの漬物料理の多くは、伝統料理であって、うちの創作ではない。
烏骨鳥を骨ごとブツ切りにして、塩を振り30分置いてから軽く油で揚げて、皿に取っておく。油を減らして、豆板醤、泡生姜(生姜の漬物)、泡青菜(チンゲン菜の漬物)、海椒(四川の丸い唐辛子)を炒めて香りを出して、烏骨鳥を戻す。紹興酒で味付けして水を足して蓋をして蒸し焼きにすること10分くらい。萵笋(セルタス)を足して炒めてまたちょっと蓋をして、最後に水溶き片栗粉、葱の刻んだのをちらして出来上がり。
泡菜焼烏骨鶏(ウコッケイと漬物の蒸し焼き)
美味しいけれど、なにかがちょっと足を引っ張って、味がもたついているが、原因が分からない。漬物だろうか、それとも烏骨鶏の味なのだろうか。もういちど食べたいと思う料理じゃないので、これで終了。
蒜泥ヒユナ菜(ヒユナと大蒜の炒めもの)
腌燉鮮湯(竹の子と押し豆腐のスープ)
腌燉鮮湯は、大きな土鍋いっぱいにつくっておいて、3日くらいかけて食べるのがいい。だんだん押し豆腐に咸肉と竹の子の味が染みていって、1日めよりは2日め、2日めよりは3日めがいい。
本日のお茶「早期紅印春尖散茶」1950年代。
小さな若葉が手で揉まれて捩られた50年前の仕事なので、何度か煎じて茶葉が膨んでくると、びっくりするくらい大きくなる。一煎めは軽くさっと出汁をとるようにして、樟香とかすかにオレンジの皮のような孟海の茶葉の風味を楽しむ。2煎めからは少し濃くして味の重みを計ろうとするが、その前に口に溶ける。3煎めからは成分が身体に廻って、恍惚としてくる。
自然環境の変化で絶滅してゆく動植物がいるように、社会環境の変化で絶滅してゆく食があるとしたら、1970年代までのプーアール茶の生茶も、レッドリストの候補に挙げたい。
]]>
鶏肉・鴨肉料理
2008-04-18T18:28:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=742614
BeMyGuest@上海
ちょっと前の話になるが、2月の末ごろ、このブログの更新が10日ほど止まったことがあった。実はそのとき、初めての「上海のお昼ご飯教室」が行われていた。その準備に7日間かけて、3日間は昼と夜とぶっ通しで料理を作り続けた。
生徒さんは、友人の寺脇加恵さんひとり。...
生徒さんは、友人の寺脇加恵さんひとり。東京でヴィンテージアパレルの輸入販売「Haute Vintage」や、パーティフードケータリング「BeautyBar」を経営していて、空手の先生もしている多才な人。5月からパーティーフードの料理教室「BeMyGuest」が始まるので、そのメニュー開発の参考に、「上海のお昼ご飯!」の舞台裏をのぞき見たいという依頼であった。
早朝に市場に買出しに行き、昼と夜のご飯を作る。当店のコックさんが黙々と作って、寺脇さんがメモを取り続ける。晩ご飯を食べてからキッチンの掃除を終えると、もう夜遅い時間になって、一日が終わる。また早朝に集合して市場に行く。
-------------------------------------------
上海のお昼ご飯教室の菜単(メニュー)
虫草燉鶏湯 (冬草夏虫と鶏のスープ)
香?菜心 (チンゲン菜と椎茸の炒めもの)
塩水鴨 (鴨のスパイスのタレ漬け込み茹で)
薬膳糖醋排骨 (スペアリブ蒸し焼き薬膳酢仕立て)
芋頭蒸咸肉 (里芋と塩漬け干し豚肉の蒸しもの)
清炒豆苗 (豆苗の炒めもの)
韮菜蘑?鮒魚 (鮒と韮の薬膳スープ)
揚州獅子頭 (揚州の肉団子)
大盆鶏 (鶏とジャガイモのスパイスビール煮込み)
薺菜豆腐湯 (ナズナと豆腐のスープ)
咸蛋黄炒渡蟹 (渡り蟹の塩黄卵炒め)
蝦仁焼売 (もち米と蝦のシュウマイ)
干貝炒飯 (干し貝柱のチャーハン)
-------------------------------------------
これだけそろっていながら、なぜか良い手ごたえが得られない。なぜだろう?と思いながらも、料理はどんどん作られ、時間は過ぎてゆき、焦りがつのり、疲労の色が濃くなってゆく。わざわざ東京から来た寺脇さんも、同じような思いをしていたかもしれない。
この数日のことを忘れる頃になって、ようやくわかってきたのは、「上海のお昼ご飯!」の舞台裏を見ることへの期待は、どんな材料を使ってどう作るかという、いわゆる料理のレシピを知りたいのではなくて、その料理に隠されている様々な知恵を学びたいのだと思う。技術の知恵、道具の知恵、味付けの知恵、栄養の知恵、保存の知恵、節約の知恵。伝統ある料理が受け継ぐ知恵があり、質素倹約を美徳としてきた家庭料理ならではの知恵もある。
そうしたことを、当店のコックさんは、コックさんのお母さんや、レストランの厨房で教わってきたのだが、それは実践の繰り返しと、ごく簡単な言葉だけで伝えられたものであって、それ以外の方法を持たない。なぜその野菜はこう切るのか?なぜそのタイミングで調味料を投入するのか?なぜそれは土鍋を使うのか?そうしなければ、美味しい料理にはならないという事実だけがある。
課題ははっきりしてきた。さて、どうしようかな。
]]>
生活、旅行、その他
2008-04-17T21:16:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと
-
http://blog.puer-cha.main.jp/?eid=742820
東坡魚
今日も東坡魚(ドンポーユィ)。
もっと写真を記録しておきたいし、今日も食べたいし。
そうなるんじゃないかと思った人は、このブログ見すぎだ。
鯉は、昨日のよりちょっと小さい。2匹だけしか市場に入っていなかった。
鯉をまるごと油で揚げるシーンと、ミン...
東坡魚(ドンポーユィ)。
もっと写真を記録しておきたいし、今日も食べたいし。
そうなるんじゃないかと思った人は、このブログ見すぎだ。
鯉は、昨日のよりちょっと小さい。2匹だけしか市場に入っていなかった。
鯉をまるごと油で揚げるシーンと、ミンチ肉のソースで煮るシーン。美しい。この料理を食べるなら、このシーンが見れたほうがいい。鯉が大きいので、はじめは頭を手で掴んで尾びれのほうだけを油に浸けて揚げておいて、あとから頭のほうを中心に揚げてゆく。
東坡魚(鯉の丸揚げ煮)
写真で見ると美味しそうに見えないが、実物を目の前にしたら、香りに狂った食欲がむしろこのくらいの迫力を求める。昨日よりはずっと上手に作れたとコックさんは思っていたが、昨日のほうが美味しかった。おそらく鯉を丸ごと揚げるときの油の量だ。油の値段が3ヶ月で30%も上がったので、ちょっと遠慮したらしい。ちょうどよかった。もし今日のほうが美味しかったりしたら、明日も東坡魚になっただろう。
干貝西蘭花(干し貝柱とブロッコリーの炒めもの)
腌燉鮮湯(竹の子と押し豆腐のスープ)
本日のお茶は「大益8582七子餅茶06年火入れ60度5分〜10分」。茶湯を濃くして顕微鏡で見たら、やはり麹菌の残骸らしきのが見つかる。その形が、米麹を顕微鏡で見たのとそっくりである。
食事のお客様のあるたびにこのお茶を出しているけれど、食事に合わせるにはちょっと甘すぎる。今後の熟成で、酸味が前に出てきてほしい。
]]>
川のもの
2008-04-17T19:57:00+09:00
ふじもと
JUGEM
ふじもと